生け花が枯れてきたのでその中の麦の穂を外の植木鉢に捨てて置いたらひと雨で芽が出てきました。たぶん大麦ですが、子供のころはこの辺りも麦畑が広がりヒバリがたくさんさえずっていました。ひばりはその巣が外敵に見つからないように舞い降りるときには巣から遠いところにおります。そして徒歩‼?で巣に戻ります。その巣を見つけるのは雲雀のご両親との知恵比べで麦畑の畝のこちらの端で腰を落として待ち構えます。麦畑の畝はきれいに整えられてますから向こうの端まで見通せます。親はその畝を上がり下がりしながら巣に戻りますから、姿の消えるあたりに検討をつけて夕暮れ、親が巣に戻る頃にそのあたりを探すのです。
警戒してこごまってる親も人が近づくとそっと飛び立ちます。羽音ひとつ立てないので見逃したら目で巣を見つけるのは難しいのです。ひばりの子は巣の中で身動き一つしませんからこれもまた見分けるのは困難です。ヒナの頭や体にはたんぽぽの綿毛のようなのがびっしり生えていて、これがヒナやで、と女の子に教えてもヒナをつまみ上げて見せるまでは信じてくれません。そっと巣に戻して親が帰れるように暗くなるまでに足早に去ります。鳥は鳥目なので暗くなると動けませんからね。
その麦畑もいまは駐車場になり、コンビニになり、道路になってしまいました。唯一当時の畑を忍ばせる空き地も最近になってきれいに整地され、黒々としたアスファルトで覆われました。無数のミミズや虫たちが生き埋めになってしまったことでしょう。アリでさえ生き残るのが難しくなった歩道の上を、この一年の間、かつてのヒバリ少年は杖を突いて歩くことが多かったのです。それでもようやく春が訪れそうな気配です。
復活といえば、最近になって「何十年ぶりなんです」と卓球に来られた女性の方が2,3人ありました。偶然なのかもしれませんが最後のお仕事から解放されたのかもしれません。このような復活の場は何とか続けていきたいものです。麦畑にならないように模索中です。