美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

東西の美人画

2008-10-31 13:43:41 | Weblog

 

東西の美人画

 

韓国で「風の絵師」というドラマに続いて、「美人図」という映画が製作され話題になっています。李氏朝鮮後期の天才画家 申潤福を題材にした内容ですが、どちらも男装した女性画家として描いている点が興味深いところです。それだけにその生涯は謎が多く、代表作の「美人図」も当時の封建時代における儒教的価値観から画期的なものでした。それまで女性の人物画といえば、宮廷など上流社会の夫人像が多く、庶民を描く風俗画は特異といえるでしょう。その点、同時代である江戸の浮世絵がとは通じるものがあり、申潤福が日本に渡り 天才浮世絵画家 写楽になったとの説まで登場しました。(キム・ジェヒ著「色 写楽」) 源義経がジンギス・ハーンになったという説よりは信憑性があるでしょう。

世界的に有名な美人画といえば、ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」をあげる人が多いと思いますが、西洋絵画と東洋絵画の違いは明白です。この様な違いは、両文化の精神性の違いから来るもので、西洋は科学的に物を捉えようと写実的な部分に重点をおくのに対して、東洋はありのままより、その本性を表現しようとする美学が働いているように思います。特に人物画で、西洋においては唯一絶対である神が自分に似せて人間を創ったため、人は自然界の何者より美しく完璧でなければならず、それをいかに表現するかが問われます。一方 東洋では自然と人間は一体であり 中国の水墨画のように敢えて色を使わず、モノトーンの中に精神で感じるところを表現しています。

しかし、東洋画の中でも、個人を写実的に一個の生の人間として表現しようとする申潤福や写楽の絵の中に 中国中心の東洋画の流れから少し異なる独自の画風、価値観があるように思います。私も潤福、写楽同一人物説に韓日の親密な関係を期待しつつ、ロマンを感じたいです。

 

『東洋経済新聞2008.掲載』

 

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ノーベル賞とアジア

2008-10-31 13:24:46 | Weblog

 

ノーベル賞とアジア

 今年度のノーベル賞に4人の日本人学者が選ばれました。自然科学系の受賞者としては13人目であり、アジアの中では、唯一 欧米と肩を並べられるものとして誇らしく思う反面、最近の経済危機に直面して、日本の外貨資金に期待する欧米諸国の思惑が働いた複数受賞ではないのかなどと 変な邪心まで働かせてしまいます。実際、1901年から始まったノーベル賞選定当初は、人種や皮膚の色が選考要因に関係していると思わせる部分もあったようです。

 韓国でも例年この季節になると、ひょっとしたらという期待をこめて、ノーベル賞の話題が活発になりますが、実用的な技術というより基礎分野の理論的発見を重視する賞の特徴から、もう少し学問的蓄積に時間が必要なようです。‘ノーベル賞はとろうとしてとれるものではない。’という言葉を良く聞きますが、才能と努力に加えて、研究に対する支援と様々な幸運まで必要なのかもしれません。しかし、2002年、学位も持たない43歳の一企業の研究者であった田中耕一さんの化学賞受賞(生態高分子の構造解析の手法)は、技術立国をめざす韓国にとっては ある指標になるのではないでしょうか。当時会社の作業着のままでインタビューに答え、‘一研究者としてあと20年 今回の受賞にこだわらず、会社と社会に役立つ研究を続けたい。’と語っていたのが印象的でした。

 ノーベル賞をパロディ化したイグ・ノーベル賞では既に1999年に「自ら香りを出すビジネス・スーツの発明」で韓国人が環境保護賞を受賞しています。ちなみにこの年の化学賞は「妻が夫の下着の用いると不貞行為が検出できるスプレーに関する研究」の日本人でした。微妙な共通点と違いを感じるのは私だけでしょうか?

『東洋経済新聞2008.10.24掲載』

 

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