雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森 33 『三体 Ⅱ 黒暗森林 (上)(下)』(早川書房、2020年) 20210820

2021年08月20日 17時27分46秒 | 雨宮日誌
本と映像の森 33 『三体 Ⅱ 黒暗森林 (上)(下)』(早川書房、2020年) 20210820


『三体 Ⅱ 黒暗森林 (上)』早川書房、2020年


 「宇宙社会学の公理その1、生存は、文明の第1欲求である。その2、文明はたえず成長し拡張するが、宇宙における物質の総量はつねに一定である」
    ( 「プロローグ」、p14 )


 「それと、もう1点。このふたつの公理から宇宙社会学の基本的な青写真を描くためには、あとふたつ、重要な概念がある。猜疑連鎖と技術爆発」
    ( 「プロローグ」、p16 )


『三体 Ⅱ 黒暗森林 (下)』早川書房、2020年


 「宇宙はたしかに大きいけど、生命はもっと大きい!それが第2の公理の意味だ。宇宙の物質の総量は基本的に一定だが、生命は指数関数的に増大する!指数関数は数字の悪魔だ。」
  ( p292 )


     ☆


この3カ所の叙述には、『三体 Ⅱ 黒暗森林 (上)(下)』(早川書房、2020年)を成り立たせている原理が濃縮して表現されています。おおまかに言って、4つ。


 それが正しいとは思わないのですが,空想世界の描写としてはきわめてリアルでおもしろいです。人物もみんな個性的で好きです。
 
 とくに問題的なのは、「文明はたえず成長し拡張するが」というところや「生命は指数関数的に増大する」というところです。マルサス主義で、資本主義の現実を人類史全体に不当に拡張してしまっている。


 まあ、中国の200年代0~2010年代の現実を未来にそのまま延長すると、そうならざるをえないということはボクでも理解できます。


 たぶん、また第3部で触れることになると思います。


 第3部は、さらに激動して、さらにおもしろいです。