朝いったん止んでいた雨が、出発する頃になってまた降り出した。
小雨程度だったが、このような状態では、山を予定しているこの日の計画は、白紙に返して大幅に変更するとのことだった。
山でも海でもどちらでもみんな初めての所だからいいやと、連れて行ってくれるバス任せ人任せで、それも楽しみだった。
それが本当に海方面、日本海に出るとのことで、海が見えるまではそう時間がかからなかったような気がする。
海の色を見ていると、川が流れ込んでいる海辺の色は雪解け水と昨日からの雨で酷く濁って、ずっと沖のほうに青い綺麗な色を見せているようだ。
小雨程度だったが、このような状態では、山を予定しているこの日の計画は、白紙に返して大幅に変更するとのことだった。
山でも海でもどちらでもみんな初めての所だからいいやと、連れて行ってくれるバス任せ人任せで、それも楽しみだった。
それが本当に海方面、日本海に出るとのことで、海が見えるまではそう時間がかからなかったような気がする。
海の色を見ていると、川が流れ込んでいる海辺の色は雪解け水と昨日からの雨で酷く濁って、ずっと沖のほうに青い綺麗な色を見せているようだ。
昭和44年に私は、夫と列車でスキーに行く途中、大雪に列車は動かず、この能生の浜辺を見下ろしながら列車が動くようになるまで、心細く長い時間を雪に閉じ込められたことがあった。
雪狂い 土色の海に 沈めるを 能生の浜辺で しかと確かむ
土色の 海の怒りの 伝わりて 湿りなき雪 窓を滑りぬ
動かざる 列車となりて 横たわる 直江津過ぎて 雪のみ生ける
こんな短歌を当時詠んでいて、冬の日本海と能生の思い出は、暗く切ないものだったが、今は鯉のぼりの泳ぐ明るい浜であることが、気持ちを明るくしてくれる。
デジブック 『海に泳ぐ鯉のぼり』