コケオニグモ

湿地にたどり着いたとき、すぐ横に大きな円網があった。
げ、これはオニグモのなかま、しかもけっこうでかいな。
クモはどこに隠れているんだ？
観察したい、というのではなく、接触しないために場所を確認しておきたい、という気持ちだった。
網のつながる幹には・・・緑色の大きなオニグモの姿が。
コケオニグモ！！！
私が思わずカメラを向けるほど、珍しいクモだった。



コケオニグモは主に地衣類がついたような場所で見られるのだという。
見つけてしまえばこの姿だから間違いようもないのだが、個体数はけっこう少ないようで珍品の部類に入るらしい。
私にとって嫌悪の対象にしかならないクモではあるが、さすがにこれだけ特徴的だと撮影対象になる。

湿地を一回りして、狙いのトンボには出会えず、また同じ場所に戻ってきた。
コケオニグモを見たかったのではなく、道もない場所だから、同じところから戻らないと迷ってしまうのだ。
草むらには大量のコバネイナゴ。
私が近づけばにぎやかに飛び出し、運の悪い奴の先には網。
幹から降りてくるのは意外に素早かった。



・・・・・
我ながら苦手なものをよく写したと思う。
やがて彼女はぐるぐる巻きにした獲物をもって幹まで戻り、食事となった。

苦手だし、嫌いだし、印刷することなんて絶対ないけど・・・被写体として、悪い獲物ではなかった。