猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

セブン

2022-04-16 22:34:06 | 日記
1995年のアメリカ映画「セブン」。

退職まであと1週間と迫ったベテラン刑事ウィリアム・サマセット(モーガン・
フリーマン)と若手刑事デヴィッド・ミルズ(ブラッド・ピット)は連続猟奇殺
人事件の捜査にあたる。犯人はキリスト教における「7つの大罪」に基づいて
殺人を繰り返していることが明らかになる。やがてサマセットとミルズは犯人
を割り出すが、その人物に逃げられ、更にミルズの素性が知られていたことも
発覚する。そして更なる殺人事件が続いた後、犯人は血まみれになった服を着
て自首してくる。

言わずと知れたデヴィッド・フィンチャー監督の傑作サスペンス・スリラー。
私はこの映画が好きで何度も観ている。最初は映画館で観たのだが、その後も
テレビ放送される度についつい観てしまう。「羊たちの沈黙」などと同様、こ
んなに良くできたサスペンス映画はそうないと思う。独特のダークな映像も印
象的。
最初の被害者は驚く程肥満の男で、死因は食べ物の大量摂取とその状態で腹部
を殴打されたことによる内臓破裂だった。現場には「大食」と書かれていた。
次の被害者は強欲な弁護士で、彼はオフィスの自室で血まみれになって殺され
ていた。状況から犯人は被害者に自分で自分の贅肉を切らせていたのだと推定
された。そして現場には血で「強欲」という文字が書かれていた。サマセット
はキリスト教の7つの大罪に基づいて殺人を行っていると判断し、あと5人殺
されると言う。
7つの大罪とは「大食、強欲、怠惰、肉欲、高慢、嫉妬、憤怒」である。その
言葉にそって殺人を犯すという犯人のサイコっぷりがすごい。この映画はミス
テリー的にもおもしろいが更に怖いのだ。物語は最初から土砂降りで、残忍な
殺人事件が続き、とても暗い。けれどもそれに惹きつけられる。そしてブラッ
ド・ピットとモーガン・フリーマンの演技がとてもいい。定年退職間近の刑事
とその後任でやって来た若手刑事が経験する恐怖の7日間が陰惨に描かれてい
るが、2人とも役にとても合っていると思う。サマセットとミルズ役には他の
俳優も考えられたらしいのだが、結果としてこの2人で成功した感じ。
サスペンス映画やミステリー映画でキリスト教がモチーフとして使われること
って割とあると思うが、どうしてこんなに合うのだろう、と思う。信仰と犯罪
の組み合わせが異常性が強く感じられるからだろうか。この映画の犯人の目的
は何だったのか、それを考えると怖い。まだ7人殺害する前に何故か犯人は自
首してくるが、その目的は何なのか。ここまで綿密に計算した犯人の思考の異
常さ。絶望的なラストもとても強烈である。


良かったらこちらもどうぞ。デヴィッド・フィンチャー監督作品です。
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4 コメント

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Unknown (じゃが太郎)
2022-04-17 02:51:14
私も大好きな作品です。ミルズがサマセットを自宅に招待するシーンがなんだか好きで、楽しい会話を電車の騒音が妨げて、ほとほとこんなところはイヤだと嘆く夫婦をジョークで和ませるサマセット。あの時のモーガン・フリーマンは他の映画では見せたことのない笑顔でした。赤ちゃんが生まれたら何もかもよくなるはずだったのになぁ。
ケヴィン・スペイシーはこの映画が出世作でしたっけ。
返信する
大食が大罪だとは… (ウラジーミル・アスポン)
2022-04-17 10:48:59
あれれ…ブログのヘッダーのデザイン変わりましたよね!
お茶でも飲みつつ映画を語るみたいな感じです。

あの有名なモーガン・フリーマンが出てくるんですね。
95年の時点でも若くは無いでしょうから、若手刑事にブラピも出てきますね。

おじさん×おじさんではむさ苦しいですよね…(^^;
ブラピは95年の時点では若いから、華やかです。

最初の被害者が肥満の男なのがアメリカらしいですね。
ピザをまるで、新聞でも取る感覚で頻繁に頼む人が居る
デブになって当然な食生活の人も居るようです。

次の被害者の強欲弁護士は、殺されても
しょうがないような感じもあります。
でも、超デブは何で殺されたのか疑問ですね。

そうかぁ~たくさん食べるのは自由だと思いましたが、
キリスト教の七つの罪に「大食」があるんですねぇ…Σ(・ω・ノ)ノ!
宗教成立当時の昔は、今より食糧が安定してないから、たくさん食べるのも大罪に近いかも。

その7つの大罪に当てはまる人を探して殺すんですね。

キリスト教がミステリーに使われやすいのは言えますね。
イエス様の殺され方が残虐な事も関係ある気がします。
磔にされ頭にイバラの棘の冠で血が出てます。
おシャカ様の死に際の安らかな涅槃像とは大違いですね。

『セブン』は、『ファイトクラブ』と同じ監督さんなんですね。
『ファイトクラブ』は、テンポはいいのに、それでいて不思議な話でした。
返信する
Unknown (杏子)
2022-04-17 19:51:28
>じゃが太郎さん
コメントありがとうございます。無茶苦茶おもしろいですよね!
あの3人の食事シーンはいいですね。サマセットもとても穏やかでかつかっこいいです。
あの楽しいシーンがあるからこそ、ラストの救われなさと対極を成していて、残酷ですね。
ケヴィン・スペイシーは、調べてみましたが、もっと前からハリウッドでは注目されていたようですが、
「セブン」で広く認識されたみたいです。
不気味な演技でしたね〜。せっかくスターになったのに、少年たちへのセクハラ事件で
今後どうなるんでしょうね…
返信する
Unknown (杏子)
2022-04-17 20:16:28
>ウラジーミル・アスポンさん
コメントありがとうございます。ブログのテンプレート替えてみました。
色んなテンプレートが揃っているので、選ぶのが楽しいです(^o^)

ブラッド・ピットが若くてかっこいいです。
モーガン・フリーマンとはまた違うかっこよさです。
この前書いた韓国映画「必ず捕まえる」はじいさん×おじさんでしたが、
それでもおもしろかったです(笑)

最初の被害者が超肥満の男なのがアメリカっぽいというのは、私も思いました。
びっくりするような肥満体なんですよね〜。
アメリカ映画とかドラマとかで食生活を見ていると、あれでは太るよなーと
思うことがよくあります。
犯人は被害者のブクブク太っている姿が許せなかったのでしょうね…
強欲弁護士は、少女強姦犯を無罪に持っていくようなやり手なので、
狙われても仕方ないと思いました。

大食は7つの大罪に入っているんですよね〜。
たくさん食べてるキリスト教徒は多いと思いますが、食べたいだけ食べなくても
生きていけるので、罪になるのはわかりますね〜。

キリスト教がモチーフになったミステリーやサスペンスはおもしろいですね。
イエス様の殺され方…それも関係あるのかもしれませんね。
信仰と犯罪の組み合わせって不思議な感じですが、
物語として作りやすいのかもしれません。

「ファイト・クラブ」は変わった映画ですよね。
真相がわかるとなるほど〜という感じでした。
あれもブラッド・ピットがかっこよかったですね(^-^)
返信する

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