美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

アリとキリギリス

2011-07-10 11:47:58 | Weblog

世界一の働き者と言われた日本人も既に昔の事かもしれません。OECD(経済教育開発機構)の統計によると、年間実労働時間の国際比較では、韓国が1980年度から継続して最も長時間働く国民の位置を維持しています。日本はと言うと、1990年代後半には、アメリカにも逆転され、その後も時短傾向にあります。これには、働き過ぎ(儲け過ぎ?)という世界の批判を受けて、労働基準法が続けて改正されたことや、個人のライフスタイルや価値観が変化したことなどが影響していると思います。

イソップ童話の中でも「アリとキリギリス」は、世界中で最もよく知られた寓話の一つですが、その結末は、欧米と日本では異なることは、あまり知られていません。日本のものは、空腹のキリギリスに対して、アリは食べ物を分け与えてあげ、キリギリスは泣きなが反省し、お礼に演奏して楽しく過ごすといった内容が一般的で、どちらかと言えばハッピーエンドです。一方、欧米では、アリは、ほら見たことかと助けずに、冷たくあしらうパターンが大勢で、こちらは原典どおり厳しく対応する国が大部分のようです。困難を予想して、しっかり準備する必要性に関しては、どちらも同じですが、より自立心を強調し、‘自己責任’と言う価値観を子供の教育の柱と考える西洋人に対して、怠けたものであっても、助け合いが大切であるとする日本の考え方の差が表れた例として興味深いものです。ちなみに世界一働き者の韓国では、アリがキリギリスを非難しつつも、少しだけ食べ物を持たせて追い払うという結末で、日本と欧米の中間的な対応としてこれはこれで比較文化として面白いです。

勤勉の代名詞とされるアリですが、北海道大学 長谷川英祐准教授の研究によると、働きアリの内、実際に働いているのは全体の2割程度で、残りは休んでおり、中には一生何もしないアリもいるということです。一見、無駄にみえる働かないアリの存在ですが、集団全体では、働くアリのみより、ずっと効率が良くなるとことが証明されました。人間社会にも当てはまるかどうかは別ですが・・・

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