猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

港のマリー

2021-07-13 22:22:58 | 日記
1949年のフランス映画「港のマリー」。

情婦オジール(ブランシェット・ブリュノワ)の父親の葬儀に港町にやって
来たシャトラール(ジャン・ギャバン)は、オジールの妹マリー(ニコール・
クールセル)を見染める。マリーは理容師のマルセル(クロード・ロマン)と
付き合っているが、嫉妬深いマルセルに最近ではうんざりしていた。シャト
ラールは港に来る度にマリーに言い寄るがいつもはねつけられる。

マルセル・カルネ監督の恋愛映画。シャトラールとオジールは中年の恋人同
士で長年同棲しているが、倦怠期に入っていた。オジールの父親の葬儀のた
めに彼女の実家がある港町を訪れるが、シャトラールはオジールの妹でカフ
ェで働く18歳のマリーに恋をしてしまう。マリーには同年代のマルセルと
いうボーイフレンドがいるが、マルセルはしつこい上に嫉妬深く、マリーを
束縛しようとするので、マリーは嫌いになりかけていた。そしてマリーはこ
の港町で終わりたくないと漠然と思っており、それを見抜いたシャトラール
は度々マリーに言い寄るが、いつもかわされてしまうのだった。
つまり裕福なおじさまが若い娘を好きになり、さてどうなるかという物語で、
筋らしい筋はそんなにない。大体同棲中の恋人の妹を好きになるのって複雑
な関係のような気がするが、マリーの姉オジールは年の離れた妹をかわいが
っており、大して気にしていない。おまけにシャトラールとは倦怠期で、オ
ジールはオジールで何か新しいことを始めたいと思っている。マリーの恋人
であるマルセルがちょっと気持ちが悪い。若いせいもあるのだろうが、妙に
自信家で、マリーがカフェの男性客に絡まれているのを見ただけでもひどく
嫉妬する。もちろんマリーに付きまとうシャトラールにも。これはマリーで
なくても嫌になるだろう。
マリー役のニコール・クールセルが魅力的。少女から大人になりかけの女の
子の気持ちの移ろいを繊細に表現している。ジャン・ギャバンは私の中では
渋いおじさまというイメージだったが、この映画では下心見え見えのスケベ
な中年そのもの。娘のような年齢の女の子を好きになり、振り回されている
様子はユーモラス。ラストはちょっと意外と言えば意外な方向に行くが、あ、
結局そうなるんだという感じ。何ということはない映画だったが割とおもし
ろかった。マルセル・カルネ監督の映画は「嘆きのテレーズ」がすごく悲劇
的で好きだ。




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