歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

「平損」。

2006年02月27日 | 気になることば
『解釈』2004年5・6月号に、長沼英二さんというかたが『「平損」考』という論文を書いていた。「平損」は平安時代の漢字文献に出てくる語だそうである。『性霊集』『高野雑筆集』にある言葉だそうだが、古辞書にも見当たらず、現代の辞書にも立項されていない。長沼さんは『性霊集』『高野雑筆集』以外の「平損」の用例十九例を挙げてこの語が「病気が治る」の意味であることを帰納し、さらに、「損」という字が単独でも「病勢が衰える」意で使われていたと述べて、「平損」は「平癒」「平復」などからの類推でつくられた和製漢語だろうと結論づけている。

長沼さんというかたのことは全然知らないし、「平損」なんて日本語があったというのもはじめて知ったが、なにしろ知らないことばを教えてもらうのは嬉しいものである。「平損」をいつまで憶えているかはわからないけど。

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