美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

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チーズとキムチ

2011-08-18 17:34:21 | Weblog

写真を撮る時の掛け声としてお馴染みの「チーズ!」ちなみに韓国では「キムチ!」が一般的のようです。自然な笑顔を引き出すには、発音だけではなく、その社、ks会に親しまれている食べものであるからでしょう。明治8年に北海道の開拓庁試験場で初のヨーロッパ型チーズの生産が始り、戦後の食生活の欧米化により、生産とともに輸入も増大し、アジアにおいては、最大のチーズ消費国となっています。しかし、ここ数年、韓国、中国でのチーズ消費の急伸により、数年内に日本を追い抜こうという勢いです。人口比から中国は別としても、韓国人のチーズ好きは、発酵食品としてキムチに通じるという点と、古来、遊牧民であり、東アジアのチーズ発祥の地といわれるモンゴル地方も領土にした高句麗から伝わる食の遺伝子も関係しているかも知れません。

歴史をただせば、日本への‘チーズの様な物’の伝来は朝鮮半島からでした。記録によると、飛鳥時代、645年に百済(ベクジェ)の帰化人の善那によって牛乳と酪や蘇といった乳製品が天皇家に献上されたとあります。この‘蘇’が、牛乳を煮詰めて固めたもので、今でいうバターとチーズの中間のような食べ物だったようです。醍醐天皇は、諸国に命じて‘蘇’を作って天皇に献上させる「貢蘇の儀」を行わすほどで、そもそも「醍醐」とは、蘇を塾成し精製したものの名称で、それほど貴重な食べ物であったのでしょう。古代ギリシアでもチーズは、叙事詩「イーリアス」や「オデッセイ」にも登場し、神への供え物として、神殿に捧げる食べ物であったことから、時代や場所を超えて、不思議な共通点を感じます。

今では歳のせいか以前ほど手が伸びなくなりましたが、中学生の時に初めて食べたピザにたっぷり載せられたチーズの美味しさは、記憶に残っています。これこそ、飛鳥時代の貴族が初めて‘蘇’を口にした時の「醍醐味」だったのでしょう。

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役立つ教育とは

2011-08-12 14:00:03 | Weblog

子供が一番聞きたくない親の言葉の一つが「勉強しろ!」ではないでしょうか?怠け者の私自身、子供のころは、そう感じていたことは間違いないのですが、今自分が親となり、子供に対して、同じ小言を言っている自分が可笑しくなります。しかし、親が子供に残せるもの、大人が次世代に託すべきものは、やはりモノや財産ではなく知識ではないかと考えます。危機感を持って、教育に力を注いだ国や社会は、発展し繁栄や今の豊かさや安定だけにしがみつき、若い世代にその意志を残せなかった国々は衰退していくことは、歴史が証明しているでしょう。そして、昔より何倍のスピードで刻々変化していく現代において、最も必要な実際の「役立つ教育」とは何でしょう。

今年初めて、経済開発機構(OECD)において、19の加盟国から37千人の高校生に対して、「デジタル読解力」調査を行いました。あまり聞きなれない言葉ですが、要はインターネット上の情報を読み解き、さらにウェブページで検索しながら、その情報の信頼性を評価する力という事です。確かに今はネットを開けば、様々な情報が溢れんばかりに流され続けています。逆に言えば、情報が有り過ぎて本当に自分に必要なもの、そして信頼できるものであるかの見極めが難しくなっています。今回はこの力を評価した新しい試みでした。結果は、韓国が1位、日本は4位と両国とも上位に位置しています。一方、学校で、授業中にコンピューターを使用した時間の長さと、今回の成績はあまり関係していなかったことも示されました。これは自宅などで、自分が興味を持つ情報に対してネットで検索することが、‘デジタル読解力’向上には重要だという事で、いくら時間をかけても関心がなければ身につかないという当然と言えば当然の結果とも言えます。これは日本の英語教育にも言えることかもしれません。インターネットも語学も、実際に目的のための道具として捉えなければ、「役立つ教育」にならないかも知れません。

反面、国語の読解力が高い国が、やはりデジタル読解力も上位にランクされています。教育には効率と共にコツコツ積み上げる努力もやはり欠かせないものです。ユダヤ人の格言にこんな言葉があります。「人にとって学ぶ過程こそ結果より大切である。」私もこの年で漸くこの意味がわかってきたような気がします。         

 

