四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

炎暑のあかざ句会

2012-07-29 11:26:32 | 俳句

 80代のご婦人をはじめとして炎暑の中で月例句会を楽しみました。暮らしの喜怒哀楽を五七五のわずか17文字におさめるのには苦しみます。でも句会で共感してくれる方がいると、ヤッターという嬉しさがひとしおなのです。苦しんで楽しむのが俳句、より多くの方が身近で庶民的な歌づくりに気づかれることを願っております。

 俳句は高尚な趣味というのは悲しい誤解です。庶民が楽しめる入門しやすい趣味で、生涯学習にふさわしい奥の深さがあります。

今月の兼題は「駅」でした。

 新宿駅十万人の更衣(ころもがえ)   明

 灼くる日のるつぼに駅の引込み線   寿美子主宰

 タンクトップ駅に海辺の生まれけり   駿

 見惚るるももの言ふまでのサングラス  好子

 鈍痛のリズム灼けたる貨車の過ぐ    邦彦

 ドン・キホーテに成つてゐたりし昼寝覚  夢梨

 人に逢ふことの嬉しさ小判草      美津子

 父ははへ吾を飛ばしけり盆灯籠     駿

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土用はうなぎだ

2012-07-22 08:43:03 | 生かされて今日

 土用の時節にはうなぎを食べると夏負けしないといいます。鰻にとっては、クリスマスの七面鳥と同じように大迷惑な習慣です。今年のうなぎは大変な不漁だそうで庶民には遠き味になりそうです。

 万葉集の巻16に大伴家持が痩せた同僚を冷やかしている歌が残されています。宴席でのおふざけの歌かもしれません。

「痩せびとを笑う歌二首

石麻呂にわれもの申す夏痩せに

           よしといふものぞ鰻とりめせ

痩す痩すも生けらばあらむを

           はたやはた鰻をとると川に流るな

 右は吉田むらじおゆ、あざなは石麻呂という。・・・多くくらひ飲めども形、飢饉に似たり。・・・」

1200年の前の時代からもうなぎは食べられていたのですね。日本人の伝統食といえましょう。今は飽食の肥満時代で石麻呂さんみたいな体型はあまり見かけません。

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プロ野球選手会は立派だ

2012-07-20 20:35:11 | 生かされて今日

 ワールド・ベースボール・クラッシックへの不参加方針を決めた日本プロ野球選手会(新井貴浩会長・阪神タイガース)は、まともな勇気ある判断をしました。アメリカ大リーグ中心のご都合主義の大会運営に対し、不信感を募らせていることが不参加への大きな要因。アングロサクソン優越の運営が公平な収益金の分与をしていないことはあきらかだろう。オリンピックでさえ柔道にしてもスキー競技にしても欧米人に有利になるよう、有色人種に不利になるよう改悪してきた歴史がある。

日本選手会が一見稼ぎを捨てたように思われるが、安い対価での労働を、将来の選手達のために拒否したのは立派である。

自分の選挙での当選しか考えられない昨今の政治屋達、民を苦しめている東電の役員、組織しか守らぬ高級官僚から大津市教育委員会の小役人までの無責任、志なき人間に比べて大いに賞賛に値する。選手生命に大きなリスクを賭けるWBCに、安い対価では不参加が好ましい。世界制覇3連覇をはやす誘惑に負けず、選手の生活を守る判断を支持します。


 

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ご先祖をお迎えするお盆

2012-07-16 11:32:32 | 生かされて今日

 関西九州のお盆は八月ですが、関東では七月。お盆とは両親はじめ膨大な数のわが先祖のみ霊をお呼びして過ごす日本独自の仏教行事です。私たちのご先祖さまは60兆個の自分の細胞、DNAに確実に棲んでおられます。

お盆は釈尊の十大弟子で神通第一の目連尊者にちなむ行事です。尊者のお母さんは大変な教育ママで自分の子のみを大切にした慳貪の罪(けんどんの罪。欲張りでものおしみする罪)で餓鬼道に落とされました。そこから救い出す手立てを釈尊に問われますと、清僧清衆を集めて読経供養をささげなさいとのご指導だったそうです。

立正佼成会横浜教会では十五日、盆ちょうちんを飾り新盆を迎える御霊や志す方々のお戒名をおまつりし、法華経を参列者約千人で読誦いたしました。わが家では両家両親や家系図にある江戸時代の元祖ご夫妻、兄や親戚、自殺した子の友人などの戒名を読み上げて頂きました。

