美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

豊かさの目安

2012-10-25 15:36:09 | Weblog

 

「40年後には一人あたりのGDP(国内総生産)で韓国は日本の2倍になる」英国の経済紙「エコノミスト」に所属するシンクタンクグループが膨大なデーターをもとにまとめた「2050年の世界」の一章‘グローバリゼーションとアジアの世紀’で示された予想値の一つです。先に、国際的な格付け会社であるフィッチ・レーティングが韓国国債の信用格付を「AA-」へ引き上げたことで、初めて日本の格付けを追い抜いたことが話題になったこともあり、韓国内では大いに意気高揚している人々もいるようです。

しかしこういった断片的情報や、報道だけみると韓国が既に経済力では日本に追いつき、今後は差を広げていくばかりであるとも捉えられ易いですが、昨年の GDPでは5倍以上の差があり、それ以上に対外貿易立国である韓国全体の貿易黒字額に匹敵するほどの対日貿易赤字が未だに解消できずにいる現実があります。また、1990年代から始まった日本の「失われた20年」の構造的原因ともいえる少子高齢化による生産性の低下は、韓国においても全く他人事ではありません。そして景気低迷期に突入した場合、日本ほど長期的に耐えうる体力があるかどうか憂慮する経済学者もいます。

その他エコノミストによる「2050年の世界」の予想として、「経済規模での世界上位7か国は、アメリカ以外は、中国、インド、ブラジル、ロシア、インドネシア、メキシコ」「最大の人口を持つのはインド(17億)次いで中国、そしてアメリカを抜きナイジェリア」「人口減を要因にして中国の繁栄は長続きしない。日本、欧州と並んで最大の人口負け組になる」「貧しい国では億単位で貧困層から中流層に駆け上がり、豊かな国では中産階級がぼろぼろと貧困層にこぼれおちる。その為、国際間の格差は縮小し変わって国内格差が世界的に広がる」などがあります。

本の最終章は、「予言はなぜ当たらないのか?」題して過去のこのような未来予想がことごとく外れている理由に関して述べています。理論的に予言というものを分析しての内容ですが、結論的には人間は問題に面したとき、対策を講じるからというものです。未来に期待しましょう!

 

 

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独創性と緻密さとスピード

2012-10-11 14:28:07 | Weblog

 

病院の遅い夏季休暇を利用してソウルに行きました。予定の数日前から大型台風が沖縄から朝鮮半島という進路で通過するという予報があったため、何とか出発日にはぶつからずにと願ったにも関わらず、まさに当日に朝鮮半島上陸という事態になりました。それでも、当日は、朝早めに空港に向かいながらネットでソウル行の発着情報をチェックすると、案の定午前中の便は、ことごとくdelayと表示されていました。ただ私が搭乗する韓国の航空会社の便だけはdelay ではなくnew timeとなっていました。当然他の便と同じように台風の影響が納まる夕方に変更になるだろうと考え、時間のつぶし方など考えながら空港に到着しカウンターにいくと、何やら急いで搭乗手続きを進めていました。説明によると「少しでも台風が近づく前に出発します」とのことでした。結果的には、その日の午後にソウル近郊を台風が接近したことで、夕方には仁川空港は閉鎖されたため、見事な判断!だったわけです。

全世界で繰りひろがれているサムスンとアップルの特許訴訟戦の一つ、カルフォルニア州の連邦陪審では、ほぼ全面的にアップルの勝利となりましが、その数日後の東京地裁では別の特許に関してサムスンに軍配があがりました。アップルのホームである米国での敗訴から、細かい工夫や技術面での改善、進歩よりもソフトやスタイルの独創性を重んじる欧米の意識を垣間見た気がします。飛ぶ鳥落とす勢いのサムスンが、アップルのホームグランドで、痛い一撃を受けたわけですが、十数年まえに米国市場に乗り出し、最初は奇異な目で消費者から見られながらも、とにかく派手な広告とずば抜けた製品開発のスピードで、今ではあの大アップルと互角にやりあうまで成長した事実にむしろ感慨深く思うも多いのでしょう。90年代まで全世界に緻密さと精巧さで様々な製品を送り出した日本のメーカーは、アップルの独創性に対し、集中とスピードで対抗するサムスンの姿は、単純に日本の模倣を懸命にしただけだとは看過できないのではないでしょうか。

戦後間もなく陸軍で使用していた無線用小型エンジンを改良して自転車に取り付けた原付自転車がホンダのバイクの始まりでした。やがて、BMWなどの外国製オートバイを手当たり次第に分解して研究し独自設計の日本製オートバイ ‘ドリーム号’が完成するのです。もし、この時 特許という概念があったら今のHONDAは存在しなかったでしょう。

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スポーツと政治

2012-10-03 17:03:54 | Weblog

 

  連夜の熱戦で、オリンピック期間は私だけでなく多くの方々が寝不足気味であったのでないでしょうか。そのスポーツと平和の祭典ともいわれる五輪も無事閉幕しましたが、一選手の些細な競技後の行動をきっかけに、逆に韓日国民に微妙な感情的亀裂を生み、その余波が政治家の発言と相まって、さらに両国関係をぎくしゃくしたものにしています。歴史的、政治的に内在していた摩擦が、スポーツを発端に起きたことは残念なことですし、オリンピックの理念に反するでしょう。その点では、韓国選手に対して今回のオリンピック委員会の指摘はやむを得ないものですが、へそ曲がりの私には一般的なよくいわれる「スポーツと政治は別もの」という言葉には若干違和感があります。

  一定のルールのもとに行われる競技、スポーツ自体に政治が関与する余地はないでしょう。しかし、国対抗の試合であったり、各国から参加する国際大会である場合、選手たちは当然 国を代表し、国の名誉を掛けて競技に臨むことになります。選手たちの純粋な意気込みは別としても、その大会が世界的な注目度が高ければ高いほど、政治的な思惑がさまざまな形で働くことは十分にあり得ることです。オリンピックを例に挙げれば、1936年のベルリン大会はまさに、ナチスドイツが世界にゲルマン民族の優越性を誇示するためのものであり、ドイツでは「非政治的、中立的」選手は逆に排除されました。そしてこの大会で、日本統治時代のため、日本人としてマラソン競技に参加し、金メダルと銅メダルを獲得したのが孫基禎(ソン・ギジヨン)と南昇竜(ナム・スンヨン)選手でした。すでに世界記録保持であった孫基禎選手は、ベルリン滞在中外国人記者にサインを求められるとハングルで署名し、その横にKOREAと書いたといいます。その後の近代オリンピックの歴史をみても、各時代の国際状況、政治の影響を全く受けなかった大会はむしろ珍しいかもしれません。1948年、戦後初めてのオリンピックでは日本、ドイツは敗戦国ということで参加は認められず、逆に韓国は日本による植民地からの独立で初の参加となりました。

  どの国の人間であろうと、自国の選手が活躍すれば国威発揚とまでいわずとも、誇らしく感じ、逆に試合で負ければ悔しく思うのは当然です。しかし、その感情を政治的に利用しようとする何者かが存在する可能性に関しては、常に冷静でなければいけないと考えます。

 

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