美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

日延上人

2009-05-27 17:42:02 | Weblog

 

日延上人

  

 東京 港区白金台に覚林寺という小さなお寺があります。一般的には清正公(せいしょうこう)と呼ばれ、目黒通りが桜田通りにぶつかる交差右角で、その辺りを車で通るとき、清正公前という標識が目に入ります。清正公の名のとおり、戦国の武将 加藤清正を祀ったお寺で、可観院 日延上人が1631年に開創しました。この日延上人というひと 豊臣秀吉による朝鮮侵攻のとき、清正が連れてきた王族の姉弟の弟の方なのです。  

 日延は 李氏朝鮮第14代国王宣祖の長男 臨海君の子で、連れてこられた当時4歳でした。臨海君自身 一時 清正の捕虜になりましたが、講和の条件として釈放されます。しかし、その子らは何故かそのまま日本に連れ去られたようです。清正により養育されますが、法華経の熱心な信者である清正の影響か、やがて信仰の道に入り、仏学に励み、日蓮宗の最高位まで昇ったとのことです。清正没後、彼を偲んで覚林時を開き供養し余生を送ったといわれていますが、日延の本当の気持ちはどうだったでしょうか?父の臨海君は、35歳で、弟によって配流、謀殺されており、一緒に連れてこられた姉の消息は伝えられていません。王族の子が、異国の地で敵の武将を頼り生きていく中で、信仰も、清正を祀ることも、むしろ自分のためだったかも知れません。  

 日延は水仙花の栽培に長じており、花畑としてこの地を幕府から与えられたとも言われています。祖国、両親への思いを胸の中に隠しながら、花を愛し続けた人生。日延は、晩年、江戸を離れ、九州で小さな寺の住職として一生を終えています。帰ることはできなくても、少しでも祖国に近い場所を求めたのでしょうか。そこに残された日延の木造を、偶然見る機会がありました。好々爺然の微笑んでいる穏やかな顔が、私には泣いているように見えました。         

 

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人とインフルエンザ

2009-05-13 12:56:51 | Weblog

 

人とインフルエンザ

 

今回の新型インフルエンザは、既に世界的流行の兆しがみられます。韓国でも感染者が確認され、今後2次感染の拡大を防ぐため、国を挙げた対策が進められていくでしょう。鳥インフルエンザが問題になったときは、東南アジア諸国で感染者が出たにもかかわらず、韓国国内での感染者があらわれず、キムチ乳酸菌パワーということで、注目されました。しかし、今回はそれだけでは、十分ではないでしょうね。実際 キムチの坑ウィルス作用はソウル大学研究チームで、証明されていますので、大いに食べることは否定しませんが・・・

インフルエンザはインフルエンザウィルスによって引き起こされる病気です。インフルエンザウィルスは、元々はカモなどの水鳥を宿主としていたものですが、突然変異で人間の呼吸器へ感染するようになったようです。人類とインフルエンザの歴史は古く、古代エジプト時代の記録にも既にインフルエンザに関する記録が残っています。そして、初めて世界的に大流行したのが1918年のいわゆる‘スペインかぜ’でこの時は世界で6億人が感染し、4000万人以上の死者をだしました。その後1957年の‘アジアカゼ’1968年の‘香港カゼ’1977年の‘ソ連カゼ’とほぼ10年間隔で大流行を繰り返し、その後は衛生状況の改善やワクチンや治療薬の開発で、季節的流行はあるものの大きな被害はありませんでした。しかし、近年、鳥インフルエンザの脅威がうたわれた様に、ウィルスは変異を続け、人が免疫を持たない新しいタイプへと進化し、人類とウィルスとの戦いは、終わろうとはしません。

そもそもウィルスとは何でしょう。まず、生物であるか、どうかもはっきりしません。ウィルスは他の生物が持っている細胞構造を持ちません。また、ウィルスは消化、呼吸、光合成といったエネルギーを取り込んで利用する代謝活動をしません。しかし、DNARNAは持ち、それ自体単独で増殖することはできませんが、他の生物に寄生することで増え続けられます。遺伝情報を持った構造物といえば一番近く、ある条件では結晶化します。そもそも生きてないから死ぬこともないといえるでしょう。生命とは何か、生きている定義まで考えさせられますね。

「他の生物に寄生しないと存続できない。」「どんどん増殖して宿主を破壊する。」人間も地球にとってはウィルスかも知れません。

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体に良い食品、悪い食品

2009-05-02 20:29:23 | Weblog

 

体に良い食品、悪い食品

診療をしているとき、よく患者さんに自分がやっている健康法、美容法 また 何とかに良い漢方薬、サプリメント、食品などに関して 私の意見を求められることがあります。医学的な常識で答えられるものなら、その範囲で説明しますが、私自身聞いたこともない成分だったり、商品名だけで患者さん自身何かわからないものも多く、そんな時は、次のように話します。「もし、親しい人が、親切で分けてくれたものや、長く試して、調子が良いもので、安いものなら構わないですが、もし何万円もする上、効果を強調するものなら余りお奨めできません。」

基本的には、どんな食品であれ、サプリメントであれ、それだけを食べて健康になる、きれいになるものはないと言ってよいでしょう。逆に言えば、これを食べたらガンになりやすいなどという食品も証明されていません。(タバコ以外は・・・)どんな食べ物でも、何らかの有効成分は含まれていますし、食べ過ぎれば負担になる成分もありえます。さらに、有効成分といわれているものも、それだけ抽出して濃度を挙げてしまうと、害になりうるということです。以前 緑黄食野菜に多いというベータカロチンが、肺ガンの予防になると流行したことがありましたが、それを医学的に証明しようとしたアメリカ、フィンランドの大規模な研究調査で、全く逆の結果がでてしまいました。大豆などに多く含まれているイソフラボンも、女性の健康に良いともてはやされましたが、その後 サプリで多く摂取過ぎると、有害でありうるという報告が厚生省の調査でされました。何万円もする特別な酢を毎月届けてもらっているという患者さんがいましたが、酢がそんなに高いものか、アミノ酸が豊富といっても、栄養素の一つであるに過ぎず、それだけの価値があるものか疑問です。

美容の世界も、さらに様々です。簡単にやせる、肌が白くなる、皺や傷あとが消えるなど、ノーベル賞がいくつ取れてもおかしくないような文句があちこちで見られます。先日韓国でやせるお茶が、過大広告で摘発されたと新聞で見ましたし、日本でも、胸が豊かになるサプリで摘発されたのも最近だったと思います。それらの治療に悪戦苦闘し、少しでも安全で有効な治療目指し、論文を読みあさり、学会で討論している私にとっては、虚しさを感じる瞬間です。

昨日 奮発してフカヒレ食べてお肌プルプルと喜んでいた職員に、「結局コラーゲンもタンパク質の一種だから胃の中でアミノ酸に分解されてしまえば、牛乳、卵、普通のお肉とかわらないよ。」何て言うと、事務長に怒られました。「また!先生 野暮ですよ!美味しいフカヒレ食べて気持ちも満足それでいいじゃないですか。」

 

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