式典の最後にフルート奏者の前田綾子さんが奉納演奏をされました。パリ仕込みの薔薇色のドレスに小麦色の日焼けを包み優雅な演奏を楽しませて下さいました。彼女は3.11の大津波で壊滅した東北の町に足を運びフルート演奏で慰めの奉仕をされたそうです。

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たのしい晩学

2012-07-11 14:56:56 | 生かされて今日

 梅雨冷の気候から急激に夏の本番になだれ込んだ感じの横浜です。鎌倉女子大学では有難いことに安価な負担で、一般人対象に生涯学習講座を開催してくれています。象牙の塔に陥りやすい学びやを開放して頂けることは有難いことです。

私は数年らい上智大学名誉教授の大輪靖宏先生について松尾芭蕉を学んでいます。博学でわかり易い柔和な人格の先生の受講は大人気で、いつも立ち見ができるほどです。むっと暑い今朝は若干出席が少ないですが、芭蕉の『野ざらし紀行』を学ばして頂だきました。楽しい晩学の二時間です。大学生たちよりも晩学の方々がより熱心だと先生もおっしゃっています。

「学ばざればすなわち老いて衰う」(近思録)

西郷さんも読んだ本。生涯好奇心をもって、学ぶことはアンチエイジングになるようです。なぜなぜ病の幼子に戻りましょう。

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河野裕子さんを悼む(最終回)

2012-07-07 19:19:38 | 歌の花束

永田和宏氏の歌

 『もうすぐ夏至だ。冬至の日はうれしい。これからどんどん明るくなるのだと思うと、まだ真冬だというのに心が明るむ。夏至は嫌だ。あとは明るい時間がどんどん短くなってゆくばかり。』

○一日が過ぎれば一日減つてゆく

              君との時間 もうすぐ夏至だ

河野裕子さんの歌

●この家に君との時間はどれぐらゐ

              残っていゐるか梁よ答へよ

永田和宏氏

 『まだあと十年ぐらいは二人一緒に、老いてゆく時間を楽しむはずだった。すべての大切なものは、失って初めて身にしみてわかるものだ。己に残された時間も然り。』

 ○あほやなあと笑ひのけぞりまた笑う

              あなたの椅子にあなたがゐない

 ○わたくしは死んではいけないわたくしが

              死ぬときあなたがほんたうに死ぬ

 『死者は、生存者の記憶の中にしか生きられない。だからもっとも河野裕子を知っているものとして、長く生きていたいと思う。それが彼女を生かしておく唯一の方法なのだと思う。』

  (愛別離苦を耐えられた科学者、永田先生の言葉が心を打つ・・・駿

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河野裕子さんを悼む(その4)

2012-07-05 13:51:12 | 生かされて今日

永田和宏氏 

 ○悔しいときみが言う時悔しさは        

          またわれのもの霜月の雨

 ○ひき受けてやれない私は庭に出て

          雪だ雪だときみを呼ぶのみ

 ○歌は遺り歌に私は泣くだらう

          いつか来る日のいつかを怖る

 

河野裕子さんの絶唱

 ●手をのべてあなたとあなたに触れたきに

          息が足りないこの世の息が

 

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河野裕子さんを悼む(その3)

2012-07-02 13:25:12 | 歌の花束
 夫、永田和宏氏の歌
○待ち続け待ちくたびれて病みたりと
          悲しきことばはまっすぐに来る
 (こう言われたら夫としてはズーンとこたえますね・・・駿)

妻、河野裕子さん

●このひとをあんなに傷つけてしまつた日
          どの錠剤も白かつたのだけど

●終点まで乗りてゆかうかと君が言ふ
          ああいいよ他に誰も居ない

●『六年前に私が癌の手術をしてから、永田和宏の私に対する感じはずいぶん変わった。このひとは、いつ自分のそばから居なくなるかわからない、ということを結婚以来はじめて本気で案じ、そのことを深く考えるようになったのではないかと思う。』

●大泣きをしてゐるところへ帰りきて
          あなたは黙つて背を撫でくるる

●俺よりも先に死ぬな言ひながら
          疲れて眠れリ靴下はいたまま

 (「靴下はいたまま」があわれで悲しいですね。私もこうなると思う。 駿)
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