美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

インバウンド医療観光について

2010-03-24 10:08:01 | Weblog

 

インバウンド医療観光について

 

インバウンド(inbound)という言葉をご存知でしょうか?これは「外から内に入ってくる。」という意味で、観光の世界では、訪日外国人旅行者のことで、その逆はアウトバウンド(outbound)日本人の海外旅行者を指します。日本は、アウトバウンドに比べ、インバウンド観光の比率が低く、外国人旅行者受け入れ数は、国際ランキングは32位に留まっています。(世界観光機関2005年統計)

そこで日本政府は、観光立国の実現のため、200910月‘観光庁’を設置して、2010年までに海外旅行客1000万人到達を目標にあげました。その目玉の一つとして注目を浴びているのが医療観光です。同様に観光を国の主幹産業として育成させようと考えて来たインド、シンガポール、タイ、韓国などでは既に国を挙げて、この医療観光に取り組んでいますので、日本はやや出遅れた観があります。観光庁は、まずアジアでの日本の医療技術に対する信頼性、安全性また、高度な医療機器、そして温泉などの地域的な特徴を生かして、中国などの富裕層を招致すべく、実証事業のプロジェクトを始めました。私のクリニックは、東大病院の事業推進委員の推薦から、美容医療パートでテストクリニックとして参加、協力することになり、この一ヶ月、その対応に追われています。(文頭で偉そうにインバウンド云々と解説しましたが、私もそれまで初耳だったのです・・・)

少し前までは、強い円を懐に、礼儀正しく文句は少ないということで、世界の有名ホテルのアンケートにおいて望ましいお客の第一に選ばれる日本人観光客でしたが、その地位も中国に奪われるのも時間の問題。受け入れる側となると、様々な文化、習慣を持ち、コストパフォーマンスに敏感な外国人に対する柔軟な対応が必要です。ましてや医療となると、言語の問題、医療文化の違い、医療ビザの必要性、現行の国内保険医療制度との区別など観光庁だけでは、どうしようもない部分があります。それでも、歯の治療はA国、胃の手術はB国、人間ドッグはC国でという 時代は、もうすぐそこまで来ているのかも知れません。

 

 

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ソルラルと春節と旧正月と・・・

2010-03-17 16:04:44 | Weblog

 

ソルラルと春節と旧正月と・・・

 

 

朝鮮半島、中国、台湾、モンゴル、ベトナム、そして その他東南アジア諸国においての最大の年間行事は、旧正月でしょう。かつては日本でも、正月は旧暦で祝っていましたが、明治政府が欧米に倣って、グレゴリオ暦(新暦)に直したことで、その習慣が忘れられました。しかし、今でも正月を表す挨拶や季語に‘初春’など春の字が多く使われるのは、旧暦の名残かもしれません。

韓国では今年のソルラル(クジョン、旧正)の帰省で、2500万人以上が移動したようですが、中国に至っては鉄道だけで21000万人、国内全体では本土の人口を超える、延べ254100万人が大移動をするというから驚きです。これは、人類史上最大の規模だと言われます。これらに伴う経済効果は一体どの程度になるのか想像すると、世界経済にも大きな影響を与えても不思議ではありません。欧米諸国でよく、クリスマス商戦をその歳の景気の指標にすることがありますが、ゆうにその額を超えそうに思えますが、どうでしょう。ところで今年は、偶然 旧正月とバレンタインデーが重なりました。あまり関係ないという人も多いでしょうが、韓国、中国では、家族を取るか、恋人を取るかで悩んだカップルもいたそうです。そこはやはり家族を優先して、恋人には帰省してからあらためてと、故郷に行った若者が多かったようで、これも旧暦の勝ちですかな。

我が家でも、格式通りというわけには行きませんが、ささやかな‘ジェサ’(祭祀)の準備をして朝、先祖にお祈りし、家族でトック(韓国雑煮)を食べていると、日本の最近の正月にはない、落ち着いた気分になるのは、私が歳をとったせいだけではない気がします。日本も明治政府が、当時の欧米の文化、制度を取り入れて、新暦に変えた様に、アジアの新しい時代、少子高齢化の中、家族意識向上、そして何よりアジア全体の経済波及効果を考慮しても、再度 旧正月を復活すると言う案は検討してもいいのではないですか?

