ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

ホッカイドー・ラーメン

2020-10-12 22:55:02 | 食事
 ホッカイドー・ラーメンとは、ニューヘイブンにあるラーメン屋である。筆者はニューヘイブンのイエール大学周辺を散歩した後に、“あ、ラーメンが食べたい”と思った。“ラーメンが食べたい”という気持ちが定期的に沸き起こるのは、身体にまだ若々しさが残り、健康である証拠なので、その感覚は嬉しいものだ。イエール大学付近、つまりニューヘイブン市の中心部には学生客を狙ったかのような、比較的まともっぽいラーメン屋がいくつか発見できたのだが、どうせ駐車に難儀するし、もう歩くのも嫌だったし、「ズズズ」と音を立ててイエールの秀才たちに『オー!ジーザース!』と、しかめ面をされるのは恐怖だったので、少し郊外のこのホッカイドー・ラーメンへと向かった。


このお店の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。



①ホッカイドー
米国には“HOKKAIDO”の名が付く日本食レストランがやたら多く、少し検索するだけでけっこう出てくる。米国人にとって北海道はそれほど知名度の高い場所なのだろうか。確かに最近は質のいい雪の魅力からスキー客が世界中からやってくると聞くが、わざわざ米国から足を運ぶ人は多くなかろう。それに特別大きな米軍基地がある訳でもない。理由は分からずじまいだが、ともかく少なくともアメリカでは“YAMAGATA”や“EHIME”、それに“GIFU”などに比べてHOKKAIDOは随分親しみのある名詞のようだ。



⓶立地・外観
ホッカイドー・ラーメンは、ニューヘイブン市街を出て、1号線を西方へ行くとすぐに現れる。携帯屋、作業靴やトレッキングシューズのレッドウィングの店などが入る大きな商業用建屋のひとつなので、外観に日本っぽさは全く見られない。しかし表に掲げられた立て看板には“Hokkaido Kaisen Ramen”と称して、海の幸がてんこ盛りのラーメンの写真があったので、店の主は北海道イコール海の幸というのを理解して店の名を付けたことが予想できた。



③店内・メニュー
店内は広々としてとても清潔感がある。たまに見かけるアジアン雑貨をこれでもかと置きまくった雑多な雰囲気はなく、壁に中国風の風景画や浮世絵風の絵画が飾られてある程度だ。調理カウンターには『拉麺』と書かれた赤ちょうちんがたくさんぶら下がっている。アジア人の男性店員が一人いて、気さくな笑顔でメニューをテーブルに置いていった。ラーメンのメニューは豊富で、日本語が添えられてあるが誤植が非道い。“ちゃしゅらめん、ぎゅにくらめん”はまだ許せるものの、“ぇげたりあんらめん”や“SぴCYみそらめん”などと原型の予測が難しいほどの誤植もある。ただし海鮮ラーメンが“カイゼンラーメン”なのは誤植ではなく、トヨタ自動車へのオマージュなのかも知れない。筆者はムール貝たっぷりの海鮮ラーメンには少し怖気づいた。でも普通の醬油やトンコツじゃあ面白くないので“ぎゅにくらめん”をいただくことにした。



④味
ぎゅにくらめんを待っていると奥の厨房から男性店員の妻と思しき女店員が現れて、『キムチは要りますか』と尋ねてきたので、どうやら店主は韓国の人のようだ。よく見るとメニューにはプルコギなどもある。やってきたぎゅにくラーメンの見た目は豪華だ。牛丼の具のようなバラ肉がどかんと乗っかり、煮卵とチャーシューも本格的だ。さっそくいただいてさらにびっくり、牛丼の具のようなバラ肉は甘めに味付けされており、それはまさしく牛丼の具そのものだったのだ。そういえば紅ショウガも載っている。牛丼の汁の影響で甘みを増した醬油ベース(おそらく)のスープは、テーブル胡椒をふんだんにかけて食べるとなかなか悪くない。日本では母親しか作らないほどの柔らかめの麺も食べやすくて懐かしい。YELPを見れば周辺住民の評価もすこぶる高いイチオシのラーメン屋のようだ。



 しかしこの国の外食は高い。ラーメンが税抜き12ドルだ。ビッグマックセットですら8ドルくらいする。これは単純労働者の最低賃金が高く設定されていることが理由のひとつだ。コネチカット州の法定最低時給は11ドルで、日本の首都東京よりも高い(2020年現在)。米国は日本に比べて労働組合の力が強いし、人材派遣会社のような悪徳ピンハネ組織もないので、単純労働者は日本のように搾取されない。つまり働いている人は基本的にお金があるのだ。そのはずだ、だってマクドナルドもラーメン屋もいつだって混雑している。それでもアメリカは貧富の差が大きいのは、つまり失業率が高いことが原因のはずだ。町には乞食が溢れているし、スラムのような場所もある。翻って日本は、失業率は低く乞食は少ないけれど、低時給で搾取される人々が増加している。統計データではなかなか掴めない現実がある。『アメリカでは・・』『欧米では・・』と、簡単に比較できないことは明らかなので、すぐにそうやって海外の例を何かと持ってくる人は基本信用しないようにしている。そしてアメリカのラーメンの麺はいつでもどこでもとても柔らかい。

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