読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

クリント・イーストウッド監督が掘り起こしたある殺人鬼の罪、「チェンジリング」(アメリカ/2008年)

2009-07-24 18:15:20 | 映画;洋画
~1928年、シングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、ロサンゼルス郊外で9歳の息子ウォルター(ガトリン・グリフィス)と暮らしていた。ある土曜日、彼女は同僚に泣きつかれて断り切れずに休日を返上して仕事へと向かう。暗くなって彼女が帰宅すると、家で一人で留守番をしているはずの息子の姿はどこにもなかった。(シネマトゥデイ)~

原題:Changeling
監督:クリント・イーストウッド
脚本:J・マイケル・ストラジンスキー
音楽:クリント・イーストウッド
撮影:トム・スターン
出演:アンジェリーナ・ジョリー(クリスティン・コリンズ)、ジョン・マルコヴィッチ(グスタヴ・ブリーグレブ牧師)、ジェフリー・ドノヴァン(J・J・ジョーンズ警部)、コルム・フィオール(ジェームズ・E・デイヴィス警察本部長)、ジェイソン・バトラー・ハーナー(ゴードン・ノースコット)、エイミー・ライアン(キャロル・デクスター)、マイケル・ケリー(レスター・ヤバラ刑事)、ジェフ・ピアソン(サミー・ハーン)、デニス・オヘア(ジョナサン・スティール)

原題の「Changeling」は、「取り替え子」という、自分の子供が醜い子供に取り替えられるというヨーロッパの伝承に基づくものだそうです。本作とは直接的に関連はしませんが、偶然にもちょうど今読んでいる本が大江健三郎さんの「取り替え子」という小説なんです。せっかくですので、「取り替え子」についてウィキペディアから少しく引用しておきます。

~取り替え子 (英語:Changeling)とは、ヨーロッパの伝承で、フェアリー・エルフ・トロールなど伝承の生物の子と、人間の子供が秘密裡に取り替えられること、またその取り替えられた子のことをいう。明らかに取り替えられたと分かるような、木のかけらがたちまち弱って枯れてしまうこともあった。このようなことをする動機は、人間の子を召使いにしたい、人間の子を可愛がりたいという望み、また悪意からであるとされた。伝承であるにせよ、親から取り替え子だと疑われた罪のない子供たちにとっては、むごいことであった。~

<取り替え子 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%96%E3%82%8A%E6%9B%BF%E3%81%88%E5%AD%90

さて、本作は、1928年のロサンゼルスで実際に発生したゴードン・ノースコット(1906–1930)による「ウィネビラ養鶏場殺人事件」の被害者家族の実話を元にクリント・イーストウッドが映画化した作品ですが、すでに俳優から監督としても巨匠の域に達したイーストウッド監督がまたまた骨太の社会派エンターティメント作品を作り上げましたね。

<ゴードン・ノースコット事件 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6


そしてまた、本作とは直接関係がありませんが、20数年前にテレビのサスペンスドラマで、桃井かおりさんと渡瀬恒彦さんが兄妹役を演じた作品を思い出しました。私がこれまで観たテレビのサスペンスドラマで屈指の作品だと思っているのですが、タイトルを思い出せなかったので改めてチェックしてみると、1984年の「生きていた男」という作品だということがわかりました。この作品では、子供ではなく帰ってきた兄を巡るサスペンスになっています。

<「BS-TBS ザ・サスペンス 生きていた男」>
http://www.bs-tbs.co.jp/app/program_details/index/DRT0409700

で、この作品には原作があることもわかりました。マイケル・アンダーソン監督による1958年の「CHASE A CROOKED SHADOW」という作品です。


閑話休題。イーストウッド監督が本作で掘り起こした、実在のゴードン・ノースコットについてはコチラ。

<殺人博物館〜ゴードン・スチュアート・ノースコット>
http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text2/northcott.html


そして、同じく実在したクリスティン・コリンズ(1891 –1964)がコチラ。

<Wineville Chicken Coop Murders– Wikipedia>
http://en.wikipedia.org/wiki/Wineville_Chicken_Coop_Murders


クリント・イーストウッド氏は監督だけでなく、作曲家としても手腕を揮っているんですね。「ミスティック・リバー」(2003)以来、彼が作品の音楽を書き続けているのには驚きます。また、「Clint Eastwood」という名前が「Old West Action」(懐かしい西部劇)というアナグラム(言葉遊び)だと初めて知りました。このブログでは下記の作品を取り上げました。

<亀田一家に欲しいほんとうのハングリーさ、「ミリオンダラー・ベイビー」(アメリカ/2004年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/ca5c8ea8bcf456ae1cebdb6881515aa0


最後に出演陣ですが、クリスティン・コリンズを演じたアンジェリーナ・ジョリーについては、下記の作品で取り上げました。

<一人の死の意味は問われたか、「マイティ・ハート/愛と絆」(アメリカ/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/cf64764559c0514d88832003faa766bd


ブリーグレブ牧師に扮したジョン・マルコヴィッチについては、下記の作品で。

<「ファム=ファタル(宿命の女)」の追求者、「クリムト/KLIMT」(2006年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/5fb9ff6203cb279e396d68e8868682a3


少しマニアックになるかもしれませんが、アンジェリーナ扮するクリスティン・コリンズが入れられた精神病院で彼女のアドバイスを行なう「患者」キャロル・デクスターを演じたエイミー・ライアンは、脇役ながら話題作にしばしば登場する女優さんで、最近では下記作品に登場しています。

<一瞬にして崩壊する家族の「その土曜日、7時58分」(アメリカ/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/e3ebfed897dda93b8590cbb6d922d534


デイヴィス警察本部長を演じたのはコルム・フィオール。私と同じ歳の彼については下記の作品で。

<禁断症状のカンフル剤、「24 リデンプション」(アメリカ/2008年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/753f4181359f26d7bf560fb0cece058a


そして、殺人鬼ゴードン・ノースコットに扮したのはジェイソン・バトラー・ハーナー。お初にお目にかかりますと思っていたら、「The Good Shepherd」(2006)、「Next」(2007)にも出演していたとのこと。彼は、1970年10月9日生まれのアメリカの俳優さんです。

<Jason Butler Harner – Wikipedia>
http://en.wikipedia.org/wiki/Jason_Butler_Harner

最後は、どうしようもないジョーンズ警部を演じたのがジェフリー・ドノヴァン。ジム・キャリーをちょっ硬派にした感じでしょうか。FOXチャンネルで放送中の海外ドラマ「バーン・ノーティス」で主人公の「突然解雇された元スパイ」役を務めていますね。

ジェフリー・ドノヴァン(Jeffrey Donovan, 1968年5月11日 - )は、アメリカ合衆国の俳優。マサチューセッツ州出身。マサチューセッツのマサチューセッツ大学アマースト校で学んだ後、ニューヨーク大学で演技を学ぶ。1995年にデビューし、映画・テレビの両方で活躍している。2008年公開のクリント・イーストウッドの新作『チェンジリング』にも出演している。

<ジェフリー・ドノヴァン - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%8E%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3


最新の画像もっと見る

コメントを投稿