荒川三歩

東京下町を自転車で散策しています。

東京の正岡子規(リメイク版)-2

2015年05月15日 | 散文
少し周辺を走ってみる。

(羽二重団子)

夏目漱石の「我輩は猫である」にも登場する団子屋。
店の隣が「芋坂」で、前面道路が「王子街道」である。



上野のお山で敗れた彰義隊は芋坂を転げ落ちて来て、店の敷地内に刀槍甲冑を投げ捨てて、王子街道を落ちて行ったという。



ここにも子規の句碑がある。

「芋坂の団子も月のゆかりかな」


(御隠殿跡・根岸薬師寺)

寛永寺門主を任された輪王寺宮は、第3世から幕末の第15世まで、親王あるいは天皇の猶子を迎えて継承して来た。

その別邸「御隠殿」があった場所である。

広大な敷地であったが彰義隊の戦いによって焼失し、現在その面影はない。


「樫の木の中に灯ともる夜寒哉」

「藤咲いて眼やみ籠るや薬師堂」

「老鶯若時鳥今竹林」


(豆富料理 笹乃雪)
前身は禁裏御用の店で、後西天皇の皇子が輪王寺宮に任じられたときに京都から同行した。
江戸で初めて絹ごし豆腐を作った店らしい。

笹に積もった雪のように美しい豆腐であったことから、宮様が「笹の雪」と名付けたのが店名の由来とか。
また、あまりにもおいしいので「以後2碗供せよ」とのお言葉により、膳には「あんかけ豆富」が2碗付く。
店頭に子規直筆の句碑がある。

「水無月や根岸涼しき篠の雪」

「朝顔に朝商ひす篠の雪」


(御行の松)
現在は小さな3代目の松が植わっているが、子規の存命中は東京でも有名な大木が茂っていたらしい。



子規はこの松が好きだったようで、春夏秋冬4首詠んでいる。

「遠クカラ見エシ此松氷茶屋」

「青々と冬を根岸の一つ松」

「松一本根岸の秋の姿かな」


「薄緑お行の松は霞みけり」


以上、子規が住んだ根岸の情景である。


その他下町の多くの場所で子規に出逢う。
・・・が、今日はこの辺りで。次につづく。
(次回で終わりです。)(もうすぐ元気になります。)
コメント
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