猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

マジカル・ガール

2016-04-12 04:12:08 | 日記
スペイン映画「マジカル・ガール」を観にいった。
文学の教師だったルイス(ルイス・ベルメホ)は現在失業中。ルイスの12歳の娘アリシ
ア(ルシーア・ポリャン)は、白血病で余命わずかだ。アリシアは日本のアニメ「魔法
少女ユキコ」の大ファンで、そのコスチュームを着て踊ることが夢である。娘の願い
をなんとか叶えてやりたいと思ったルイスは金策に走るが、ままならず、宝飾店に強
盗に入ることを決意する。だが大きな石で窓を割ろうとしたその瞬間、空から降って
きた嘔吐物が彼の肩にかかる。上階の部屋のバルバラ(バルバラ・レニー)が、大量の
薬を酒で流し込んだが、気持ちが悪くなってベランダに飛び出し、吐いたのだった。
逃げようとするルイスを、降りてきたバルバラが呼び止め、家に招き入れる。ルイス
はシャワーを借り、バルバラは彼のシャツを洗濯する。そしてルイスはバルバラに望
まれて、2人は関係を持つ。翌日ルイスはバルバラに「7千ユーロ用意しないと、昨晩
のことを夫にばらす」と電話をかける。

病気で余命わずかな娘の願いを叶えてやるために、父親が奔走する感動系の物
語かと思っていたら、全然違っていた。悲しいというより悲惨な物語。でもいい意味
で裏切られた。とてもおもしろかった。アリシアが「魔法少女ユキコ」のコスチューム
を欲しがったことが、出会うはずのなかったルイス、バルバラ、そしてダミアン(ホセ
・サクリスタン)を結び付けた。そして悲劇に発展していく。
ルイスは決して悪人ではない。しかし娘のために強盗を働こうとし、恐喝まで行って
しまう。バルバラは精神科医の夫と暮らしており、情緒不安定なため夫に管理され
ている。ダミアンはバルバラの子供の時の教師で、バルバラのために理由はわか
らないが10年間服役し、出所したばかりだ。この映画の背景はわからないことが
多い。バルバラは何故あんなに精神的に不安定なのか。ダミアンはバルバラと恐
らく教師と生徒以上の心のつながりがあったのだろうが、彼女のために何をして服
役したのか。「トカゲ部屋」では何が行われていたのか。
物語はまさかこんな展開になるなんて、という驚くべき悲劇へと向かう。恐喝された
バルバラは気の毒ではあるが、私としては彼女が1番悪魔的存在だと思う。彼女の
精神不安定さが皆を不幸にしたのだと。
監督のカルロス・ベルムトは大変な日本通で、日本文化にもサブカルチャーにも詳
しいらしい。海外で日本の文化(おたく文化でもいいから)が受け入れられるのは
嬉しいことだ。それにしてもコスプレ衣装って高額!魔法少女ユキコの衣装は有名
デザイナーが作った1点物という設定だからあんなに高いのだろうが、日本でコス
プレ衣装はいくらくらいで売っているのだろうか。教師が失業というのにもちょっと
びっくりした。スペインの経済状況はそんなに悪いのか。日本で教師が失業ってあ
まり聞かない気がするが。



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