歌わない時間

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岩波文庫『太平記』の誤刻

2014年04月23日 | 気になることば
岩波文庫の新刊『太平記(一)』に誤刻を発見。巻二「長崎新左衛門尉異見の事」(p.91)に、「しかれども、或いは他に譲つて口を閉じ、或いは己れを顧みて言を出ださざる処に、」とある。「閉じ」は、「閉ぢ」とあるべきところ。凡例を見ると、「仮名づかいは、歴史的仮名づかいで統一し、」(p.4)とあるから、ここは「閉ぢ」でなければならぬ。

この岩波文庫の『太平記』は、古態本である西源院本を底本としています。元は漢字カタカナ交じり本。上の誤刻に関して興味あるのは、原本ではどんな表記になってたのかということ。「口ヲ閉ジ」とでも書いてあったのかなあ。しかし、古写本の生理として、「閉ぢ(閉ヂ)」と書くべきところを「閉じ」とか「閉ジ」とか書くことって、あんまりないような気がするけどなあ。

この岩波文庫の『太平記』は兵藤裕己さんの校注で、今月(一)が出ました。全六冊だそうです。(二)は今年の十月に出るそうです。文庫本で太平記が出るのは中絶した角川文庫以来ですかね。早めに完結させていただきたいです。でも誤刻はやだよ。「口を閉じ」の件、岩波にはメールで知らせよう。もう勘づいてるかもしれないけど。増刷があったら直してくれると思うけど、増刷あるかなあ…。

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