美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

蕎麦とククス

2013-01-31 16:31:19 | Weblog

 気づけば12月に入り、今年もあと2週間余りとなりました。クリニックは、正月の休みを利用して年末に治療を考えている患者さんのため、大晦日の午後まで診療をしています。それでも、大学病院や総合病院に勤務していた頃は、大晦日から元旦に当直したり、緊急で呼ばれたりということも珍しくなかったため、年末ぎりぎりまで働くことは特に違和感はありません。例年 大晦日の診療を終え帰宅し、夜に蕎麦を家族で唼食べる段になって、漸く一念が無事に過ぎたことを実感するものです。私としては伝統的なおせち料理にはそれほど馴染みがないせいか、むしろこの年越しそばが年末年始を告げる意味合いが濃いかも知れません。

 そばは細く長いということから、新年も長寿と身代が細く長く続くよう願って年越しそばを食すと一般的に考えられていますが、その他にも「金銀細工師が散らかった金粉を集めるのにそば粉を使うために、金を集める縁起で始まったという説」「鎌倉時代、博多の貿易商で宗人・謝国明が年の瀬に蕎麦掻きをふるまったところ貧しい人達にも翌年から運が向いてきたことからという説」「室町時代、関東三長者の一人が大晦日に無事息災を祝って家人と共にそばがきを食べた」など諸説はありますが、確実ではありません。韓国でもそば粉を使った麺は多くあります。よく知られた冷麺もその一つですが、そば粉の他に緑豆粉やジャガイモ、トウモロコシなどのデンプンを使っている為、非常にこしが強く、切れにくいという特徴でしょうか。日本の蕎麦に近いものなら、ソバの産地である江原道の郷土料理で、特に春川(チュンチョン)地方のマッククスが浮かびます。ククスは麺のことですが、「マッ」というのは作り立てをすぐ茹でて食べることから「今すぐに(マッ)」という意味か、野菜、たまご、海苔など何でも混ぜてまるで麺のビビンパ風に「好きなように、むやみに、どんなでも(マッ)」食べられるという意味かこれも定かではありません。

 縄文時代にはすでに日本で栽培されていたというそば。寒冷地や荒地でも育つため、韓国でも飢餓で食糧が不足する時代に救荒作物として貴重な存在でした。韓日両国の庶民にとって贅沢はできずとも、まさに有難い食べ物だといえるでしょう。

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公園の効用

2013-01-24 13:21:33 | Weblog

 休日だからゆっくり休めばと思っても、そこは貧乏性なのか、昼近くになると何か時間がもったいない気がして体がムズムズしてきます。先日も、そんな感じで昼前から、家内と‘新宿御苑’に出かけました。東京に長く住んでいながら、訪れたのは初めてです。東京のど真ん中にありながら、美しく整備された庭園内は、紅葉も真っ盛りで、アマチュアカメラマンと思われる方々が名所スポットと思われる場所で、渾身の一枚を目指して集まっていました。徳川家康が江戸に入った翌年、初代の家臣である内藤清成に長年の功労に報いて「馬で走らせて回れるだけの土地を授ける」と家康から拝領しただけあり、広大なものです。高層ビルを背景にまさに大都会の中にあるオアシスといえるでしょう。

 ニューヨークのセントラルパーク、ロンドンのハイドパークやセントジェームズズパーク、パリのチェイルリー庭園やジャン・ド・マルス庭園など、世界を代表する大都市には、人々の心を癒す公園があります。これは、都市はある意味社会的生態系であり、公園の存在は、環境、防災、市民の心理、そして経済面など複合的効果、影響を及ぼすため、重要であるからです。ソウルでは、今 米軍の移転後の広大な龍山基地跡を利用して、ソウル版セントラルパークを建設する計画が進められています。この龍山基地跡地は81万坪にも及ぶ、世界でも例のない大都市の中心部に残された白紙状態の大地であり、この計画が実現すればまさにソウルのへそといえる中心に、漢江と南山を繋ぐ世界的規模の都市空間としての公園が誕生します。現在のところ2017年に造成工事は着工し、2025年まで3段階に分けて周辺の複合施設と共に開発がすすめられる予定です。そして米軍駐屯国である日本でも、ソウルのこのプロジェクトは無関心ではいられないかも知れません。

 勿論、大都市の一等地を公園にすることには、より経済的効果を主張して異議を唱える声もあるようです。しかし公園の有無形的効果を推す声が今のところ優勢です。「愛の幸福な瞬間、そよ風の楽しさ、明るい朝に散歩して新鮮な空気の香りをかぐこと。こういったことが、人生の中にあるすべての苦しみや努力ほどの価値がないと、誰に言えるだろうか?」

(エーリッヒ・フロム)

 

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指導者の性別

2013-01-24 13:20:38 | Weblog

 

