alternativemedicine

Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

代替医療解剖

2013-08-30 | 西洋医学的鍼

アマゾンから、サイモン・シン、エツァート・エルンスト『代替医療解剖』新潮文庫が届く。これは、『代替医療のトリック』を改題して文庫化したもの。もう一度、読み込んでおくために購入した。


8月29日木曜日

2013-08-29 | 灸の研究

手少陽三焦経の要穴の取穴と施灸(1)

(1)取穴方法の解説

【感じたこと】
陽池(TE4)は総指伸筋上に取るべきではないか?
中渚(TE3)は背側骨間筋に入れるよりは、中手指節関節に向けて刺入すべきでは無いか?

昼間部では、肩こりに対して、外関で変化させるデモンストレーションを行う。
夜間部では、学生に実際に八分灸を行い、その感覚を覚えてもらう。糸状灸もコツの部分を伝える。基礎を固めながら、より高度な技術をめざしてもらう必要がある。
次回、9月2日月曜日は「手少陽三焦経の要穴の取穴と施灸(1)

09月20日金曜日は、「手少陰心経の要穴の取穴と施灸(1)」
10月01日火曜日は、「手少陰心経の要穴の取穴と施灸(2)」
学生には仰臥位での陰谷(KI10)への糸状灸をチャレンジしてもらう。

18日間の時間が空くので、また、ここから基礎技術のブラッシュアップを行う。


ハリ麻酔

2013-08-27 | 西洋医学的鍼

「中国医学の現状」 
岡本 途也
『昭和医学会雑誌』 Vol. 33(1973 昭和48年) No. 3 P339-341
ハリ麻酔。ろうのハリ治療(軍の兵士)

「ハリ麻酔」
調所 廣之, 木村 通彦, 岡本 途也
『昭和医学会雑誌』Vol. 34 (1974 昭和49年) No. 4 329-336
※昭和47年5月日本医師鍼灸師訪中友好代表団。中国におけるハリ麻酔。日本におけるハリ麻酔。大阪大学麻酔科。日産厚生会玉川病院、代田文彦。

「 針刺激, 仰臥位, 耳介の強圧及びモルヒネに共通に反応する無麻酔・無拘束家兎の中脳中心部ニューロン活動」
鎌田 康夫, 武重 千冬
『昭和医学会雑誌』 Vol. 38(1978 昭和53年) No. 3 305-314
※武重千冬先生の初期の論文の一つ(前年もある)。

 

 


acupuncture analgegia研究

2013-08-27 | 西洋医学的鍼

「経穴および非経穴刺激による鎮痛発現に関与する視床下部弓状核の役割と下垂体との関係」
土屋 真弓, 武重 千冬
『昭和医学会雑誌』Vol. 49 (1989) No. 4 338-350

「経穴および非経穴刺激鎮痛発現にあずかる視床下部弓状核ドーパミンシナプス伝達に対するβ-エンドルフィン, ACTHのシナプス前性作用」
土屋 真弓, 武重 千冬
『昭和医学会雑誌』Vol. 50 (1990) No. 2 115-122

上記の研究を読んで、脳下垂体が鍼鎮痛に果たす役割、および視床下部との関係が、やっと理解できてきた。

「経穴から下垂体に至る神経径路の最終部は視床下部弓状核中央部(M-HARN:medial hypothalamic arcuate nucleus)であり、弓状核中央部(M-HARN)と弓状核後部((P-HARN:posterior hypothalamic arcuate nucleus)との間には、ドーパミンを伝達物質とするシナプス伝達があり、この伝達は下垂体機構に由来するβーエンドルフィンの存在下で可能となっている」

 

 


デフォルト・モード・ネットワーク

2013-08-26 | 西洋医学的鍼

「脳機能の解析方法」
福山 秀直『認知神経科学』
December Vol. 12 (2010) No. 3 149-155

以下、引用。
「(PETで)増加する部位は理解できるが、脳全体の血流は変化が無いので、増加した部位とは別の部位の血液が減少することが知られていた。それらの部位は、賦活試験の種類に関わらず、同じような部位の血流が減少することが明らかになり、ワシントン大学のDr.Raichleがactivationの反対という意味でdeactivationとして報告した。それらの部位を詳細に検討すると、アルツハイマー病で障害を受けやすい部位に相同であることが明らかになってきた。
 fMRIのデータでも同様の結果が得られるため、fMRIでも研究がおこなわれてきたが、fMRIの場合、deactivationというよりも酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの差を見ているので観察しているものが異なる。また、さまざまな異なった賦活試験で同じ結果が得られたため、deactivationよりもdefault modeと呼ばれるようになり、いくつかの部位がネットワークのように同じパターンで出現するので、default mode networkと呼ばれるようになった。」 

