美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

指輪とサンカラクチ

2014-01-25 11:38:00 | Weblog

 

 

 ”先生は結婚を二度したの?”と時々患者さんに指を見て聞かれます。確かにおしゃれなイケメンならまだしも、中年男が薬指に結婚指輪を重ねて嵌めているのは奇に思えるかもしれません。当然 二度も結婚する甲斐性?も、マメさもありません。実は、少し弛めではあったのですが、歩いているときに結婚指輪を失くしてしまい、一応探したのですが結局見つからず家内にこっぴどく責められました。仕方なく、新たに今度は指にしっかり合わせて新しい指輪を誂えたところ、手持ち鞄の底から失くしたはずの指輪が見つかったという次第です。結局、少々弛めの間の指輪の上から新しく誂えたものを重ねてすることになったわけです。ちなみに韓国では二連形の指輪をサン(双)カラクチ(指輪)と言います。一般的な指輪を意味するバンジ(半指)は半分の指輪ということで通常結婚前の女子が嵌め、両班(ヤンバン、貴族)の家で母親や姑が娘や嫁に家宝としてサンカラクチを与えました。もちろん私のは偽サンカラクチですが・・・

 

 結婚指輪の歴史は、古代ローマ時代まで遡るようで、当時は結婚も一種の金銭にてやり取りされ、結婚が決まった時点で娘の代金を支払った証拠に指輪を花嫁の父に渡したのが始まりという説があります。ロマンチックなイメージとは程遠いですね。その後、9世紀になりローマ教皇ニコラウスⅠ世が初めて結婚指輪というものを身につけ、それがきっかけとなり、現在行われている指輪を交換する儀式につながっていったとされます。古来、左手の薬指と心臓が繋がっていると考え、心臓すなわち心を結ぶとゆう説があります。結婚指輪とは別に、韓国で指輪(カラクチ)に纏わる逸話と言えば、誰もが慶尚南道 晋州の妓生であり 義妓として称えられているノンゲ(論介)を思い浮かべるのではないでしょうか。晋州城は、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の激戦地だったところで、城を攻め落とした日本軍はその矗石楼にて勝利の祝宴を開きますが、そこの集められた妓生の一人がノンゲ(論介)でした。彼女は泥酔した敵将に抱き付き、もろとも南河に身を投げます。その際、両手の十本指にカラクチを嵌めて指を組み合わせていた為、さすがの武将も払いのけることができませんでした。

 

 ノンゲは憎む相手とともに命を投げ出したものですが、平和ならばカラクチ(指輪)も本来の意味通り、好きな相手と結ばれる目的で使われたかったでしょう。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする