がんの情報Tips

海外のがん情報を紹介。『海外癌医療情報リファレンス』https://www.cancerit.jp/関連ブログ。

英国マンモグラフィーのパンフレットへの非難(その2)

2009-08-19 | スクリーニング
 その1からの続きー  2009年2月、英国で無料のマンモグラフィー検診に女性を招待するパンフレットに対して、専門家らが事実を伝えていないと激しく避難した。「乳癌検診:The Facts」と題したこのパンフレットは2002年に作成され、2006年に更新されたもので、この避難を浴びて、2009年秋までに書き換えられることとなった。23人の癌専門医、疫学者、ファミリードクター、患者代表者らが署名した批判のレターが、BMJ誌1月27日号に掲載され、後日2月にタイムズ紙がこの一件を取り上げている。「検診への招待状には何一つ真実は書かれていない。」と専門医は言う。

英国の乳癌検診は1990年に開始され、50-70歳の女性に3年ごとに無料でマンモグラフィーを施行するというものであった。
「パンフレットは、インフォームド・コンセントの見知から不適切なものであるーそれは、不適切に検診の利点を強調し、弊害についてはほとんど触れていない」とBMJ誌に書かれている。「特に最大の弊害、すなわち検診によってのみ発見される無害な病変に対して不必要な治療が行われるかもしれないことについて触れられていない。この弊害は、検診支持者のあいだでもよく知られ、認められている。この弊害について記載しないことはインフォームド・コンセントとして法や指針に違反している。検診が健康な人々を対象にしている場合は特にである。」

パンフレットには、マンモグラフィーで痛みや不快感を訴える女性もいること、そして追加検査のために召集されることで不安をもたらす可能性にも言及しているが、「その再検査が、偽陽性(間違い)の診断結果である場合があるという事実を述べておらず、さらには、非浸潤性乳癌(DCIS)(英国の検診で全診断の20%)が侵攻性の乳癌になるのは半分以下であることを全く記述していない。」

パンフレットはまた、検診は乳癌による死亡から女性を救うと謳っているが、英国で救われるのは年間1,400人に1人である。「検診が命を救うとは証明されていない。新たなエビデンスでは、これまで考えられていたのとは異なり、メリットよりもむしろ害の方が大きいと示されている」実際、近年このリスクとベネフィットのバランスは大きく変わってきた。「もし、役人らが20年前にマンモ検診を導入する際、現在のデータを知っていたら、マンモグラフィー検診は現在行われていなかっただろう。」と彼は述べる。

この乳癌検診の情報に関する大きな問題は、これが同じ検診プログラムを行っている機関が出している、つまり利益相反である。ノルディック・コクランの研究者らは以前に、次の6カ国、豪州、カナダ、デンマーク、ニュージーランド、ノルウェースウェーデンの検診プログラムからのリーフレットについて批判している(BMJ)。Dr.Gotzscheがその際にエビデンスに基づいた文書として作成したひな形がノルディック・コクランのサイトでダウンロードできる。以下略
Medscape2009年2月)

その1 マンモグラフィー検診の最新データ


コメントを投稿