詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

耐える女

2004年08月20日 | 哀系
初めてあなたを見たとき息を飲んだ
そしてfreeze
次の瞬間心の奥が溶けてゆくのを感じた
でもすぐにそんな現象は閉じ込めてフタをして押し殺さなければならなかった
大変なことになるって直感したから

その頃のわたしは最悪の状態だった
生活と生存と心の闇と全ての人間に対する病的違和と嫌悪をひとりでかかえて
密かに心は死にそうで
そんな中あなたを見たの

ショックだった
あなたを見て
あなたの存在を知ってしまったことが
何もこんな時にこんな最悪の状態の時にって
成就され得ない思いの
苦しさ辛さ知っていたから
その先に必ず来る迷宮の闇も
散散見てきたから
そしてボロボロになって壊れてゆく自分の後ろ姿も
予見できたから

一年以上にわたり
自分の数々の問題に加えて
あなたへの心的反応を押し殺す苦悩の日々を味わった
でもダメだった
あの夏の日わたしから発してしまったささいな問いをきっかけに
それまで押さえに押さえ耐えに耐えてきた苦労が
一瞬にして徒労と化し
満水に溜まったダムがあっという間に決壊し
水が
激流となって一気に流れ落ちるように
あなたへと流れるわたしの想いは
止めようがなくなってしまった
それでも止めようとはした
自分を叱責して叱責して自虐的なまでに叩いて叩いて
止めようとした
それもムダだった

あなたに会える喜びや
あなたと話せる幸せは
わたしの心を一変させた
あなたに感じる喜び
あなたに感じる幸せ
あなたから受ける癒し
あなたから受ける凪
わたしの心が全て
あなたに飲み込まれてしまった

あなたはわたしの初めての人
初めて、人と話すことの喜びを教えてくれた人
初めて、また話したいって思うことができる人
初めて、閉め切っていた心の窓が全開になっちゃう人
初めて、野放しの自分に自然になってしまう人
初めて、ぜーんぶ好き!て言っちゃいたくなる人
初めて、自分の心が少女の頃にタイムスリップしてしまう人
初めて、自分は女だったのだと自覚させてくれる人
初めて、思ってるだけで幸せ!て思える人
初めて、その全てを守ってあげたい気にさせられてしまう人
初めて、この人の為なら何でもしてあげたいって思えてくる人
初めて、いっそあなたの母になって癒してあげたいなんて思えてしまう人
初めて、会えない辛さに耐えかねて何日も何回もわたしを泣かせる人
初めて、二度と会うことができないとしたらその時点でわたしの心は死んでしまうだろう、て分かる人
そして初めて、死ぬまであなたが好きって言いたい人

他にもある
初めて、超個人的な秘密の話しを
数え切れないくらいしてしまった人

他にもある、いっぱいある。思い出せばいっぱい出てくる
全てが初めて て言ってもいいくらいの、あなたはわたしの初めての人なわけで
あなたがわたしから消えたら
それはやっぱり恐ろしい出来事なわけで
わたしはやっぱりボロボロになって壊れることは自明の理
わたしの心が逝ってしまうのは自明の理
それでもわたしには何も出来る術はない
ただ黙って
耐えることの他は。
                   19XX.4.4 am5:05



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