美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

産む権利、産まれる権利

2012-11-21 13:59:47 | Weblog

 

  子供が産まれる前は、親は勝手にその子の容姿や性別、素質などあれこれ期待もしますが、いざ産まれる直前となれば何はともあれ元気であってくれればと祈るだけです。一方 近年、日本を含め欧米諸国、そして韓国でも出産の高齢化が進む中、必然的に遺伝子異常をはじめ胎児や母体へのリスクが高まっているのも事実です。その為出生前診断に対する期待や需要も増加するのは致し方ないでしょう。

 今回最も多く出生前診断を進めているアメリカで妊婦の血液を使い胎児がダウン症であるかどうかを高い精度で判定する新しい診断法が開発され、日本国内でも約10施設で臨床研究を始めることが伝えられました。羊水検査法に比べ流産などのリスクが伴わないことや、既存の妊婦の血液分析である「母体血清マーカー」と比較して精度が格段に高いことなどから期待される反面、今後一般的に普及した場合、不用意な検査の適用に慎重な声も多く聞かれます。日本ダウン症協会も「この検査が胎児のふるい分けや一般化することには断固反対。検査に対する基本的な考え方をしっかり明示してほしい。」とのコメントをだしています。それに対して逆の批判や誤解の声もまたあるようですが、その心情十分に量られます。子供が健康であって欲しいというのは当然といえば当然の親の思いですが、意に反して障害を持って産まれた子供に対する申し訳ない気持ち、苦悩、そして共に生きていく過程の中で生まれてきた子供への感謝などを経てきた人にしかわからない価値観がその短いコメントの中に含まれているのでしょう。しかし、この検査は今後もさらに研究、解析が進むことでダウン症やその他の遺伝子異常に限らず、様々な遺伝子情報が簡単な血液検査でできる可能性も含んでいます。その場合、まさに「胎児のふるい分け」という言葉が現実として社会全体に問われるかも知れません。

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