各地で梅雨明けとなり、今年も厳しい暑さが予想されます。「夏は当然暑いものだ。」と開き直っても、夜の寝苦しさに負け、エアコンのスウィッチに手が伸びてしまいます。まさに「夏の怪談」は、冷房はおろか扇風機もない江戸時代以前からの、背筋をぞっとさせて涼をとる日本人の知恵です。しかし、実際、怖い思いをすると涼しくなるというのは医学的にあり得るのでしょうか。アメリカの大学で健康な20人治験者に、コメディー映画とホラー映画の両方をみせて、その後に血流の変化を測定する実験をしました。するとコメディー映画を見たみた後は22%増加し、逆にホラー映画の後は37%減少したということです。この実験が正しければ、怪談話で怖がれば、体表温度が下がり、実際に涼しくなるわけです。反面 これはあくまで健康なボランティアを対象に行ったもので、体に良いか悪いかだけ考えれば、やはり笑って血流が良くなるほうに軍配が上がるでしょう。
韓国で怪談といえば、KBSで1977年から16年間放送された人気シリーズ「伝説の故郷」がまず頭に浮かびます。九つの尻尾をもつ狐の妖怪が、美女に化けて男を騙し、その肝を食べて1000年以上生きながらえる「九尾狐(クミホ)」など地方に昔から伝わる伝説や怪談を怖さだけではなく、哀しく、時には教訓も交えて紹介したものです。2008年に新シリーズが復活しDVDもレンタルされているようですから、興味のある方はぜひご覧になってください。また、最近若い層に人気なのは、いわゆる「学校の怪談」「都市伝説」的な内容です。こちらは、私が学生時代も、誰もいないはずの実験室やトイレで○○を見た!といった幽霊話がまことしやかに語り継がれましたが、どの国でも小中学生ぐらいの子供には、夜の学校は最も身近でありながら不思議な場所なんですね。また日本で昔流行った「口裂け女」が韓国で1990年ごろ「赤いマスク(빨간 마스크)」とマスクの色だけ赤となり子供たちの中で流行しました。怖い話も文化として伝わる証拠です。
日本の幽霊は、足がなく影のようにスーッと現れるのが特徴です。足がないのは江戸中期の画家円山応挙の幽霊図や、歌舞伎の表現による影響とされています。一方韓国の幽霊は、やはりやや騒がしく存在感がしっかりしているようです。幽霊にも当然国民性?があるからでしょう。