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もう一つの韓流、「戦火の中へ」学徒兵の話

2011-08-04 12:49:56 | Weblog

上映期間に見逃した映画{戦火の中へ}をDVDで見ました。今を時めく韓流スターたちが主演する韓国映画ですが、男女の恋愛場面どころか、女性と言えば、負傷し、生死をさまよう兵士を介護する看護師ぐらいしか登場しません。

舞台は1950625日に北朝鮮共産軍の南侵で始まる朝鮮戦争。北朝鮮の奇襲でソウルは3日間で陥落し、韓国軍が南に向かって敗走する中、最後の砦とみなす‘洛東江’を死守すべく臨時の軍司令部として浦項(ポハン)女子中学高に駐屯していた部隊も動員されることになり、部隊に代わり、ほとんど戦闘経験もない14歳か17歳の学徒兵71人が守備に残されました。彼らは、北朝鮮の766部隊を相手に、11時間もの間戦い抜いた末全滅します。「お母さん、私は人を殺しました。それも石垣1つ挟んだ距離で。10人にはなるでしょう。手榴弾を投げて、一瞬で殺してしまいました。・・・お母さん、怖くなります。今、私の横には沢山の学友たちが死を待つかのように敵が攻めて来るのを待ち、暑い太陽の光の下にひざまづいています。敵兵が多すぎます。私たちはたった71人です。」これは、戦死した少年のポケットに残されていたメモです。迫真の演技や凄まじい戦闘シーン以上に、これらが実話をもとにした話であり、彼らのような犠牲があって尚、今でも朝鮮半島では南北が敵対し、時には殺しあう状況が続いている事が、映画を観終っても感動とは別の余韻を残すものでした。

この時、日本からも大学生を中心に624人が志願して在日学徒義勇軍として参戦しました。うち戦死、行方不明者は135人。そして1952年サンフランシスコ講和条約が、締結されると日本が条約に基づいて主権を回復し、参戦した在日韓国人の再入国を拒否した為、242人は残留を余儀なくされ、戻れたのは265人でした。その内の一人が私の父です。

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再生医療の可能性と課題

2011-08-04 12:48:56 | Weblog

未来の医療は、再生医療が中心になると言われています。確かに、ケガや病気で体のなかでその機能を失った部位や臓器を、再生することができるようになれば、まさに不老不死も夢ではなくなるかも知れません。実際、皮膚の一部や軟骨組織などは、すでに1970年代には、人工培養に成功し、火傷や、外傷などの治療に使われていますから、再生医療はすでに始まっているとも言えます。そして今、より複雑な臓器や個体の再生を目指し、世界中の研究者に注目されているのが「幹細胞」です。

「幹細胞」とは、複数系統の細胞に分化できる能力と、細胞分裂を経て自己再生能力を併せ持つ特殊な細胞の事で、ES細胞、iPS細胞、体性幹細胞の三つがあります。ES細胞(胚性幹細胞)は理論上何にでも変化しうる幹細胞ですが、受精卵を壊さないと得られないという倫理上の問題と、移植した場合、拒絶反応を起こす可能性がある為、体の細胞を、ある遺伝子を挿入して初期化することで、別の細胞に変化する万能性を持たせたiPS細胞(人工多能性幹細胞)の発見により、その地位が揺らぎました。しかし、これも癌化の可能性など解決できない課題が多く、実用化にはまだ時間が必要とされます。体性幹細胞は神経、骨、脂肪、血液など体の様々な部位に存在し、培養することで比較的簡単に数を増やせますが、他の万能型と違って、特定の細胞にしか分化しないため、その利用は制限があります。しかし拒絶反応や癌化のリスクも少ない為、現時点では、臨床利用には最も近い位置にあり、一部はすでに実際の治療が始まっています。

今回、世界に先駆けて韓国の医薬品メーカーが、急性心筋梗塞に対する幹細胞治療薬の許可を取りました。これは骨髄から採取した幹細胞を培養して、患者の心臓に投与して、心筋能力を回復させるというものです。韓国はES細胞の基礎研究の‘勇み足’から苦い経験をして、しばらく再生医療研究の停滞期がありました。今はそれをばねに臨床分野で挽回しようという意気込みを感じます。反面、世界の他の研究機関が、まだ副作用に関して慎重な態度でとっていることも事実です。臨床において‘勇み足’では許されません。引き続き、調査、研究を進め、まさに未来の医療に近づけてもらいたいと期待します。

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