日々の出来事

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自宅での看取り・・・

2012-06-27 10:16:16 | Weblog
先日、猫ちゃんをご自宅で看取っていただいたケースがありました。
緩和医療、在宅医療とでもいうべきものでした。
最後までご家族が猫ちゃんを大切に思って、尽くしてくれた姿が印象的でした。

その猫ちゃんは急性腎不全で入院し、一週間の入院中、
医学的には考えうる限りの治療を全てさせていただきました。
一時良くなる傾向も見られたのですが、残念ながら腎臓の機能は完全には回復してくれませんでした。

予後(今後の経過のこと)は不良・・・とわかりました。
どうしてあげるのが、その猫ちゃんにとって一番いいことなのか・・・。
お母さんとよくお話して、

 「治る可能性はほぼないならば自宅でのんびりさせたい」、
 「家族と一緒に過ごさせたい」、

そういうご希望で、看取る前提でお返ししました。
「苦しかったら往診でもなんでもするからね・・・」、と言うのが精一杯でした。

退院後、流動食を取りに来ていただいたりもしましたが、原則自宅で過ごしていただきました。
途中で一回診せていただけましたが、かなり弱ってきている様子でした。
退院後五日間を自宅で過ごすことが叶い、最後は家族に看取られて逝ったそうです。
お亡くなりになった後、病院でご遺体の処置を受けていただきました。

現在はかなり高度な医療を受けることができる反面、まだまだ治らない病気があるのも事実です。
一生懸命・あるいは丁寧に対応しても、治らない疾患がある・・・。
医療関係者としてしては、本当に切ない問題です。
我々にできることは、手を尽くしてあげることだけです。
その時代の医療レベルで、いかにやるべきことをやりきるかが重要なのだと思っています。

大切な家族である動物の旅立ちは、非常に辛いものです。
完治がない疾患の場合、いかに苦痛を取り除き、残された時間を有効に使っていただくか・・・、
実に難しい・永遠のテーマであります。