以上、引用終わり。


鍼鎮痛の理論

2013-08-26 | 西洋医学的鍼

 エツァート・エルンストの『鍼治療の科学的根拠』(医道の日本社、原著は1999)や、アドリアン・ホワイトの‘An Introduction to Western Medical Acupuncture’やあるいはDavid Bowsherの‘Mechanisms of acupuncture’で鍼鎮痛の理論を研究するとクリアーに理解しやすい。

 まず、脊髄レベルでの「ゲート・コントロール」での鎮痛。
それに、脊髄から上行し、
脳幹(延髄・橋・中脳)の
網様体(reticular formation)、
大脳辺縁系(limbic system=扁桃、海馬、帯状回)、
視床下部の弓状核(hypothalamic arcuate nucleus )、
視床(thalamus)から、
前頭前皮質(Prefrontal cortex)、
大脳皮質感覚野(Sensory cortex)に行く。

 視床下部の弓状核(hypothalamic arcuate nucleus)が上行系と下行系の交わるところである。
 視床下部弓状核のドーパミン・ニューロンが視床下部の腹内側核(ventromedial nucleusまたはventromedial hypothalamus:VMH)に連絡し、ここから縫線核(raphe nuclei)系のセロトニン系と傍巨大神経細胞網様核(paragigantocellular reticular nucleus)を経由するノルアドレナリン系の下行性痛覚抑制系によって鎮痛が発現する。

 中脳水道周囲灰白質(PAG;:periaqueductal gray matter)の電気刺激によるSPA(stimulation produced analgegia:刺激による鎮痛)は、鍼鎮痛と明らかに関係があるとされている。武重千冬教授によれば、ツボを電気刺激すると、中脳水道周囲灰白質(PAG)に活動電位が出る。また、中脳水道周囲灰白質(PAG)へのナロキソンの微量注入によって鍼鎮痛が抑制される(Han&Pomeranz 1980)。


Neuroscience Online

2013-08-26 | 西洋医学的鍼

http://neuroscience.uth.tmc.edu/s2/chapter08.html
『ニューロサイエンス・オンライン』の神経科学の電子教科書。
  Chapter 8: Pain Modulation and Mechanisms(痛みの調整とメカニズム)のフラッシュは、鍼灸の治効理論を理解するのに、物凄く役に立つ。フラッシュなのでiphoneで見られないのが残念だが、これはパソコン上で見ると、とても理解に役立つと思う。特に、ゲート・コントロール理論とSPAの映像は理解しやすい。

8.1痛みの調整(Pain Modulation)

【オピエートによる鎮痛(Opiate Analgesia)】
【内因性オピオイド(Endogenous Opioids)】
Three classes of opioid receptors have been identified: μ-mu, δ-delta and κ-kappa. 
オピオイド・レセプターは、ミュー、デルタ、カッパの3つのクラスに同定されている。
high densities of opiate receptors are found in periaqueductal gray (PAG), nucleus raphe magnus (NRM), and dorsal raphe (DR) in the rostral ventral medulla, in the spinal cord, caudate nucleus (CN), septal nucleus, hypothalamus, habenula and hippocampus. Additional detailson opiate receptors is provided later in this lecture.
オピエートレセプターの高密度は、中脳水道灰白質(periaqueductal gray:PAG)、大縫線核(nucleus raphe magnus:NRM)、背側縫線核(dorsal raphe:DR)、吻側延髄腹外側野(rostral ventral medulla)、尾状核(caudate nucleus :CN)、中膈核(septal nucleus)、視床下部(hypothalamus)、小帯(habenula)、海馬(hippocampus)に見られる。

