猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

抱擁のかけら

2015-05-11 17:21:20 | 日記
2009年のスペイン映画「抱擁のかけら」。
失明した脚本家ハリー・ケインは、かつてマテオ・ブランコの名で映画監督を務めていた
時に因縁を持った富豪の実業家、エルネスト・マルテルの死を知る。おりしもマルテルの
息子のライ・Xが自分の映画のために脚本を書いて欲しい、と頼みにやってきた頃のこと
であった。14年前、マテオの事務所に俳優志願の美女レナ(ペネロペ・クルス)が訪れた
時全ては始まった。彼女の美貌にマテオは魅せられ、新たな映画の主演女優に抜擢した。
彼女がマルテルの秘書であり、愛人であることを知った上でのことだった。やがてマテオと
レナは愛し合うようになり、レナをつなぎとめておけなかったマルテルは、報復手段に出る。

悲しい愛の物語である。レナは実業家で富豪のマルテルの秘書であり愛人である。マル
テルは嫉妬深く、レナを束縛するが、レナは昔からの夢だった女優になりたいと、オーディ
ションを受けにいく。そこでマテオと出会ったことが不幸の始まりだった。
マルテルは親密な様子のレナとマテオを見て、2人が愛し合っているのではないかと思い、
息子を偵察に送り込む。レナが自分を嫌い、マテオと一緒になろうとしていることを知った
マルテルは、恐ろしい報復に出る。
終盤で、何故マテオが失明するに至ったか、当時レナを主役に据えて作った映画が酷評
されたのか、その真相がわかるのだが、ちょっとミステリーっぽくもあっておもしろい。
マルテルの嫉妬深さ、陰湿さは凄い。まああんなじいさんが若くてきれいな女を手に入れ
たら、手放したくないのだろう。
恋愛だけでなく、親子愛も描かれていて、いい映画だった。悲しい物語だが、ラストには
救いがある。
そして、スペインの家がかわいかった。カーテン、壁、十字架さえも洒落ていてかわいか
った。ヨーロッパの家はアメリカみたいに大きくはないけれど、趣きがある。



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少林サッカー

2015-05-09 04:13:44 | 日記
2001年の香港映画「少林サッカー」。
”黄金の右脚”と呼ばれるサッカー選手ファンは、チームメイトのハンが持ちかけた八百長
試合に加担したことがきっかけで、自慢の脚を折られてしまった。それから20年、ファンは、
今やサッカー界の首領として君臨するハンの雑用係にまで落ちぶれていた。そんなある日、
ファンは街で不思議な青年シン(チャウ・シンチー)と出会う。少林寺を信奉する彼は、くず
拾いをしながら道行く人に少林寺を説いて回っていた。ファンはふとしたことからシンの
超人的な脚力を見抜き、自らが成し得なかった夢をシンに託すべく、彼にサッカーを教え
込む。

少林寺拳法を駆使してサッカーをするという、奇想天外で、くだらなくて、でもおもしろくて
ちょっと感動もしてしまう、そんな映画だった。サッカーのことはわからない私にも楽しめた。
昔はスター選手だったのに、足が不自由になってしまったファンは、超人的な脚力を持つ
シンに夢を託し、チームを作ろうとする。シンは少林寺の兄弟弟子たちに声をかけ、仲間が
集まる。
この兄弟弟子たちのキャラがいい。鉄の頭を持つ男、鎧の肌を持つ男、魔の手を持つ男、
そして香港コメディ映画には欠かせない大食いのデブなど、個性豊かな面々が揃っている。
トラックスーツを着てブルース・リーに成りきっている者(さり気なく髪型も真似している)も
いて、笑えた。
大会に出場し、はみ出し者たちばかりのファンのチームは次々に勝ち抜き、ついにハンの
チームと対戦することになるが、彼らはアメリカ製の新薬を使用していた。
卑怯なハンのチームに苦戦を強いられるファンのチームだが、そこに太極拳の達人で、
太極拳を用いて饅頭の生地を練る、饅頭屋のムイ(ヴィッキー・チャオ)が男装して現れる。
このムイとそれに続くシンの活躍は感動的だ。
この映画はスポーツ・コメディだが、社会の底辺にいた者たちが自信を取り戻すという
物語でもあり、そこがいい。でも私としては、「カンフー・ダンク!」(少林寺ではなくカンフー
だが)の方が好きかもしれない。
何度かテレビ放送されていて、ずっと観たかったのだが、いつも吹き替えなので観ていな
かった。今回はBSプレミアムなのでやっと字幕で観られて、嬉しい。



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その男は、静かな隣人

2015-05-04 04:26:16 | 日記
2007年のアメリカ映画「その男は、静かな隣人」。
ボブ・マコーネル(クリスチャン・スレーター)は職場で孤立し、年下の上司にいじめら
れる冴えない中年サラリーマン。会社をビルごと爆破したり、恨みのある同僚を撃ち殺す
ことを日々妄想していた。ついに我慢の限界に達した彼が銃に弾を込めていると、別の同僚
が突然銃を乱射。その上、床に倒れていたバネッサ(エリシャ・カスバート)の息の根を止め
ようとしている。密かに彼女を想っていたボブは、彼女を助けるためにその同僚を射殺する。
事件の後は、銃乱射犯を射殺したヒーローとして扱われ、重役に抜擢される。しかし命を
取り留めたものの全身麻痺に陥ったバネッサに、何故助けたのかと責められる。

ジャンルはサスペンス?になるのだろうか、人間ドラマ?になるのだろうか。友達もいず、
職場の同僚たちともうまくいかず、話し相手は金魚だけ、という孤独なサラリーマンのボブ
が、突然会社で銃を乱射し何人もの人間を殺した同僚を射殺したことから、ヒーローに祭り
上げられる。しかし今までが孤独だったボブは、重役になっても女性にもてても、どうして
いいのかわからず、自分の置かれている状況に困惑する。
好きだったバネッサの見舞いに行っても、全身麻痺状態の彼女からは、死んだ方がまし
だった、どうして助けたのかと泣かれる。ボブはバネッサに自殺の手伝いを頼まれるが、
そんなことはできるはずもなく、一生彼女の世話をしようと決意する。バネッサも次第に
ボブに心を開いていく。この映画はラブストーリーでもあるのだ。頭しか動かないバネッサ
をひたすら愛し、かいがいしく世話をするボブの姿は、痛ましくも感じられる。
社会で人とうまく関われない者の孤独や怒りを描いた映画だが、なかなかおもしろかった。
ラストも切なかった。
クリスチャン・スレーターが、彼に見えない程ダサダサの冴えないおじさんになっていて、
メイクや服の着方で人はあんなに変わるものなのか、と改めてびっくりした。



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