ことばと詩 70 灰谷健次郎『大陽の子』より 20210814
これは1980年の小説のタイトルです。「てだのふあ」と読みます。最近、封切りの映画のことでは、ありません。
主人公の少女「ふうちゃん」のお母さんがやっている沖縄料理屋の名前です。
そのなかで「てだのふあ」の常連は、こう言って議論します。
「かわいそうなんてことば使うな」………
「沖縄には、かわいそうなんていうことばはないんじゃ」
「肝苦りさ(ちむぐりさ、胸が痛む)か」………
「口先だけでかわいそうやなんてうてるやつほど、痛いこともかゆいこともなんにも感じてない奴や。痛いこともかゆいこともないことをいうてるから、痛いめにあう人間がちっとも減らへんのや。この女(ひと)は病気で死んだんとちがうねんで。餓死したんともちがうねんで。痛いこともかゆいこともないことをいうてる奴に、寄ってたかって殺されたんやでえ」
(p190)
1980年から40年経っても、この列島では「この女(ひと)は病気で死んだんとちがうねんで。餓死したんともちがうねんで。痛いこともかゆいこともないことをいうてる奴に、寄ってたかって殺されたんやでえ」ということが蔓延してるようです。
名古屋の入管のことを聞いてボクは、アウシュビッツの看守がまだまだ、この国にはたくさん残っていると思いました。
ふうちゃんは、いま50代の成熟したおとなに育っているでしょうか。
これは1980年の小説のタイトルです。「てだのふあ」と読みます。最近、封切りの映画のことでは、ありません。
主人公の少女「ふうちゃん」のお母さんがやっている沖縄料理屋の名前です。
そのなかで「てだのふあ」の常連は、こう言って議論します。
「かわいそうなんてことば使うな」………
「沖縄には、かわいそうなんていうことばはないんじゃ」
「肝苦りさ(ちむぐりさ、胸が痛む)か」………
「口先だけでかわいそうやなんてうてるやつほど、痛いこともかゆいこともなんにも感じてない奴や。痛いこともかゆいこともないことをいうてるから、痛いめにあう人間がちっとも減らへんのや。この女(ひと)は病気で死んだんとちがうねんで。餓死したんともちがうねんで。痛いこともかゆいこともないことをいうてる奴に、寄ってたかって殺されたんやでえ」
(p190)
1980年から40年経っても、この列島では「この女(ひと)は病気で死んだんとちがうねんで。餓死したんともちがうねんで。痛いこともかゆいこともないことをいうてる奴に、寄ってたかって殺されたんやでえ」ということが蔓延してるようです。
名古屋の入管のことを聞いてボクは、アウシュビッツの看守がまだまだ、この国にはたくさん残っていると思いました。
ふうちゃんは、いま50代の成熟したおとなに育っているでしょうか。