美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

超能力

2014-05-23 10:11:19 | Weblog

ヒトは超能力という言葉に憧れとロマンを感じるようです。昨年末から今年初めにかけて放送された韓国ドラマ「星から来たあなた」は中国でも大ヒットし、社会現象にまでなっていることが米ワシントンポスト紙で報道されました。他の星から400年前に来た超能力を持つ男性と一人の女優が繰り広げるラブコメディーです。「昆明駅テロ事件や官僚の腐敗、経済成長鈍化といった中国内問題に直面しているにもかかわらず、中国の2大政治会議の参加者の口から出たイシューは、嵐のように国をさらった韓国ドラマのことだった」「主人公が『(雪が降る日は)ビールにフライドチキンが食べたくなる』と話しただけで、中国のネットで最もつぶやかれる言葉がビールとフライドチキンになった。レストランではビールとフライドチキンを売り始めた」と、その過熱ぶりに驚く内容の記事でした。まさに主人公の超能力?がなせる業かも知れません。

私などは「超能力」で思い浮かべるのは1970年代いわゆる超能力ブームのきっかけとなったユリ・ゲラーです。暫しテレビで紹介されスプーン曲げや透視、手を触れずに磁石の針を動かすなどの念力を披露しました。半信半疑で何かトリックはないかとその一挙一動を熱心に見つめていた記憶があります。科学では説明できないもの、理解できない未知の対象不思議への不思議な魅力でしょうか。超常現象、超常体験を科学的手法により解明する研究で有名な英国ハートフォードシャー大学教授のリチャードワイズマン教授によると予知、予言、テレパシー、まさゆめ、念力、幽霊といった摩訶不思議とされるほとんどの現象、事象は人間の‘思い込み’が原因であると結論付けています。例えば、「友人のことを思っていたところその友人から電話が来た」「数日前に見た夢が現実に起きた」「ペットが超能力で飼い主に何かを知らせた」など偶然で起きたことに対し、当たったと関連付けて思い込む性質が人にはあるというのです。確かに、毎日夢を見ても、誰から電話が来ても、毎日犬が吠えても意識しなければ気にも留めず忘れてしまいます。また占いを信じやすい人も、全く無意味な言葉にも自分の出来事と関連性を見出し思い込むタイプが多いようです。ただ、このように事実ではないことに関連付け、パターン化する能力は、人間が進化の過程で起きていない危険を予想して退避するために身に着けたともいいます。

思い込みや関連付けは、超常現象だけではなく人間の本質に潜んだ問題でもあります。○○人の誰かが事件を起こしたと聞くと、○○人は犯罪を起こしやすい民族であるとして差別につながるリスクも指摘しています。人は不思議なものに惹かれる性質と、理解できないものを恐れ嫌う両面を持っているのでしょう。

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言論の自由と情報判断

2014-05-17 13:41:30 | Weblog

 

「五十にして天命を知る(知命)」と言いますが、あくまで孔子ほどの賢人君子の話であって、私のような凡人では四十で到達する‘不惑’もままならず、些細なことにも心乱されることも少なくありません。最近では、歩きながらスマートフォンを凝視している所謂「ながらスマホ」族にはどうもイラっとさせられます。周りにも迷惑であるだけではなく本人にも危険であり、イヤフォンまでしてればまさに「見ざる聞かざる」状態で実際に大事故につながったケースあるようです。そもそも、そこまで時間を惜しんで確認しなければならない情報とはいったい何でしょうか。大袈裟かも知れませんが、自分の目の前に存在する現実、事象を疎かにし、発信者が誰かもわからない、あるいは見えないものを優先する風潮には不安を感じます。

 

民主国家の基本の一つに「言論の自由」というものがある事は言うまでもありません。しかし大量の情報、報道が様々な形で溢れている現代においては、情報量の多さに惑わされて本当に知る権利が保障されているかが曖昧になる危険性も含んでいます。つまり、発信者が意図的に知らせたくない内容は控え、都合のよい情報や当たり障りのない情報を大量に流すこともあり得るからです。1985年にフランスで発足した国境なき医師団ならぬ「国境なき記者団」という世界のジャーナリストによる国際的非政府組織で毎年‘国別報道自由ランキング’を発表しています。2014年度は1位からフィンランド,ノルウェー、オランダ・・・と上位は常連の北欧諸国が占め、団体本部のフランス39位、自由の国 アメリカはボツワナ、南アフリカなどのアフリカ勢より低い46位でした。東アジアでは台湾が50位、韓国は昨年より7つ順位を下げて57位、そして日本は2011年以降順位を下げ続け59位でした。特に日本の場合、報道自由度を五段階に分けた分類では三番目にあたる「顕著な問題のある国」という評価となり、主要先進国で唯一含まれることとなりました。

 

日本からの独立後、朝鮮戦争、南北分断から軍事政権を経てようやく民主化を成し遂げた韓国では、今でも政府側の報ずる情報に対して不信感や反感から、根拠のない陰謀説を流す人々が存在し、国民の不安を煽るケースがあります。勿論、不要に互い深くなることはありませんが、どんな情報であれ最終的には自分で考え、判断する姿勢を持ってこそ、 その社会、メディアを正しい方向に導く大切な方法であると考えます。

 

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