 韓国法務部によると今年の司法試験合格者のうち女性の比率は41.7%で、過去最高と発表されました。日本の25.9%と比較してもかなり高い比率であることがわかります。また日本の国家公務員1種試験に該当する行政考試は過半数を超えた51.2%、外交官試験に至っては31人中21人と合格者の70%近くが女性という結果になっています。数字だけ見ると、少なくとも法、官、外の分野では、女性がその役割の中心を担っていく日も遠くないように思われます。私が学生の時代、医学部での女子の比率は2割弱でしたが、成績はというとほとんど上位は独占していましたので、その真面目さ、優秀さを考えると、資格試験におけるこの結果は不思議ではないかもしれません。さらに、韓国は男子の場合、徴兵義務が重なるため、長くコツコツ続けなければいけない勉強では、やや不利な面があるとの声もあります。

 今度の韓国大統領選挙は 奇しくも男女候補の一騎打ちの様相になりました。初の女性首相はすでに誕生しましたが、大統領となれば当然韓国初となります。しかし、広く世界を見れば、ドイツのメルケル首相)、オーストラリアのギラード首相、タイのインラック首相、ブラジルのルセフ大統領、インドのパティル大統領、アルゼンチンのフェルナンデス大統領、コスタリカのチンチジャ大統領、リトアニアのグリバウスカイテ大統領、リベリアのサーリーフ大統領など多くの女性リーダーが活躍しています。特にアジアや南米で女性元首が多いことは、男女平等化しているというより、元首や英雄であった父や兄などの地位を受け継ぐ世襲的な影響があるからとも考えらえますが、だからと言って彼女らの能力を否定するものではありません。いまだにアジアでは存在しうる男尊女卑思想は改められるべきものですが、医学的性差まで否定する極端な男女平等論も、結果的には女性の権利を向上することにはならないと考えます。確実により進んだ少子高齢化社会を迎える日本や韓国において女性の能力を十分に活用することは国全体の国益になる問題です。

 第二次大戦中、アメリカの諜報機関がナチのヒットラーに強力な女性ホルモンを食事に混ぜて服用させ、心理状態、声、容貌を女性かしようという計画があったという話があります。(Secret Weapons: Technology, Science And The Race To Win World War II. 英国カーディフ大学教授 Brain Ford)真偽は別として、もし実行されていたら、女性的指導者として男たちが始めた戦争の愚かさに気づき終戦していたかもですね。 

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先進の低侵襲性脂肪溶解システムの導入・・・Liposonix HIFU システム

2013-01-11 14:09:19 | Weblog

 

 美容外科において、顔や肌のアンチエイジング、目や鼻、顔の輪郭形成の治療、そして体のBody controlは、三つの柱とも言えます。そして、三番目のBody controlの中でも、豊胸術と共に患者さんの相談が多いのは、脂肪吸引術です。 様々なダイエット法はあっても、残念ながら未だ確実に痩せたい部位を減らす方法は、脂肪吸引の手術以上の効果がある方法はありません。しかし、やはり手術となると、様々な条件や手術に対する抵抗感や不安から決心できないという人も多いと思います。形成外科の専門医として、十分に手術の安全性や効果、そして治療後の経過やケアーなども説明することで、正しい治療をすれば、決して怖いものでも危険なものでもないことは理解していただけると考えます。しかし、それでも、もし手術に代わりうる治療があればという患者さんの気持ちは十分に理解できます。 ここ数年、そのような期待に応えるべく部分痩せを目的に、いろいろな機器が開発されましたが、今回導入したLiposonixは、一度の施術である程度の脂肪を実際に破壊し、サイズダウンを可能にした新しいシステムです。 

 Liposonixは、リフトアップ高周波のサーマクール(themage)や皮膚表面のしわ取り効果のフラクセル(fraxel)などで知られるアメリカのSolita Medixcal社で開発した新しい超音波機器です。Liposonixの特徴は、高密度焦点式超音波(HIFU)エネルギーを集束させて皮下組織を実際に破壊。溶解させることで低侵襲に部分的なサイズダウンを可能にしました。レンズによって特定の深さ(約1.3㎝)にある脂肪を約56度の熱作用により細胞変性、破壊が可能なため、安全に希望の部位を治療できるわけです。

 Liposonixの効果は、個人的な差はありますが、胴周囲を治療した場合、一回の治療で平均2.5㎝のサイズダウンが報告されています。効果が安定するのは平均8週間から12週間後です。治療時間は30分から1時間、基本的にその後の生活制限はありません。治療時に照射部位のチリチリとした刺激感はありますが、麻酔を必要とするほどではありません。治療部位にしばらくした後、軽い内出血が出ることはありますが、これも自然に吸収されます。

 脂肪吸引手術までは望まない、あるいは手術するほどまで脂肪が多くない方で、エステや一時的なマッサージ効果ではなく、一回で実際の戻らない効果を期待する患者さんには、Liposonix HIFU治療システムは、今までにない選択肢として期待できるものです。サイズダウンしたいけれども、手術かその他の治療法かで迷っている人は、まず、直接診察を受け、十分な説明を聞いて自分に合った納得治療を受けてください。

 

アジアン美容クリニック 院長、帝京大学附属病院美容センター  鄭 憲

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