ぼ~ざん工房
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昨日は、就労移行支援から就職したアスペルガーの青年とあって飲みました。

いゃ~いい社会人になってました。かなり仕事は大変みたいで痩せてたけど、筋肉、体力もついて、たくましく見えました。

現在は、就職した当時の仕事ではなく、かなり正確さを必要とする場所で、良い感じでジョブマッチングがうまくいっているみたいです。

また、自分の障害について理解してくれる方も増えている様子。

何よりご自身が、自分で判断できない時は上司や同僚に、ホウ・レン・ソウ(報告、連絡、相談)が必要だと把握されていて、自分の障害に対する理解も深まっていた。(もちろんまだ宿題はありそう)

実は、彼の仕事は、自分で判断できることと、できないことがあって、自然な形でホウ・レン・ソウの機会がある。仕事が彼を成長させた部分も大きいと思います。

仕事に対する責任と自信をもってきているし。

なによりアスペルガーとして前向きに生きています。

すごい!すごい!かっこいい!


彼がはじめて就労移行の事業所にきたときに、誰も今の彼をイメージできなかったと思います。

ジョブコーチの丁寧な就労支援プロセスももちろん重要でした。

しかし、今の彼を見ていると、あわせて仕事そのものが彼の安定した生活を築いてきたということがわかります。

周囲の私たちチーム以外の専門家の考えてだけで、相談中心の支援になっていたり、「高いハードルだから無理」とあきらめていたら彼の人生は180度変わってました。

たぶんだらだらと支援をくっつけて方向性がつかめなかったと思います。

理屈ではない。断片の判断ではなく、総合的な優先順位を考えた判断が必要でした。私たちチームはその視点で支援しました。今の彼をみると私たちチームの判断は間違っていなかったと思います。

もちろん私の中にも、就労プロセスよりも、大事なプロセスが必要だと思われるケースもあります。(長期的なリハビリが必要なケースもあります。)

しかし、彼がそうだったように、生活基盤が揺らいでいるときに、自己認知や生活支援なんてうまくいかない。

まず制度(例えば生活保護)をつかったり、就職することによって、安定した生活基盤(一番はお金、そして住む場所、日中の活動場所)を作りながら、自己認知支援や生活づくり支援をすすめることが大切だと考えています。

一人一人の状況に応じたバランスが重要で、生活支援や自己認知支援と同じくらい、日中の活動保証、金銭面の解決が重要だということが、就職して金銭面による安定と活動保証によって、様々なきついことがあるなか安定した情緒の彼をみてると感じます。

また、この課題は、その他に2つの意味を持ちます。

1つは、般化の問題があるので、クリニック等に通って相談で整理できたと言っても応用が難しい。生活支援も自己認知支援も基本は現場での整理が重要です。

もう1つは、彼らにとって活動があることが重要です。活動がないと様々な課題になる行動に発展します。ただ活動するだけで継続できるのも難しい。活動して、それにあった報酬があって生活のサイクルがまわりはじめるのです。

上記のことから、過剰なOJT以外のクリニック等での生活準備訓練や自己認知支援には限界や課題があると思います。だからといって必要ないとも思いません。(人によっては長期のリハビリが必要なことも理解してます。)

重要なことは、バランスとタイミングです。般化のプロセスをイメージできているか、現場や社会をイメージしてるか、自閉症スペクトラムの課題ばかりに注目しすぎてないか、生活全般の支援構築をしているか、も重要な視点です。

彼には、実は離職後の流れも伝えています。離職は失敗ではなくプロセスだからです。これこそが総合的な支援の構築です。そのイメージがないと離職を恐れて過剰支援になってしまいます。

彼の言葉はすごく素敵でした。

「いやなこともありますが、仕事だと切り替えて(正確には'割り切って')やってます」

んん~、頭がさがります。ワシなんかより偉い。

「まだ訓練している利用者(後輩)に何かありますか?」と聞くと。

本人「指示を理解して仕事をする。気になったら質問したり、報告したりする。それが大事。」

すごい!すごい!

もちろん、ジョブコーチから学んだ内容です。

しかし、彼は、職場で体験し、その理解を深めたのです。

Gさん、Aさん。ワシ等のプロセスは、なかなかだったとおもう!

実は、彼が就労するまでの私たちチームのプロセスが、ある著名な先生の本の中の事例として紹介させていただきます。発売されたら報告します。


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