美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

科学の常識と健康常識

2009-06-29 16:34:04 | Weblog

科学の常識と健康常識

 

 40年近く前 初めてソウルを訪問した時の印象は、あまり舗装されていない道路を ものすごい勢いで走りぬけるタクシーのスリル感と、教会、薬局の多さでした。病院に行く費用の問題、当時の医療制度情もあるでしょうが、今でも韓国の人の薬好き?と言う面はあるような気がします。また、健康に関する執着心というか、体に良いものへの関心の高さは、日本人以上ではないかと感じます。親戚と一緒に食事をしながらも、「これは体の○○に良い。」「何々の病気に効く。」などと解説してくれるのですが、私も一応 医者のはしくれですから、顔ではうなずいても、内面それはないだろうなどと思ってしまうことも多々あります。

 

以前 日本で、「血がきれいになる。」「血がサラサラになる。」と称し、健康グッズを販売、その証拠として採血までして逮捕された業者がいましたが、似たようなうたい文句は多くみられます。そもそも 血液がサラサラになると言うことがあるかといえば、医学的には疑問です。血液は、血管が破れれば、固まって出血を防ぎ、血栓ができれば溶かして流れを取り戻すように、凝固能と溶解能がバランスをとっているのです。血液がサラサラして、固まらなくなったら大出血を起こすリスクがあります。

 

しかし、時代によって医学常識も変わる為、医者も偉そうなことは言えません。アメリカ初代大統領 ジョージ・ワシントンの死因は、大量の瀉血による出血性ショックだと言われています。当時は、悪い血が溜まることが、病気の原因であると考えられており、咽頭の炎症で発熱して、体調を崩したことから、瀉血治療を受け結果的に死期を早めたのです。治療を行ったのは親友の医師でした。

 

最近の例では、手術後の傷の消毒に関しても大分考え方が変わってきています。以前は絶対水に濡らさないで、毎日消毒することが必要と考えていましたが、むしろきれいに洗い流し、消毒薬はその細胞毒性の為、傷の治りを妨げるため、あまり必要ないと考えています。昔、武士が戦場の傷を温泉で癒したと言うのは、むしろ現代医学よりも理にかなっていたのかもしれません。

 

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地球温暖化と氷河期到来

2009-06-29 16:06:15 | Weblog

地球温暖化と 氷河期到来

日本が2020年までに、二酸化炭素などの温室効果ガスを2005年度比で15%削減することを目標に掲げました。京都議定書を定めた議長国としては、もう少し思いきった数値を出すべきと言う環境保護団体の意見と、経済への影響を危惧する産業界の抵抗の中、バランスをとった目標値のようです。CO2排出量でいえば、日本はアメリカ、中国、ロシアに次ぐ世界4位、韓国もイタリアに次ぐ10位です。特に 韓国の場合 経済実力以上に排出量は高く、その為かソウルの温暖化速度は、世界平均の3倍以上であると韓国国立気象研究所が発表しました。ソウルの年平均気温は過去100年間で2.4度上昇したそうです。

 

一方 太陽研究者によると、太陽活動の活発さを表す、黒点の数が200年ぶりの低水準になっており、このままだとミニ氷河期に入る可能性があると報告しました。17~18世紀 欧州ではテムズ川が凍るなどの寒冷期があったことは記録に残っています。果たして地球は 温暖化に向かっているのでしょうか、あるいは 冷却期になっていくのでしょうか?私のような環境学者でもない素人にとっては、こんがらがってしまう話です。しかし、実は 専門家の中でも環境問題は、様々な意見があるらしいのです。

 

二酸化炭素などの温室効果ガスが増加することで、地球の気温が上昇することは事実としても、具体的にどの程度の温度上昇があり、その結果 地球環境の変化はどの程度か、などは研究者によって様々です。 現在 地球の平均気温は15度ぐらいですが、恐竜が闊歩し、様々な生物が繁殖していた時代は今より10度以上高かったですし、その後はむしろ下がり続けているため、温暖化が必ずしも生物の生存に悪いとばかりは言えないかもしれません。温暖化自体よりは、人類による産業活動の結果、過去にないスピードでの環境を破壊していることに問題があるようです。

 

 1人々が地球環境をまじめに考えることは 当然大切なことです。しかし、エコといえば誰も面と向かって反論しにくくなる部分、環境問題が政治と結びつくと、意図的に思わぬ方向に誘導されやすい面もあります。先進国のリサイクル運動が単純に、発展途上国へのゴミの押し付けだったり、CO2の排出権を発展途上国から買い取ることで二酸化炭素削減目標を達成できたとするなら、それは 名ばかりのエコ運動でしかないでしょう。

