美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

流言飛語

2011-04-14 11:56:02 | Weblog

地震・津波の発生後数日して、子供に、友人から以下のような携帯メールが届いていると言われました。「〇〇石油勤務の方からです。今回の火災・爆発により有害物質が雲に付着し、雨と一緒に降るので、外出の際は決して肌を露出しないでください!できるだけ多くの人にこのメールを回してください! 」これが所謂、‘チェーンメール’というものです。非常時で、皆が不安に感じ、且つ正確な情報が不足している状況下、まるで親切から特別な情報を流すかのように拡散を誘導します。だれの利益にもならず、社会が動揺するのを眺めて喜ぶ愉快犯の仕業でしょうか。勿論、単なる噂などから口コミに広がるうちに、真実のごとく伝わっていく、自然発生的なものもあり得ます。どちらにせよ、はっきりした根拠、発信源が不明なものは疑い、確認する努力をすれば問題にはなりませんが、信じやすい、ある意味純粋な一般の人たちに広がりとんでもない結果を生むこともあります。

関東大震災後に、「朝鮮人が井戸に毒を入れた。放火・暴動を起こしている。クーデターを起こそうと電信所を襲った。」などのデマが流れ、それに対して確認もしないまま新聞や一部警察までが拡散の役割をしてしまいました。ラジオの放送もまだ始まらない時代、震災で不安と困窮の中、情報を鵜呑みにした一部の官憲や一般庶民によって組織された自警団により、朝鮮人がリンチ・殺害された事件は、流言飛語の最も恐ろしい結末を示しています。私でも記憶にあるものでは、1973年のオイルショックの時、大阪のスーパーで、激安商品の販売促進のための「早く買わないと紙が無くなる。」と書いた広告が、当時 石油不足に対して不安を感じていた主婦層を刺激し、その後は全国でのトイレットペーパー買いだめに騒動へと広がりました。冷静に判断すれば、石油不足により値段高騰は多少あったとしても、直接的な流通とは因果関係が少なく、結果的に品不足ということもなかったでしょう。

原発事故がまだ完全に収束していない今、多くの外国人が、自国での報道、メール、電話で海外に逃避しようとする流れは、まだしばらく続きそうです。勿論それを見る日本の人々も内心安泰ではありません。しかし、それらの情報にもかなりのデマ的な要素が含まれているのも感じます。今こそ日本は国内外に向けての発信力、説明力が求められていると強く思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原発と原爆

2011-04-14 11:54:30 | Weblog

大地震から3週間余り過ぎた今現在でも、その被害の大きさは把握さえできません。阪神淡路大震災でさえ、震災10日目の不明者は50人程度でしたが、今回の東北地方太平洋沖地震では、3週間後の現時点でも、警察に届け出があった不明者が17千人余、さらに把握できていない不明者は万人単位とも言われています。その地震と津波の猛烈な災禍に加え、国内外で人々を不安にしているのが原発事故です。

放射能被害に関しては、目で見えるものでも、すぐに体で感じるものでもないだけに、なおさら原爆のイメージとともに、漠然とした恐怖感を呼び起こします。関係者の必死の努力でようやく収束に向かいつつある福島原発事故ですが、一時は数日内で大爆発し、原爆が投下されたような事態が、起こるといった噂まで、流れました。そもそも、原爆と原発は、その仕組みから異なっています。どちらもウラニウムなどな不安定な物質の原子に、中性子をぶつけることで核分裂反応を起こし、その時にできる膨大なエネルギーを利用したものという点は共通です。異なるのは、原爆はウランの中でも核連鎖反応を持続させられるウラン235だけを高濃度に濃縮し、球状に敷き詰めることで一気に核連鎖反応させて、すべてのエネルギーを放出するように作られています。一方、原発のウラン235は低濃度で、それらが直線状に並べ、ゆっくり反応が起こるように水中に浸したうえ、制御棒で中性子を吸収させながらエネルギーを放出させようとするものですから、いくら暴走しても理論上、核爆発は起こりません。また、チェルノブイリで起きた事故は、核反応停止しない実験中に起きたもので、制御棒やその他の制御システムをほとんど解除した状態で起きました。また原子炉格納構造がほとんどないに等しかった点、そしてその後の対処がすべて秘密に行われ健康被害拡散予防が全く行われなかった点などが、この事故が人災と言われる所以です。

だからと言って、原発は安全で危険がないというわけでは決してありません。むしろ日本のような高い技術と、唯一の被爆国であるが為、安全性に十分な注意を払っていた国でさえ、想定外の事態では、このような事故が起こりうるということを、韓国などの、原発輸出国は、大きな教訓にしてもらいたいと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする