満開の桜がいつしか葉桜となり、吹く風にさわやかな初夏の匂いを感じるような季節となっています。
あわら病院では、平成22年8月から約2年をかけて行っている病棟更新築の工事で、この3月に新病棟が完成し新たな年度を迎えました。
今年度は新たな病棟とともに、医師、薬剤師、放射線技師、理学療法士、心理療法士、保育士、看護師、介護福祉士など例年に増して多くの職種にフレッシュな人材を迎えることができ、職員一同、気分を新たに働いております。皆様の日頃からのご支持、ご協力のおかげであり、改めて感謝いたします。
当院は「地域に求められる専門医療の提供」を使命として掲げ、重症心身障害児(者)医療、血液・免疫(リウマチ)医療、長寿医療の分野に力を注いでいます。
昨年度は「在宅医療支援の充実」を目標に、他の医療機関や福祉施設と協力し地域医療福祉ネットワークづくりに励んできました。
具体的には市内の診療所からの慢性期急性増悪患者の引受や、福祉施設の嘱託医に対する診療応援、難病患者の訪問診療・訪問看護、福祉車輌の導入による短期 (レスパイト)入院の送迎サービス、あるいは人工呼吸器などに対応した新たな病室の整備など、坂井・福井地域の在宅患者と在宅医を支援し、地域に密着した専門医療の充実を図ってきました。
今年度も引き続き「在宅医療支援の充実」を中心に、地域医療福祉ネットワークのなかで自分たちの特色を生かした医療サービスの提供に励みたいと考えております。
国は今、団塊世代の高齢化に伴う多死の時代の到来はいわゆる「2020年問題」に対応して、急性期病院における医療の効率性を高め、急性期入院医療から在宅医療への早期移行を促し、最終的に在宅医療を拡充する制度改革を強力に推し進めています。このような中で、私たちはメンタルケアを含んだ総合的な診療能力が高い地域医療機関の活躍が今後、重要となってくると思っております。患者のかたの「生活の場がみえる」ところで入院診療をしっかり担える医療機関があることが在宅医療の成功につながるのではないかと考えています。
過去、日本人は勤勉さと誠実さで幾多の困難を一つ一つずつ乗り越えてきましたが、社会の大きな転換点に立っている今こそ、私たちも先人の努力を見習い、安心・安全で維持可能な地域の医療システムを確実に育て上げていきたいと思っております。まだまだ克服すべき課題は多く、まだ戸惑うことも少なからずありますが、これからも変わらぬ情熱をもって進み続けていきたいと考えています。本年度もよろしくお願い申し上げます。
院長 津谷 寛