四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

万葉集の離別の歌

2011-09-26 17:08:06 | 歌の花束
 過日尋ねた石川県輪島の千枚田が「国際農業遺産」として認定されたそうです。田んぼ所有の農家は高齢者が多く全国からのボランテァによって稲刈りが行われたそうです。
 さて、大伴家持が編纂した万葉集に徴兵され地の果ての九州へ連れてゆかれた関東農民の悲痛な離別の歌があります。外敵から国を守る壱岐対馬や九州の最前線へ送られたさきもりの歌でお国言葉の訛りで記録されています。勤務は3年間、何故か関東の農民から徴発されたのです。むごい徴兵です。ほとんど文字を知らない時代に、歌が読める学識があり太平洋戦争の学徒動員などが思い出される家族愛の歌です。国家の都合と個人の幸せとの食い違いは天と地ほどの落差があります。
 3.11により何が一番人生で大事なのかが私達に突きつけられています。


○防人に立ちし朝明のかな門出に手離れ惜しみ泣きし子らはも

○父母が頭掻き撫で幸くあれて言いし言葉ぜ忘れかねつる

○天地のいづれの神を祈らばかうつくし母にまた言とはむ

○韓衣裾に取り付き泣く子らを置きてぞ来ぬや母なしにして

○闇の夜の行く先知らず行く我れをいつ来まさむと問ひし子らはも

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仲秋です。

2011-09-24 06:10:57 | 生かされて今日
 いつの間にか仲秋の名月を過ぎ九月も残り僅かとなりました。大型台風が昼首都圏を襲い会社帰宅の電車がストップ、新宿、池袋、東京、横浜のターミナルは大雨の中で絶望的な行列が写しだされていました。早めの退社指示を出せた状況判断できるトップは数少なく、もたれあいのダラダラ判断のために多くの帰宅難民がさまようハメになりました。まるで65年前の終戦の決断のごとくに。
お役所では豊島区が池袋駅の混乱を察知して、帰宅困難の受け入れに動いたのは情ある素晴らしい判断でした。わが家の緑なすニガウリは大風の為に尾羽打ち枯らす格好になりましたが、まだ数個収穫できそうです。
 今月も東日本大震災の街頭募金に夫婦で参加しました。この頃はいかにも怪しげな募金が散見されるのは残念です。駅に立つお坊さんの格好の托鉢もどうもマユツバだ。募金に声をからす私達もその姿かたちを厳しく判断されていると思います。しかし有難いことに永年月一回駅に立つ実績からか御心をズッシリ募金箱に頂戴できました。合掌
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奥能登の旅(最終)釣り上げられた大物

2011-09-20 14:17:12 | 生かされて今日
 輪島沖で釣り上げられたハタの剥製です。なんせ大相撲の横綱を張った輪島関と同じ大きさだそうですよ。引き上げるまで何時間かかったのでしょう。恐らくはげしい格闘を続けての釣果でしょう。中学生だった頃に竹製の竿でキスを釣ったあの感覚、ビビッと引く力を受けたうれしさは忘れられません。こんな巨大魚がかかったら想像を超える興奮と力比べだったと思います。
暖流と寒流とが混ざりあう能登半島沖は良き魚場なのですね。お土産に立ち寄ったゆべしの店の若女将にお昼の飲食店を尋ねたら、私の実家が寿司屋をやってますというのでお寄りしました。綺麗なお母さんが娘から電話がありましたと迎えてくれました。
 宿泊したホテルのロビーのかごに鈴虫が清らな高音で鳴いていました。ま近くでこんな高音の鈴虫に会えて嬉しかったです。
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奥能登の旅(その3)半島の行きどまり

