猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ロゼッタ

2020-08-03 22:27:39 | 日記
1999年のベルギー・フランス合作映画「ロゼッタ」。

酒浸りの母親とキャンプ場のトレーラーハウスで暮らす少女ロゼッタ(エミリー・
ドゥケンヌ)は、ある日突然理由もなく工場での仕事をクビになってしまう。ロゼ
ッタは持病の腹痛と戦いながら新しい仕事を探し続けるのだが、厳しい社会の現実
にぶつかり、なかなか思うようにいかない。ある日ロゼッタはワッフルを売る屋台
で働く青年リケ(ファブリッツィオ・ロンギーヌ)と知り合う。

第52回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した、リュック・ダルテンヌと
ジャン=ピエール・ダルテンヌ兄弟の監督による人間ドラマ。物語はロゼッタが工
場をクビになったのに出ていくまいと必死で抵抗して、職場の人たちに押さえつけ
られているところから始まる。人員削減だか何だかわからないのだが。ロゼッタは
新しい仕事を探さなければならなくなる。母親と2人でトレーラーハウスで暮らし
ているが、母親は酒と男に溺れていて働いていない。職探しはうまくいかず、ロゼ
ッタは役所で生活保護を申請するように言われるが、結局申請しなかった。
映画の中でロゼッタは全く笑わない。怒るシーンはあっても笑顔のシーンはない。
独特のカメラワークでロゼッタを追いかけ、それによってロゼッタの心情がよく表
されている。ロゼッタはよく腹痛を起こす。薬を飲み、ドライヤーをお腹に当てて
温めている。何か病気があるのかわからないが、恐らく病院へ行くお金もないのだ
ろう。狭いトレーラーハウスでの暮らしが貧困を物語っている。
ロゼッタが屋台でワッフルを買って食べるシーンが度々あるが、そのワッフルがと
てもおいしそうに見えて、私も食べてみたいと思った。そのワッフル売りの青年リ
ケとロゼッタは親しくなる。リケは自宅でロゼッタにフレンチトースト(多分)を食
べさせてあげたりと親切にする。けれどもロゼッタは仕事を得るためにリケを裏切
ってしまうのだ。
まだ若いロゼッタが何故あんなに苦労をしなければならないのか。生活保護に頼ろ
うとしないのも彼女の意地なのだろう。ロゼッタの母親は本当にひどい。口論にな
った時、母親はロゼッタを蹴り飛ばして池に突き落としてしまうのだ。「助けて」
と言う娘を放って、母親は行ってしまう。でもそんな最低な母親でもロゼッタは見
捨てられない。ロゼッタがかわいそうで仕方がなかった。ラストシーンでロゼッタ
は初めて泣き顔を見せる。他人に心を開いた瞬間だったのだろう。ロゼッタの泣き
顔とリケのバイクの音が忘れられない。


良かったらこちらもどうぞ。リュック・ダルテンヌ&ジャン=ピエール・ダルテン
ヌ監督作品です。
ある子供
午後8時の訪問者




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2 コメント

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Unknown (じゃが太郎)
2020-08-05 06:09:42
体力を消耗してしまいそうなヘヴィーな作品ですね。
不幸な親子関係はツラい……
私は同性のリク君を見てみたくなりました。
返信する
Unknown (杏子)
2020-08-05 15:06:44
>じゃが太郎さん
コメントありがとうございます。母親は飲んだくれてて、何故娘だけがあんなに苦労をしないといけないのか、ほんとにかわいそうになりました。
でもいい映画でしたよ。フランス映画らしい(ベルギー・フランス合作ですが)ラストで、私は好きです。
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