歌わない時間

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クレーの「ゐ」のデザイン

2014年04月25日 | 気になることば
テレビのテロップでは、いまやフォントワークスの天下、って思います。とくにNHK。ゴシックはあまり意識したことがないけれど、明朝体については、NHKではここぞというところではたいてい筑紫明朝を使っています。たしかに筑紫明朝の平がなはカッコいいんだよなあ。とくに筑紫明朝の「が」とか。見るたびにほれぼれするもん。ただ、それでも、NHKが使うには、筑紫明朝はやっぱり個性がありすぎると思うのですよ。NHKの画面で筑紫明朝を見るたびに、NHKにはヒラギノ明朝こそふさわしいのに、とわたしはいつも思います。

さらにフォントワークスのクレーもこのごろますますテレビでよく見かける。NHKではドキュメント番組でよく見る。興味をもった方はぜひ検索して字体見本を見ていただきたいのですが、ちょっと見は教科書体のようで、教科書体よりも先っちょがとんがっていて、都会的というか現代的というか、たしかに今ふうなフォントである。わたしも一時これ欲しいなあと思っていた。でもやめた。なぜか。「ゐ」のデザインがおかしいのである。「ゐ」の字の右下の留めのところが、「ぬ」みたいに下に突き出てしまっている。こんな「ゐ」ははじめて見ました。ほかのフォントではこんなデザインの「ゐ」はないと思う。

まあ、テレビでは、クレーで「ゐ」の字を使うシチュエーションはたしかにほとんどないでしょうね。だからこれまで見過ごされてきたのかもしれません。でもわたしはこのクレーの「ゐ」には強烈な違和感をぬぐえない。こんな「ゐ」をわたしのMacには入れたくありません。それで買うのはやめました。

いまはフォントワークスの主力商品は筑紫シリーズなんでしょうが、筑紫が出るまでは、フォントワークスといえば、画家の名前のついたフォントがメインでした。これが憶えにくいのよね。っていうか、未だにわたしは名前を憶えられないし、今後も憶えないでしょう。「マティス」が明朝体で、「セザンヌ」が角ゴシックで、「グレコ」が楷書体で、以下みんなこんな調子なのである。なんでセザンヌが角ゴなんだろう、とか、そんなことまで考えちゃうでしょ?

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