標的治療薬、いつまで服用し続けるべきか?

これまでの抗癌剤と異なり、スマートドラッグ（癌細胞だけを攻撃する治療薬）は、正常細胞への毒性が少なく癌抑制効果を発揮する。そのために新たな問題が台頭している。
何年もこれらの薬によって制癌効果を得ている患者は、あとどのくらい薬を使い続ければいいのかといった質問を投げかける。少ないとはいえ副作用に耐え、1ヶ月の薬代はグリベックやタルセバは$2400～$2100（25万円位）、アバスチンは$4400（約50万円）と、保険で一部支払われたとしても高額である。新しい薬であるためその薬の長期的影響はわかっていない。また、子供を持ちたいと願う患者にとっては薬の安全性を保証できない。
「どれだけの期間薬を投与し続ける必要があるのか」―この問題に取り組むために国際的に臨床試験が行われつつある。今回開始されるMDアンダーソン、フランスとスイス、オーストラリアとニュージーランドの癌施設グループでの試験では、グリベックの服用により２～３年間癌が認められないか進行していないCMLまたはGIST患者を登録する。多くの患者はこの薬に対して耐性を持つようになるが、薬をやめることでその効果の持続期間を伸ばせるか、また耐性を持つのを遅らせることができるかどうかも調査対象とされる。乳癌患者では、ハーセプチンやフェマーラなどが再発を遅らせるかどうかも調査されている。
最近公表された少人数でのデータでは、薬を止めた患者の大多数がすぐに再発、薬の服用を再開している。しかし、このことは、薬を中止しなかった患者に比べ全生存期間が劣るという意味ではないと医師らは言う。再発後、薬が効かなくなったGIST患者もいれば、薬を中止しても再発がみられないまま子供をもうけた患者もいる。Wall Street Journal2005/5/3より要約