2011-09-18 12:15:36 | 生かされて今日
 能登半島のさきっぽ、禄剛埼(ろっこうざき)灯台は明治16年、文明開化の頃お抱え英国人の指導で建設されたそうです。能登半島の最北端の行き止りに優雅な白い灯台です。崖の下は大海原、秋の日本海が静かでした。親潮と寒流が混ざりあう好漁場だそうで、釣り上げた大物(横綱輪島と同じほどの巨大魚)の剥製が輪島に飾ってありました。かつては塩田が藩の財政のドル箱だったそうです。
高浜虚子の高弟、山口誓子の句碑があります。「ひぐらしが鳴く奥能登のゆきどまり」
 吉川英治の名著「新・平家物語」で生きいきと描かれていた清盛の義理の弟、平時忠の配流先が近くです。「平氏にあらずんば人にあらず」で有名ですが、京の治安を担当し知略に恵まれたマキャベリストの様で関心がありました。壇ノ浦から義経に近づき、疑い深い頼朝から斬首を免れたのですから凄腕だったのですね。
 
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奥能登の旅(その2)えんむすビーチ

2011-09-16 16:14:57 | 生かされて今日
 弘法大師空海の伝説から見附島と呼ばれ、別称軍艦島なる島がすぐそばに見えて、松林のロマンチックな浜辺がありました。何故なのかわかりませんが「えんむすびーち」と呼ばれてチャペル風の鐘が設けられています。若者たちにアピールしたい珠洲市の観光対策でしょうか。
 妻に続いて私も若もの達が良き縁に繋がれるようにと秋の空に大きく鳴らしました。日本海の水平線も青空も横幅いっぱいに広く、空気の綺麗なところです。一組のヤングだけが松の日陰に談笑して静かな浜辺です。
昔学生時代に富山県伏木に公園建設の無償の奉仕に10日間居たことがあります。地元新聞に鹿児島から来てくれたと写真入りでわが名が出ましたよ。この海岸を南下するとその伏木で、北アルプスを望む雨晴海岸に歓声を上げた記憶があります。万葉集を編纂した大伴家持や源義経も眺めた海岸です。
 その時に地元の子とアベックで堤防から眺めつ、彼女お手製のサンドを食べた遠い日を思い出しました。周りの仲間を如何にまいてふたりっきりになったんだろう。
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奥能登の旅(その1)千枚田

2011-09-14 16:35:13 | 生かされて今日
 能登半島の先っぽに初めて参りました。能登空港が出来て羽田から僅か1時間です。地図では鯨のヒレの形の能登半島は今までもっと遠い感じがしていました。でも旅行会社が秘境と銘打つのは行き過ぎです。
奥能登は日本海の水平線と葛の裏葉が白くなびき、峡の田んぼは黄色く実り、杉の穂先が波打つ山国でした。過疎が進んでいる気配で町にも人影があまり有りません。何故か瓦はみな黒びかりの家並みで、華やぎはないが気品を匂わす伝統の誇りが感じられました。
 瑞穂の国の稲刈りの季節、実りの秋ですから輪島市に近い千枚田は楽しみにしておりました。日本海になだれ込む千枚田からは稲の香りの磯風が吹き上げてきます。豊かな稲田の色と稲掛け、はさの景色は心を潤して癒されました。農作業は大変ハードな肉体労働だったでしょうね。潮風がお米に滋養を増すのでしょうか。あまりにも広くて稲刈り方々の姿が蟻のようです。
 同じ日に北朝鮮から逃れた小舟がこの沖で発見救助されたのは良いニュースでした。
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今日は十五夜、名月です。

2011-09-12 05:21:37 | 生かされて今日
 「おくのほそ道」はいよいよ終盤、芭蕉翁と曽良さんは金沢に9泊、風流仲間と会えて疲れを癒されました。
「名月は敦賀の港にと」足を進めましたが、あいにくと雨雲に遮られてしまいました。今夜は十五夜、日本のいにしえ人が待ち焦がれた満月です。秋の七草の女郎花(おみなえし)が揺れ、木の実が降る、梨やぶどうの時節です。
 俳句では「月」と云えば秋と定められ、「花」とは桜を指すのが文学上の約束です。せかせか走りまわる憂世をしばし足を停めてしみじみお月さんと会話しましょう。月見酒をいかがですか。地球から一番近い星、お月さまを歌った名吟をどうぞ。