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新型インフルエンザ その後

2009-06-24 16:19:22 | Weblog

新型インフルエンザ その後

 

「新型インフルエンザも大分落ち着いてきました。」と言ってもこれは、マスコミでの取り上げ方に関してですが。 実際には日本では400人、韓国でも40人余りの患者が確認され、これは今後も増え続けるでしょう。そして、その余韻は、人々の生活、活動にも影響を与えています。当院に通われている患者さんも、予約していたハワイへの旅行も会社の支持で断念したとのことですし、うちの子供の修学旅行も中止になりました。今日の時点では、まだハワイでは患者が確認されていないと思いますし、日本の患者数が世界でアメリカ、メキシコ、カナダに次いで4番目ですから、むしろ他国に移さない為と言うならわかるのですが・・・

 

徹底した水際作戦と銘打っておこなった空港での検閲にもかかわらず、この患者数の増加は このグローバル時代に 鎖国でもしない限り一人も感染者を入れないこと自体が可能であったかどうかです。勿論 他のアジア諸国に比べ、日本の患者数が多いのは それだけ感染者を診断、判別する高い医療システムと、きちんとチェックを受ける日本人の真面目さの結果、正確にスクリーニングされた為でもあるでしょう。他国の人なら 多少熱があっても、23日休んでいれば治ると病院にも行かず、その結果 患者数として確認されない部分も多いと思います。

 

外国人からは少し奇異に見えるマスクの使用も、実際の効果以上に、周囲の雰囲気から掛ける傾向があるようです。本来 感染した人が拡散させない意味はあっても、予防的な見地からは 疑問視する専門家も多いのも事実です。むしろ拡散させない目的なら、マスクをして外に出るより 外出を控えることが優先でしょう。(でも外国で 少し揶揄されて報道されていることを知ると 今度は必要な人まで マスクをしなくなるのも日本的ですね。) はやりの「抗菌グッズ」の発想も、人間は何十種類の細菌と共存もしている事実を無視したものです。清潔、無菌信仰がかえって、アトピー、喘息などの子供のアレルギーを増やす原因と考えている学者もいます。

 

いたずらにパニックにならず、外出した後は、手洗いやうがいを心がけ、体調が悪ければ休むことです。感染しても、健康な人なら 人間はすばらしい免疫システムを装備し、それにより様々な感染流行から勝ち抜いてきたのですから・・・

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韓国 再生医療の再生

2009-06-24 15:51:57 | Weblog

韓国 再生医療の再生

 

 以前コラムで韓国の再生医療は、ES細胞に関する論文捏造事件のトラウマからいまだに抜けられずにいるという内容を書きました。米国をはじめ先進国では、ES細胞(胚性幹細胞)、iPS細胞(新型の万能多機能細胞)に関して、次世代の先端医療技術と捉え、国を挙げて莫大な投資をしています。一方、韓国ではやはり、あの事件以来 政府のバックアップも消極的となり、地道な研究者がそれまで培ってきた技術の灯を絶やさないよう頑張っているのが現実のようです。しかし、先日 日本の新聞紙面に 米国ハーバード大の韓国人研究者が中心となって、このiPS細胞の新しい作成法に成功したというニュースがトップで取り上げられました。

  iPS細胞は、体細胞に、ある4種類の遺伝子を入れることで ES細胞のように受精卵を使用することなく 他の様々な細胞に分化できる万能細胞として日米の科学者により作り出されたものですが、他の遺伝子を使用することで、細胞の癌化の可能性を、否定できませんでした。今回は、直接遺伝子を入れるのでなく、抽出したタンパク質を入れることでiPS細胞を作成したことでより安全性を高め、再生医療の実現に大きな一歩になることと期待されます。

  韓国の再生医学界には、久しぶりの明るいニュースです。にもかかわらず、韓国内のニュースとして、あまり取り上げられていないように感じたのは、私の情報不足でしょうか?国内に 捏造事件の後遺症で、慎重になりすぎているのか、元大統領の悲しい出来事から癒される時間が必要なのか、あれこれ思い巡らせてしまいます。もう一つ、この論文を見てみると、大部分韓国人の研究者ではあるものの、米国の大学研究室所属であり、特許などの所有権は韓国内とはいかない点、海外への頭脳流出の現実も心配になってしまいます。

  素直に 優秀な韓国人の成果と、喜べばいいのに、「お前は考えすぎだ。」と読者の声が聞こえそうですね。

  アジアン美容クリニック

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