栄養管理室から「豆知識」の投稿です。
今回は「油揚げ」のお話です。
最近、テレビ等でよく耳にするのが、福井県は「油揚げ」の消費量が日本一だということ。
確かにスーパーなどでも油揚げのコーナーが充実していて、たまたま寄った道の駅で揚げたての油揚げが販売されているほどであり(そしてそれがとても美味しい)、油揚げの県民食としての存在感に驚かされます。
福井県外の出身の私にとって、そもそも「油揚げ」とは
↑こんな感じの薄い油揚げをイメージするのですが、
福井県民の方々にとって「油揚げ」といったら
↑こんな感じのようです。
どうやら、他県で言う「厚揚げ」の事を、福井では「油揚げ」と言っているようです。(このことを知ったのはつい最近…。)
では、他県での「油揚げ」の事を、福井県民の方々は何と言っているのかと言えば…「薄揚げ」だそうです。(納得しました。)
つまり福井県の方に栄養指導をする際に、「夕食はご飯、煮魚、お浸し、油揚げでした。」と言われたら、
↑こんな感じ
の様に、分厚い「油揚げ」が食卓に並んでいるとイメージしなくてはいけません。
名称が様々あって混乱してきます…。
それで、本当に正しい名称は何なのか? 調べてみました。
栄養管理室T室長の助言もあり、「一般財団法人 全国豆腐連合会」という団体の情報をキャッチしました。
(ホームページまでしっかり作られています。…クオリティの高さに驚きました。)
そこにはしっかりと、「油揚げ」は「薄揚げ」と記載されていました。
「薄揚げ」と「厚揚げ」は作り方から違っているようですね。
これ以上深く追及すると、記事があらぬ方向に迷走してしまいそうなので、ここまでにしておきます。(詳しく知りたい方は→http://www.zentoren.jp/)
疑問が解消されたので、本題に戻ります。
(※ここからは特に注意書きが無い限り、「厚揚げ」の事を「油揚げ」と称します。)
福井県民の油揚げへの熱意は凄い、という所まではお話ししました。たぶん。
そして、つい最近「油揚げのレストラン」があるという事実を知りました。テレビでも取り上げられているそうです。
そんなに有名なら一度食べに行ってみたい…。と、いうわけで、早速行きました。
「油揚げ1枚御膳」・・・い、いちまい!?
14cm四方、厚さ4cm、重量約240gもある巨大な油揚げ、迫力がありますね…。
よく耳にする「外はカリッ、中はフワッ」は本当でした。油揚げを噛んだ瞬間にびっくり。
本当の油揚げの美味しさを知りました。(なんだか食レポみたいになってしまった…。)
ふと「牛肉などのステーキに換算したらどの程度の分量になるのだろう…。」と、素朴な疑問が浮かびました。気になったので、色々調べてみました。
(以下、※五訂増補 食品成分表:実教出版より)
【厚揚げ240g】(福井県でいう油揚げ)
エネルギー:360kcal、たんぱく質:25.7g、脂質:27.1g、炭水化物:2.2g
【厚揚げ100g(市販品1枚弱)】(福井県でいう油揚げ)
エネルギー:150kcal、たんぱく質:10.7g、脂質:11.3g、炭水化物:0.9g
【牛肉(輸入)・サーロイン脂身つき100g(厚切り1枚弱)】…例) ステーキなど
エネルギー:298kcal、たんぱく質:17.4g、脂質:23.7g、炭水化物:0.4g
【豚肉・肩ロース脂身つき100g(薄切り3枚強)】…例) 豚カツ、酢豚など
エネルギー:253kcal、たんぱく質:17.1g、脂質:19.2g、炭水化物:0.1g
【鶏肉・もも皮つき100g(1/2枚)】…例) 唐揚げ、照焼きなど
エネルギー:200kcal、たんぱく質:16.2g、脂質:14.0g、炭水化物:0g
【さば・生100g(1切)】…例) 照焼き、味噌煮など
エネルギー:202kcal、たんぱく質:20.7g、脂質:12.1g、炭水化物:0.3g
【まだい・生100g(1切)】…例) 焼き魚、煮付けなど
エネルギー:142kcal、たんぱく質:20.6g、脂質:5.8g、炭水化物:0.1g
比較すると、同じ分量ならば、厚揚げよりも肉類と青魚の方が高エネルギーですね。白身魚は脂質が少ないため低エネルギーとなっています。
(※厚揚げの栄養量は食品成分表から引用したものなので、お店で出している手作りの「油揚げ」と多少は違っていると思われます。あくまでも「参考値」という事でお願いします。)
肉類について、同じ部位で更にエネルギーを落とすのであれば、「脂身なし」「皮なし」などを選ぶのも良いですね。
料理の仕方もポイントです。同じ食材を使っても、料理方法によってエネルギーを増やしたり減らしたりできます。
高い) 揚げる⇔ 炒める ⇔ 煮る ⇔ 蒸す ⇔ 網焼き ⇔ 茹でる (低い
一般的には、
・調理に油を使う事でエネルギーupとなり(高エネルギー)、
・食材の油が抜ける事でエネルギーdown(低エネルギー)
となります。(ちなみにカロリーはエネルギーの単位です。)
油揚げは肉類や青魚と比べて低エネルギーかもしれませんが、油を多く使っていますので、うっかり食べ過ぎてしまわないように気を付けないといけませんね。
と、最後に若干、栄養指導っぽくなってしまいましたが、豆知識として知っておいて損はないかと…。
以上、ご家庭での料理の参考にいかがでしょうか。
― 栄養管理室 U ―
イラストはフリー素材のものを使わせてもらいました。
油揚げ1枚ご膳のお店は、丸岡の谷口屋さんだそうです。おいしそう。