榊原わーるど

日記みたいなもんです。

悪魔の光か、命の光か

2006年05月11日 | メモ日記

ちょっと前に内分泌科で長時間待っているとき、先生が代わったこともあって診察室が放射線科の隣になった。あちらは例によってがらがらなので、Y先生かH先生が診察してくれて内分泌の薬や注射を処方してくれればいいのになあと、空に話していた。診察するときはリニアック室で「きょうは診察があるから」と教えてくれて、この診察室で先生と看護師さんが待っていてくれたものだ。放射線治療をしたときは、もちろん副作用は非常にきつかったが、放射線科のスタッフの人たちなど、いい印象もたくさんある。

「決して体にいいものじゃないからねえ」というY先生の言葉が今も心に残っている。Y先生は空の脳腫瘍を発見してくれた恩人である。放射線の照射をはじめるときは、機械の故障で遅れたこともあって、放射線科が心待ちにしていて、迎えてくれたような雰囲気だった。しかし、この病院で全脳から拡大局所と脊髄まで照射した例はあまりないようだった。H先生は、「空くんは毎日ボコボコにされているようなものだから」と言ったのを覚えている。そして最後に味覚がなくなったときは、言われている以上にきついものだということがわかり、びっくりした。

いろいろ思い出すうちに、さらにあれからネットで多くの方々の体験談や、これから放射線をどうしようかという話を見るたびに、うちは気持ちの上で幸運だったと思う。確かに吐き気もすごかったし、副作用は予想以上にきつかったのに、さして悩むことなく沈み込んでしまうこともなく、前向きに治療できた。放射線という恐ろしく危険な悪魔の光は、治療に利用されているうちの半分以上が悪魔のままのように受け止められている。空のように、命の光として、希望を持って、放射線照射できる方が少ないのかもしれない。他に手段がないと思われるケースでさえ、知能を低下させ、発育を阻害する障害をもたらすことが強調されてしまう。難し過ぎる問題なので何も結論めいたことを言えないが、放射線科に非常にいい印象を持ち感謝している私たちのような家族も間違いなくいると思うが、どうも少数のようだ。