美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

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さまざまな美容情報が溢れる中で・・・黒い肌が白くなるとうたう石鹸のネット広告をみて

2018-03-06 11:53:58 | Weblog

 先日 患者さんから洗うだけで肌が白くなり、シミやしわが消える石鹸の広告に関して質問されました。

その商品を紹介しているサイトを見てみると確かに洗うだけで漂白効果?があるとうたっています。説明にはメラニン濃度が35%以上の肌(この表現も意味不明ですが・・・)にだけ反応し、シミ、くすみを洗い流し、白い肌になれるとあります。さらにパリコレ常連のトップモデルであるという黒人女性が使用し白い肌になったというコメントと共に、女性の手の甲部分の写真が掲載されていました。明らかに皮膚の一部のメラニン細胞が何らかの原因で減少、消失してしまい皮膚の色が白く抜けてしまう病気である白斑症(一般的に‘しろなまず’と言われるもの)の写真です。先天性、遺伝性のものと後天性の白斑症あり、後天性では、ストレス、薬剤、化学物質、自己免疫疾患、感染症など様々な原因があり、年に9万人以上報告され決して少ないものではありません。また、治療法も状態や原因によって選択されますが、まだ完全ではなく悩んでいる人が多いのも事実です。それだけに、このような広告に利用されることは決して許されるものではないでしょう。

もちろん、少しでも医学的知識があればこのようなニセ情報に惑わされることはないでしょうが、今回の美白石鹸?に限らず、いかにも最新の研究成果であるように思わせる表現は巧みです。医学用語っぽい単語を並べ、外国や国内の研究機関名をちらつかせ信じさせようとします。また、有名人や海外のセレブが使っているとか、匿名の体験談を載せる、また情報源のはっきりしない統計結果やグラフ、アンケートなどをそれらしく説明しているのも多いようです。特にシミ、ニキビ、しわ、薄毛、ダイエット、健康サプリメントなど関心が高い悩みで、手軽さやお小遣いで何とかかえるネット販売は、そのようなニセ美容医学のターゲットになりやすいかもしれません。

モノの真偽を見極めることはどんな分野でも簡単ではありませんが、少なくても痩せる、細くなる、毛が生える、白くなる、しわが無くなる等々、簡単に体や皮膚が変化することは医学的に容易い変化ではないのです。簡単に、飲むだけで、塗るだけでそれが可能になる化粧品や栄養剤、サプリメントは存在しないと考えて間違いありません。

 

 アジアン美容クリニック 院長  帝京大学医学部  形成外科  美容外科講師 鄭 憲

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平昌オリンピックから思うこと

2018-03-06 11:37:15 | Weblog

 

先月 17日間にわたる寒くて熱い平昌オリンピックが終了しました。(引き続き平昌パラリンピックが3月9日より開催され、こちらも同様多く関心が集まることを期待します。)今回の大会は2010年、2104年の冬季オリンピック招致選で、いずれも1回目の投票で先頭に立ちながら2回目の投票で逆転負けという悔しい経験からの3度目の正直、それも1回目の投票で過去最高の得票を獲得した悲願の大会です。

しかし招致が決定してからも決して平坦な道のりではありませんでした。その後国内外での政情不安、大会数カ月前をひかえた段階で囁かれた施設準備の遅延や気候を危惧する声、チケット販売率の不振、さらに直前には急遽決まった北朝鮮選手団や関係者の参加や、それに異議を唱える様々な声。「厳しい寒さと劣悪な環境のもとでも、それぞれの役割を黙々とこなし忍耐と笑顔を忘れることのなかった皆さんの尊い犠牲的精神によって平昌オリンピックは成功することができました。」韓国オリンピック協会組織委員長が閉会式で運営に関わった1600人余りのボランティアへの言葉には、社交辞令ではない率直な感謝と大会を無事に終えられた安堵の気持ちがこもっていたと思います。

オリンピックといえば、1894年のアテネ大会から始まった近代オリンピックと古代ギリシャにおいて紀元前776年から(紀元後)394年まで行われた古代オリンピックに分けられます。紀元前当時のギリシャには多数の都市国家が存在し、常に戦争が絶えない状態でした。そんな古代ギリシャ社会において、オリンピックは全能の神ゼウスに捧げる神事として各国代表が名誉と神のご加護をかけて全力を尽くし競うものでした。当時の種目は、単、長距離走、幅跳び、やり投げ、円盤投げなどの陸上競技に、レスリング、拳闘などの格闘技、それに4頭立ての馬車競争などで、参加者は男子に限られ、競技中は原則 裸体で日焼け止めのオイルは許されたようです。(平昌の開幕式、閉会式で登場したトンガの選手は、実は古代オリンピックの正装に最も近かったことになりますね。)それが理由ではないでしょうが、残念ながら女性は参加はもちろん、観戦もできなかったようです。大会は当時から4年に1度開かれ、神聖なものとして期間中は何をおいても参加が義務づけられ、国家間の戦争中でさえ「聖なる休戦」として戦士も武器を捨てオリンピックにはせ参じたといいます。古代オリンピックは様々な戦乱を乗り越え293回まで途切れることなく1168年間受け継がれました。まさに平和の祭典と呼ばれる所以です。

一方近代オリンピックの始まりは、最後の古代オリンピック開催から1500年余り後、フランスの教育者ピエール・ド・グーベルタン男爵の人間教育に対する「身体性」の必要を訴え、1894年パリの国際会議においてその理念が掲げられると共に、古代にならい4年に1度の国際的なスポーツ大会を行うことが決定しました。第1回大会は2年後のアテネ大会で、冬季オリンピックはこれに遅れること28年、1924年フランスのシャモニー・モンブランから始まります。

古代オリンピック同様「平和の祭典」としての意義は変わりませんが、近代オリンピックは122年の歴史の中、第一次、第二次大戦の影響下で3度中断されています。同一神を信仰する古代ギリシャ地域で続いた古代オリンピックと異なり、現代の複雑な国際情勢の中世界の国々が参加する近代オリンピックの抱える難しさもあるでしょう。また参加国の増加とともに、大会規模も拡大していくなかで主催国の費用的な負担は年々重くなっています。かつての東京やソウルのように国がさらなる発展のきっかけとして主催した時期も過去のもの、年々立候補地も減少しています。本来の理念や意義が形骸化し、商業主義、政治利用など否定的な意見も聞かれる現実もある意味やむを得ないかも知れません。

そんな現状での平昌大会も直前まで開催に対する賛否の声は少なくありませんでした。しかし、スピードスケート女子500メートル決勝後に抱き合ってお互いをたたえ合った韓日の選手の笑顔と涙、少なからず冷たい視線がある中で同じ目標の為戦った南北の選手の別れの涙は、ほんの僅かな数滴ですが、一瞬でも世俗の汚れを溶かす洗浄剤のように私には感じました。

 

アジアン美容クリニック 院長 帝京大学医学部  形成外科  美容外科講師 鄭 憲

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