美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

安全神話

2011-04-27 17:21:51 | Weblog

以前からよく「日本人は水と平和はただ手に入ると思っている。」と言われるのを耳にしました。勿論、水にしろ、日本が戦後享受してきた平和が無料でなく、莫大な費用と多くの人々努力によって支えら、維持されてきたものであることは漠然とは理解しています。しかし、直接的にそれらに関わることのない多くの人間にとっては、ニュースや特集で戦争や貧困など外国の悲惨な実情を伝えられた時ぐらいしか、その有難さを実感できずにいたのも事実です。そういう私も海外に出たとき、レストランでミネラルウォーターを注文する面倒さから、日本の水資源の豊かさを改めて思う程度だったかも知れません。そして    今回の震災は、日本の安全神話に対する国内外での認識を変えたことは間違いありません。

 

北朝鮮の砲撃事件後、韓半島に緊張が高まる中、李明博大統領の演説で「戦争を恐れては、戦争を避けることはできない。」ということを述べていました。戦争は悪であり愚かなものだと理念的に唱える‘平和主義’とは違い、平和や安全を守ることは、時には犠牲を伴う覚悟と、行動が必要であることを示す、ある意味凄みを感じる言葉でした。そして今まさに 日本もリスクを恐れ、見知らぬふりをし、ただ早く過ぎ去ることを願い、辛い記憶忘れることだけでは、解決できない現実を迎えています。

安全神話とは、今まで何もなかったから今後も安全だと都合よく理解した希望的観測です。地震の発生確率だけで日本の環境全体を否定できないのは、副作用がゼロではないから、有効な薬、治療法も行わないのと同じ理屈とも言えます。豊かさや安全、便利さを享受してきた中高年層に、自分らが生きているうちだけでも何事もなく平和であればという、‘逃げ切り’思想が蔓延するのが、その国にとっては最大のリスクかも知れません。

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