美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

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高麗人参と御種人参

2011-12-24 15:25:37 | Weblog

子供のころ、今も懐かしい「水戸黄門」「大岡越前」といった日本の時代劇をよく見ていた記憶があります。そのなかで、病気の父親を救う唯一の薬が朝鮮人参で、薬代を払うために娘が身売りする覚悟をする場面が時々あったのを覚えています。実際、江戸時代‘人参’は非常に貴重であり、値段も高価でした。江戸時代、天保七年の記録に、人参一斤あたり銀三十八貫という記載があり、今の値段にすると800万円以上になる換算で、確かに一般庶民には到底手が届かないものです。日本では一般的に‘朝鮮人参’ですが、韓国では‘高麗人参’と言います。朝鮮半島を代表する植物といってもよく、古来より不思議な効能を持つ‘神草’として、病気の治療や予防に使用されてきました。現在、高麗人参の産地と言えば、ほとんどが朝鮮半島と中国満州地方ですが、全生産量の3%ほどが日本で栽培されているのはあまり知られていません。

739年、渤海の文王から聖武天皇へ初めて高麗人参が送られたという記録が残っています。その後、足利時代、室町時代も朝鮮使節により国交礼品として贈呈されました。江戸時代に入り、8代将軍吉宗が高麗人参栽培を命じます。高麗人参の栽培は非常に困難とされているのは、整地し種子をまいてから6年しなければ収穫ができなく、その間、非燥、非陰、非陽など厳密な環境条件を整える必要がある為です。また、人参が土地の栄養分を根こそぎ吸収してしまうため、再び耕作するためには自然に1020年放置しなければならなく連作も難しいと言われています。しかし、そこは研究熱心な日本人。日光の幕府御料地にて1729年世界で初めて人工栽培に成功しました。収穫された人参の種は幕府から各藩に下賜され全国に栽培を奨励しました。将軍家から授かったということでその後‘御種人参’という和名で呼ばれるようになります。一時は、日本から清国に輸出するほど盛んに生産された時期もあったようですが、今では島根県大根島、福島県会津、長野などごく一部で残っているのみです。

高麗人参の中でも奥深い山の中で自然に生息する山人参(山参)は、特に貴重で薬効も高いと言われるため、価格も栽培されたものの数十倍します。2002年の日韓共催サッカーワールドカップ開催時、韓国全土のシンマニ(山参取り)たちによって、ベスト16進出を願い韓国選手団に選りすぐりの山参1億ウォン相当が寄贈されました。結果はベスト16どころかベスト4!山参畏るべしべしです。

 

 

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美容整形大国から美容医療先進国へ?

2011-12-17 17:43:57 | Weblog

10年ほど前に知人に、当時韓国で有名な占いの先生のところに案内されたことがあります。韓国は実は占い大国でもあり、特に四柱推命という占法は、結婚や就職、仕事などの様々な局面で決断材料として生活に根付いてます。私がみて貰った年配の女性は、顔を見るなり「あなたの周りには何て多くの女性がいるのか!」と一緒にいた家内が鼻白むようなことを言われました。残念ながら、それほど多くの女性と縁がなかった私としては訝しく思いつつ、日本で形成外科の医者であること告げると、納得したように頷いていました。やはり噂通りの実力です??

日本で形成外科専門医といえば美容治療を専門にしている医師はむしろ少数派で、多くが外傷、再建外科、先天奇形などの疾病治療分野で働いています。私も大学に所属している時は、美容は将来の自分の専門として個人的に研修、研究しつつも、普段は同様に保険治療を中心に診療していました。一方韓国の形成外科医(実際は形成ではなく成形外科医といいます。)は、最終的には大部分が美容整形、美容外科の分野に進みます。このように韓国の場合、初めから美容を目指すため、専門医を取得すれば保険診療での臨床はほどほどに、一刻も早く美容的な技術を習得して、開業を目指します。そのため、いくら美容医療に対する国民の関心や需要が高いといっても、年々形成外科医同士の競争は熾烈になっています。また韓国の形成外科医は、早く効率的に実践的な技術を習得する手段として、治療の細分化が進んでいます。つまり二重手術、鼻手術、輪郭手術、胸手術、脂肪吸引種術専門といったように、ワンパーツに特化した診療スタイルが特徴で、数人の専門医が集まって協力しながらクリニックを運営するのも一般的なものとなっています。過酷な国内の競争は、行き過ぎた広告や不十分な説明、カウンセリング、過剰な手術によるトラブルも伝えられますが、専門医の切磋琢磨により、アジアにおいては手術数だけではなく技術的にも美容先進国として目覚しいものがあります。

美は部分々の集合ではなく全体的なバランスが大切であり、形成外科専門医なら総合的な治療を理想と私は考えます。しかし‘選択と集中投資’という韓国企業のとった戦略は、美容医療の分野でも急速な進歩をもたらしたことも認めざるを得ません。

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経国済民とFTA,PPT

2011-12-10 14:48:10 | Weblog

経済という言葉は、古代中国の「経国(世)済民」、つまり「国を治め、民を救済する。」という政治政策的な意味からきているものです。これが明治時代になり、economyの訳語に使われるようになりました。そして、この[economy]という単語、ギリシャ語のoeconomiaに由来し、‘家を管理する方法’ひいては‘共同体の在り方’を意味し、やはり国や共同体でのルールや治め方を表す点では共通しています。つまり、本来経済とは、人が集団で生きていくために必要な仕組みを示すものであるはずですが、現代の経済学者や専門家が考えるところはかなり違うようです。物々交換や労力の代価として、モノを与える時代から、やがて貨幣によって財を蓄えることができる時代になっていきました。しかし働くにしろ、モノを生産するにしろ、何かしらの努力をすることでその代価を得るということは簡単に理解ができます。しかし、いつしか金融工学、経済工学という学問が誕生し、難解な数学やコンピューター分析を用いて、画面上で莫大なお金がやり取りされる今の状況は、私のような経済音痴には説明されてもなかなか納得し難いものです。

勿論、今世界を不安にしているヨーロッパの金融危機にしろ、遠く離れた日本や韓国まで、その影響を受けざるを得ないのは、原油などの価格や輸出入に直接影響を与えるからという点では当然かもしれませんが、やはりここにも投資家と言われるマネーゲームで莫大な富を操っている集団の存在も大きいのではないでしょうか。日本に追い付き追い越せと、盛んに他国との貿易協定を進めてきた韓国が、韓米FTA締結という段階になってから、韓国内で野党の反対を受け連日紛糾しています。これは実務的な交渉に入り漸く実際の内容が見えてきたからかも知れません。しかし、サムソンと現代という二大財閥がGDPのかなりの割合を占めるうえ、GDP7割を輸出入である典型的な外需国である韓国は、最終的な活路はやはり外国との貿易ということで、リスクを覚悟しても出ていくでしょう。反面8割は内需による経済活動の日本では、PPTの内容が不透明な中、判断材料が不足しているのは間違いありません。

「国富論」のアダム・スミスは、市場原理として‘最小の労力で最大の利益を得ようとする人々の欲求が、神の力により社会の利益と調和をもたらす。(神の見えざる手)’と述べました。しかし、最小の労力もなく知力?のみで最大の利益を得ようとする人々の出現までは予想しなかったようです。

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