歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

バレストラッチ『フレーチャ/エンサラーダ集』

2008年05月01日 | CD 中世・ルネサンス
Mateo Flecha - Ensaladas
Antonio de Cabezón - Diferencias
La Stagione Armonica
L'Amoroso
Sergio Balestracci
777 070-2

2003年録音。61分11秒。SACD。cpo。マテオ・フレーチャ(1481-1553)によるエンサラーダ《La Justa》《El Jubilate》《El Fuego》の3曲に、アントニオ・デ・カベソンのディファレンシアスを器楽合奏で演奏したものを取り合わせています。エンサラーダというのは声楽器楽をにぎやかに取り合わせた合唱曲で、わたしはこのCDではじめて聴いたんですが、スペイン音楽は渋くて静か、という先入観を覆させられました。エンサラーダ、面白いです。いつものようにネット上の音源を聴きあさっていて偶然このCDを試聴して、びっくりして買ってしまいました。

最初の《La Justa》というのは「一騎打ち」とか「試合」とか訳されている曲です。ジャヌカンの「戦争」の引用があって、おもしろいやら懐かしいやら。

この後で、サバール指揮のエンサラーダのCDも聴き較べのために買ったんですが、サバールのが重唱で進めていくのに対して、このセルジオ・バレストラッチのものは声楽部分はすべて合唱で歌っています。ラ・スタジオーネ・アルモニカという合唱団はやや素人っぽいところもあるけれどけっしてへたではなく、合唱を使ったことがむしろ曲の性格には合っていて、ラテン的なおおらかな感じをよく出しています。これにつき合う器楽伴奏は、管弦打楽器を動員しつつ出しゃばりすぎずによく合唱を支えています。

カベソンはたまに新譜が出ても器楽合奏のものばかりですねえ。むかしはオルガンの作曲家だと思ってましたけどね。わたしはカベソンの曲では「ミラノ風ガリヤルドによるディフェレンシアス」が好きです。