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感染症との闘い

2011-11-15 15:33:44 | Weblog
しばらくアップをサボってしまいました。
10月末から猫の感染症と隔離室で闘っており、緊張感が抜けませんでした。
ようやく一段落してきたところです。

普段から「院内感染」を起こさないため、様々な工夫を凝らし努力しています。
人の病院も含め、感染症の病原体(ウィルスや細菌など)はいたるところに存在しているものです。
室内飼育の犬や猫であっても、人間の靴の裏に付いて来たりで、発生することはそうまれではありません。
抗ウィルス・細菌性の空気清浄機をかけ、診察台その他を消毒し、手も診察ごとに洗うか消毒しています。
スタッフの教育も徹底して行なっています。
しかし病原体持ち込みのリスクはゼロにはならない・・・。
不安ですが、それが病院というものでもあります。

人の病院に行き、咳をしている人が近くにいたとします。
風邪か気管支炎かマイコプラズマ肺炎か喘息か結核かインフルエンザか・・・、
その時点ではわかりません。
動物病院も同じリスクがあるのです。
したがって、ワクチンをしていない犬や猫は気をつけなくてはなりません。
今後、子犬や子猫のワクチンは来院時間を制限するか、特別室を作ろうと考えています。

予めお電話をいただけていると、診察時間をずらしたりして対応することが可能です。
今回のケースも、予めお電話いただけていて、もしかして・・・と感じました。
診療時間外に来ていただき、封鎖環境で診察したところ、感染力の強い病気だと判明しました。
そのまま隔離室で入院、院内消毒、封鎖環境の作成、接触スタッフの限定化などなど、たいへんでした。

当院には、診察室や手術室と完全に隔離できる部屋が複数あります。
今の病院は、空気の排気や動線(人が動くルート)の交錯も計算して設計しました。
またウィルスや病原性細菌をやっつける中性電解水の作製装置を初めから導入しました。
全てはこの状況がおきた際に、遮蔽して普通の診療を続けるためでした。
そしてついにこの隔離システムが役立つときが、来たのであります。
自分の習った・学んだ、感染症に対する知識が正しいのでしょう。
今のところ半月以上経ちますが、院内感染を起こしてはいないと判断できます。
なぜなら、わけありで長く入院しているワクチンなしの子猫ちゃんも、
院内感染を起こさずに元気に過ごしているからです。

しかし、ここに至っても油断はできません。
宮崎県での家畜伝染病である口蹄疫の大発生を忘れてはならないのです。
医療関係者であり病院の責任者である以上、通院や入院している子の安全は確保する責務があります。
スタッフに毎日「油断するな!」と言い続け、うるさいなあ・・・と思われても私は手を緩めません。
ワクチンをしてあればかからない病気ではあるんですが、してないと命に関わる場合があるのです。
敵が放射線と一緒で眼に見えないため、かえって怖いのであります。










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