歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

「できなかった」のか、「見合わせた」のか。

2006年02月02日 | 気になることば
きのうの夜はめづらしく夜のニュースを聞かずに某DVDを見ていたので、関東で震度4の地震があったのを知らずに寝た。で、今朝、NHKの朝のラジオでその地震のニュースを聞いたのだが、宮本アナウンサー(のど自慢があるのに、ニュースまで読んでたいへんだ)は、地震の影響でJRが最大4時間、「運転できない状態が続いた」という言い方をしていた。

この場合、別にどこぞでがけが崩れて線路が埋まった、とかいうことではなく、安全確認に時間がかかって運転再開が遅れた、という話のようだ。ならば、「運転できない状態」ではなかったんぢゃないか。それこそ、「運転を見合わせた」というべきである。

ところが最近、ニュース原稿ではむしろ、雪で線路が埋まって列車が通れない、というような状況の場合に「運転を見合わせています」などというのである。通れないんだから、それこそ「運転できない状態」だろう。ここで「見合わせる」というのは間違っている。

「見合わせる」というのはたとえば、新製品発表の記者会見の直前に、その会社の社長が背任で逮捕されたことをうけて、その記者会見を「見合わせる」とか。しようと思えばできないことはないけれど、諸般の情勢を勘案して取りやめにして様子を見る、とかいう場合に使う言葉だと思っている。

それにしても、JRの人が、ものの見えにくい夜間、同時にいくつもの路線を、徒歩で点検しなければならなかったために運転再開までに時間がかかったのだそうである。同じ時間帯に、もっと大がかりに関東中が大揺れしたら、それこそ崖崩れなどなかったとしても、電車が動き出すまでにさらにさらに時間がかかるということですよね。

最新の画像もっと見る