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非ホジキンリンパ腫(NHL)の新薬blinatumomab

2008-08-21 | 血液、リンパ腫etc
非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する新薬blinatumomab(ブリナツモマブ)の低用量投与によって、すでに3つ以上の治療を受けた38人中11人に部分及び完全奏効したとドイツの初期臨床試験の中間結果がサイエンス8月15日号に発表された。「全員が余命が数カ月から1,2年であろう終末期患者だった」 

患者は全員1日30μg/m2以上の投与をを4~8週間受け、6カ月以上、最長13カ月の寛解が得られた。NHLは単一の疾患ではなく、27種の免疫システムの癌を含む。NHLはBまたはT免疫細胞の疾患であるが、ブリモツモマブはB細胞によって起こる濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫や慢性リンパ性白血病に用いられる。

ブリナツモマブは殺腫瘍T細胞と癌化B細胞をつなぐタンパクである。このBiTEと呼ばれる同薬剤は外来の分子にフラッグをつけ、免疫作用を引き起こす抗体である。通常、抗体はアームを2本有し、同じ分子のコピーに結合するが、BiTEは1つをT細胞に、もうひとつをB細胞に結合させる。T細胞は免疫の司令塔であり、外部の敵が体内に侵入すると、トラフィックや認識を指示し、殺傷細胞を侵入者に向かわせる。これが今までの抗体による治療のゴールであった。

しかし、BiTEのアプローチは異なる。腫瘍細胞にフラッグ(目印)をつけるが、必ずしもT細胞を誘導して殺傷しない。
この技術の有望性は大きいという。なぜなら、類似のBiTE化合物では、アームをB細胞標的として結合させる代わりに他の細胞、例えばメラノーマや乳癌を標的とすることが可能だからである。実際に固形癌に対するEpCAMなども研究が進められている。

ブリナツモマブの欠点は、正常細胞含め、B細胞すべてを標的としてしまう機序である。このことは急速なB細胞の枯渇を引き起こす可能性がある。
しかし、リツキシマブが通常、1日375,000μg/m2を投与することを考えると、30μgは非常にわずかな量であり、薬剤の特製をあらわしていると研究者は述べる。
現在、同薬の急性リンパ球性白血病(ALL)の第2相試験が行われており、12月に結果が発表される。 原文記事


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