 

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大相撲、シルム、ブフ

2010-03-10 16:49:38 | Weblog

 

大相撲、シルム、ブフ

 

横綱 朝青龍の突然の引退は、国内は勿論、海外でも話題になっているようです。当然 母国のモンゴルでは、驚きと共に、彼への擁護論そして日本のマスコミ、相撲協会への非難が大勢です。日本の伝統競技である相撲の慣習やしきたりは、今の日本の若者でさえ、馴染み難いもので、外国人力士となれば尚更であることは想像できます。日本人の有望な若者の入門者が減少する中、自ら海外からスカウトするしかない相撲部屋の事情なども考慮すると、在日の私からは、やや同情的な気持ちになるところです。

ところで相撲は日本の国技とされていますが、そもそもこの‘国技’という定義は曖昧で、本来は国家機関などで定められているものを指しますが、単に国民の中で広く親しまれているスポーツであったり、国固有の伝統技に対しても国民的競技と言う意味で‘国技’と表現することもあるようです。日本の相撲も、国で定められた‘国技’ではないのです。むしろ、競技人口、固有の伝統、世界的な知名度を考えれば、柔道や剣道の方が適切かもしれませんが、そもそも日本の場合、正式に‘国技’と定められた競技はありません。一方 韓国の場合は、国技と言えば‘シルム’でも‘サッカー’でもなく‘テコンドー’で、これは正式に認められたものです。また モンゴル相撲で知られる ‘ブフ’は、伝統的格闘技で、民族的、宗教的儀式と人気スポーツとして国技と位置づけられていますが、こちらも正式な定めはないようです。

大相撲も、歌舞伎や能のような伝統芸として国内で守っていくものとして育てるのか、人気競技として国際的にもファンを増やす努力をするのかは、時代の変化の中で考えていく時期かも知れません。韓国シルムが廃れてしまった背景には、そのどちらも中途半端であった結果とも言えるでしょうから。守るべきものと、時代に合わせて変えて行くべきもの。その国の人間にも、外国人にも双方に利益があるもの。相撲に限らず、今検討されている‘ある制度’に関しても通じる課題だと言えます。

 

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健康神話について

2010-03-01 15:48:36 | Weblog

 

健康神話について

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人間、健康が大切であると言うことに異論を唱える人は少ないでしょう。ただ、健康であるとはどのような状態なのかは、実は曖昧なのかもしれません。日本の平均寿命は、82.6歳と世界一です。また、介護を必要とせず、自立した生活ができる期間を表す‘健康寿命’も75歳でやはり世界一です。韓国はというと、平均79歳で193ヵ国中28位、こちらも比較的上位です。どちらも世界的には、健康で長寿の国と言えるでしょう。しかし、自ら「自分の健康状態は良い。」と考える成人の割合は、韓国人は47%、日本人に至っては僅か33%に過ぎません。アメリカやカナダ人は88%、他の国々も70%前後なのに比較すると、少し異常です。(2009年 OECD報告)これは何故でしょうか?

一つの原因として考えられるのは、日本の一般化した健康診断が影響していると考えられます。職場や市町村で定期的に行われる検診、個人的や会社、団体での人間ドッグなど、年間何百万人が受ける様々な検査で、全てに‘異常なし’という判定がでる割合は、10%以下であるというデーターがあります。逆に言えば9割以上が何らかの異常値を示し、「完全な健康ではない。」と判定されてしまうのです。そもそも90%が異常であると判断される基準値とは何でしょうか。さらに最近はメタボ(メタボリックシンドローム)という判定基準まで生まれ、小太りの人さえ不健康として、減量を進められます。痩せている人よりやや小太りの人のほうが、平均寿命が長いことは、世界的にも医学的常識となっているにもかかわらずです。

健康診断が悪いと言うわけではありませんが、厳格すぎる検査基準の数値に、一喜一憂することと健康の意味とは隔たりがあるような気がします。検査の項目で、平均寿命に関して、その有用性がはっきり認められたものは、喫煙と血圧測定だけであるという厚生省研究班の調査結果もあります。世界中にある高度医療機器の何割を持ち、インフルエンザと言えば、世界中から抗ウイルス薬のタミフルやワクチンを集めようとする日本の医療体制の中、健康に対する不安だけは消えることはないでしょう。100%の健康、完璧な医療を求めれば求めるほど、心の不健康者は増えるのかも知れません。

 

 

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