猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

イレイザーヘッド

2021-05-03 22:16:46 | 日記
1976年のアメリカ映画「イレイザーヘッド」。

印刷工場で働くヘンリー(ジャック・ナンス)はガールフレンドのメアリー(シャー
ロット・スチュアート)に子供を出産したと告げられ、ヘンリーのアパートの部屋
で結婚生活を始めることになる。ところがメアリーが産んだ子供は手足がなく、お
ぞましい姿をしていた。奇妙な声で泣き続け、食べ物を全く食べない赤ん坊との生
活にメアリーは耐えられなくなり、実家に帰ってしまう。残されたヘンリーは1人
で赤ん坊を育てることになる。

デヴィッド・リンチの長編映画デビュー作で、リンチが監督・脚本・製作・編集・
美術・特殊効果を1人で務めている。ヘンリーはある日恋人のメアリーの家族から
夕食に招待され、彼女の家を訪問する。そこでヘンリーはメアリーから子供を産ん
だことを打ち明けられるが、その子供が人間なのかわからないと言う。赤ん坊は手
足がなく包帯のような布でぐるぐる巻きにされ、蛇のような奇怪な顔をしていた。
ヘンリーとメアリーは赤ん坊と共にヘンリーのアパートで暮らし始めるが、赤ん坊
は1日中異様な声で泣き、食べ物を全く食べなかった。ヘンリーは気にならなかっ
たが、メアリーはノイローゼになり実家へ帰ってしまう。ヘンリーは赤ん坊に興味
を持ち、育てることになる。
非常にシュールで難解で理解不能な映画。デヴィッド・リンチの原点なのだろう。
昔観た時も意味がわからなかったが、改めて観てもやっぱりわからなかった。多分
わからなくていいのだと思う。メアリーの産んだ赤ん坊は蛇のようというかエイリ
アンのようというか、とにかく人間の姿をしていない。そしてヘンリーはそれが気
にならないどころか、メアリーが出て行った後は結構育児を頑張っているのが笑え
る。大体登場人物全員が変なのだ。メアリーの父親も母親も祖母も変、いつの間に
か出産していたメアリーも変だし、主人公のヘンリーもとても個性的な容姿をして
いる。
登場人物だけでなく映像ももちろん変である。ヘンリーがメアリーの家に夕食に呼
ばれた時も、オーブンで調理された鶏肉をお皿に取り分けたら、その鶏肉は動いて
血を流す。ヘンリーはそれをじっと見ている。ヘンリーは度々奇妙な夢を見るのだ
が、それが本当に夢なのか現実なのかわからない。ほっぺたの膨らんだ女性が踊っ
ているのは何なのだろう。いや、考えてはいけないのだ。赤ん坊が病気になるとヘ
ンリーはマメに世話をする。しかしやがてヘンリーの赤ん坊に対する興味は違う方
向へ変わっていく。
ああいうグロテスクな赤ん坊の造形をリンチはどうやって思いついたのだろう。そ
してどうやって撮影したのだろう。脚本もどんなアイデアで書いたのだろう。色々
と不思議な人である。まさにリンチワールド全開の映画。意味不明だが私は好きで
ある。全編モノクロームなのがまたいい。この映画は完成するのに5年もかかった
そうだ。お金がなかったのかな。無名監督が資金を集めるのって大変なんだな、と
思った。


良かったらこちらもどうぞ。デヴィッド・リンチ監督作品です。
ブルーベルベット



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コメント (4)
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