○名月や門へさしくる潮頭  芭蕉
○名月を取てくれろと泣く子かな  一茶
○満月に夫婦のえにし照らさるる  五所平之助
○人それぞれ書を読んでゐる良夜かな  山口青邨
○うづくまる猫の宵寝も無月かな  松本たかし

春月にはこの句
 外にも出よ触るるばかりに春の月  中村汀女
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国際結婚のテナガ猿

2011-09-08 16:54:56 | 生かされて今日
 日中は残暑ですが九月ともなり芭蕉翁の「あかあかと日はつれなくも秋の風」で、木陰に入ると湿度が無くさわやかな秋です。夏と秋とが行ったり来たりして混ざりあう時節です。ここのところ出不精になって、智慧でなくうっすら脂肪が増えた感じなので久しぶりに金沢区動物園に参りました。動物園や植物園、博物館や美術館は憂世の中の異境で気分転換にはもってこいです。
 人間という大型動物が勝手気ままに65億人も地球にはびこり、動物園はさながら絶滅危惧種のオンパレードです。人類の野蛮で無慈悲な膨張により野生のまま生活できない動物や植物が増えているのです。同じひとつの地球号に乗りあわせているのですが見る見るうちに根絶やしにされています。自然のひとつである人間だけが地球を乗っ取ってしまい、他の生物との調和が破壊されました。どうすればいいのでしょうか。人間同士の調和と自然との調和が平和と云うのでしょう。
 象やキリンやサイや野牛達は全力で走りたいでしょうね。狭い檻に閉じ込められてかなしいです。野蛮な人間は自制しないと、他民族を動物園のように檻に入れるかもしれません。手長猿の夫婦は説明板によると国際結婚だそうで、秋風の私を無言で眺めています。どちらも母親から離されて人工飼育で育った為に指しゃぶりの癖が抜けないそうです。それも切ないですよね。
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葉月(八月)の句会

2011-09-05 11:04:45 | 俳句
 旧盆で夏休み、原爆や敗戦日の重い月、湿度の高い残暑の八月でした。大震災復興と放射能汚染、風評被害や政治低迷の重苦しい時節でした。
 芭蕉翁と曽良の「おくのほそ道」は陽暦換算の8月1日に秋田県象潟から山形県酒田→新潟→出雲崎→高田→市振→富山県高岡→8月29日はるばるとうとう金沢に到りました。
越後路は残暑と疲労困憊の旅で、今日の翁は金沢で9泊の途中です。苦しい旅枕に自ら追いやる詩人としての情熱、体力には脱帽敬服するばかりです。

 私の作品 ○空蝉の背のファスナーを上げてやる
      ○勝手口ゆるる苦瓜塞ぎけり
      ○想定外に出てくるコピー唐辛子(とんがらし)
      ○みんみんの一刀背なに浴びにけり
      ○父と子のおもちや病院秋うらら
 
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ニガウリの日よけ

2011-09-04 05:37:52 | 生かされて今日
 わが家は高階のマンション暮しですがベランダのニガウリがたくましく繁茂し、毎朝花の香りへ戸を開くのが楽しいです。支柱から紐をめぐらして軒まで延びております。去年はプランターの土が悪かったのか、葉に黴が出たりして不振でした。
今朝も可愛い苦瓜の赤ん坊が揺れて、米汁の水やりを楽しんでおります。今年は節電を無理したわけではありませんが、冷房は一度も入れずに済みそうです。
すでに三つ四つ小型の苦瓜ですが収穫出来ておいしく頂きました。
 ベランダにはバジルが豊作で、メダカもふえました。高価な犬ネコをペットにされる方が多いですが、自由に留守ができないしホコリや病気や死別もありますから生き物はメダカに限ります。つれあいがこまめに世話してくれるのでもう40年はメダカがわが家の一員です。癒しのペットに心身を制約されるのは本末転倒でどうかと思います。
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