【ゲート・コントロール理論(Gate Control theory)
【SPA(Stimulation produced analgesia:SPA))】


The Brain's Dark Energy

2013-08-26 | 西洋医学的鍼

『日経サイエンス』2010年6月号
‘The Brain's Dark Energy’ Marcus E. Raichle

ぼんやりしている時でも、脳では非常に重要な活動が営まれていた。
脳の基底状態は、意識エネルギーの20倍にも達する。

安静状態0%→特定のタスク5% 

安静状態100%→特定のタスク5%

DMN
medial prefrontal cortex

posterior cingulate cortex

タスクをしているときは、内側前頭皮質の活動が低下し、安静時に活動する。

fMRI入門
https://www.youtube.com/watch?v=BmQR57V5TVU

How does fMRI work?
https://www.youtube.com/watch?v=uVht8AMknfc

A Brief Introduction to the Default Mode Network
 https://www.youtube.com/watch?v=6A-RqZzd2JU

What is the Default Mode Network? 
https://www.youtube.com/watch?v=JCB5ZKi2XPI
https://www.youtube.com/watch?v=MekUKKY6IVc


根本概念を考える

2013-08-23 | 経絡弁証

 得気についての原稿は、ほぼ書き終わる。
 「(needle)」と「(acupuncture)」は違う。単にカラダに尖った金属「針(needle)」を刺すものなら、テイ鍼や円鍼、ザン鍼や小児鍼を説明できなくなる。わたしは個人的には、『易経』の「臨貞吉(人格者Aが他の人Bを感化し、影響された他の人Bが人格者Aに好影響を与える)」という言葉の「(お互いに感応しあう)」という意味だと思っている。「鍼」は、テイ鍼や毫鍼では、いちばん分かりやすいが、属を通じて、お互いに応しあうものという意味があると思う。
 「得気」も針麻酔の影響で、酸・脹・重・鈍・麻の感覚だと思われているが、実際には、術者が鍼で感じるものだと思う。

 お灸についてもそうだ。「」が、もし「ヨモギの繊維を燃やす」ものであるなら、「水灸」や「紅灸」を説明できなくなる。わたしが邵輝先生から学んだ「灸」の概念は、燻製の「燻(くん、燻す=いぶす)」だ。肉やサーモンに煙の風味を染み込ませるように、ヨモギの陽気を経穴から染み込ませるのが普通の艾の「灸」。「水灸」や「薄荷灸」、「紅灸」は、薄荷や紅花といった生薬の気を経穴から染み込ませる。

 これが邵輝先生に習った「鍼」と「灸」というコトバの意味。

 ところが、例えば、日本(例「はりきゅうの『はり』」は『鍼』と『針』のどっちなの」『医道の日本』2006年10月号)では、「刃物で強いショックを与えて相手の口を封じる」ことが「鍼」という漢字の意味らしい。日本鍼灸・・・。

 白川静とか『説文解字』とか、ありがたい権威をひいたら、へへーっと平伏するのが、現代の鍼灸師だと思う。それって単なる権威主義やん。なぜ、自分の体験をもって反論しないの?昔の先生なら、絶対に反論したと思う。

 自分は自分の経験・体験から 『易経』の「咸臨貞吉」の「咸」の意味しか考えられないのだけど。


もぐさ工場見学

2013-08-21 | サークル

 滋賀県のもぐさメーカー「山正」さんに工場見学にうかがいました。
学生・ОBなど合計20人でした。学生さんは、かなり高額の交通費とかなりの時間を自己負担して、勉強に来られたのには、感動しました。 

 

工場の入り口には、乾燥したヨモギ。凄く良い香りがします。

粗く挽くための石臼。電動です。摩擦するために、摩耗したら取り替えるそうです。
小石などが含まれると、火花が散って、火事が起こるそうです。火の用心というノボリもありました。この石臼で、挽くと、粗いモグサができます。

 

乾燥機。熱風で乾燥させます。これは、火の用心なのも納得です。

長どおし。中に傾斜があり、回転する篩(ふるい)があり、不純物とモグサを分離させる。

とうみ(唐箕)。上に通風孔があり、電動。さらに細かく精製される。

 

 個人的には、学生時代から山正の「特上 黄金山(おうごんざん)」を愛用しているし、学生にも推奨している。その山正「特上 黄金山」よりも、さらにハイグレードな「特撰 日本一黄金山 雪の華」。これは、本当に素晴らしいモグサ。

 ネパールから輸入した乾燥ヨモギで、山正艾工場で精製された数量限定の「ヒマラヤもぐさ」。匂いがかなり違います。

 素晴らしい経験をさせていただいた山正さんに感謝です。