alternativemedicine

Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

ゴルフ肘(Golfer's elbow)

2019-05-06 | 肘痛

ゴルフ肘(Golfer's elbow)は、上腕骨内側上顆炎(medial epicondylitis:肱骨内上髁炎:gōng gǔ nèi shàng kē yán)です。

もっとも詳しく、素晴らしいのは以下の文献です。

Golfers Elbow.
AuthorsKiel J, Kaiser K.
SourceStatPearls Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2019-2018 Oct 27.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK519000/#article-22355.s1


この文献も素晴らしかったです。

Medial elbow pain.
Barco R, Antuña SA.
EFORT Open Rev. 2017 Aug 30;2(8):362-371. doi: 10.1302/2058-5241.2.160006. eCollection 2017 Aug.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5590003/

 

 


野球肘

2016-04-14 | 肘痛
 1960年にBrogdonとCrowが「リトルリーグ肘」を提唱した。
リトルリーグ肘
Little leaguer's elbow.
BROGDON BG, CROW NE.
Am J Roentgenol Radium Ther Nucl Med. 1960 Apr;83:671-5.
 
1968年にスロカムが野球肘を
内側のTension overload(内側の過大な緊張)
外側のCompression injury(外側の圧迫障害)
後方のExtension injury(後方の伸展障害)
に分類した。
野球の投球肘の損傷の分類
Classification of elbow injuries from baseball pitching.
Slocum DB.
Tex Med. 1968 Mar;64(3):48-53.
 
内側型:内側側副靱帯損傷、上腕骨内側上顆炎、内側上顆剥離骨折。内側上顆骨端線離開(Epiphyseal separation of the medial epicondyle of the humerus)。
外側型:離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans:オステオコンドライティス・ディセキャンズ)、関節遊離体(joint loose body)。
後側型:上腕三頭筋長頭腱炎(Triceps long head of tendinitis)、肘頭骨端線離開。

上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(Osteochondritis Dissecans of the Capitellum)
 
 
肘関節後外側不安定症(PLRI:Posttero-Lateral Rotatory Instability)」
Posterolateral rotatory instability of the elbow.
O'Driscoll SW, Bell DF, Morrey BF.
J Bone Joint Surg Am. 1991 Mar;73(3):440-6.
※外側尺側側副靭帯(lateral ulnar collateral ligament)と関連する。
外側側副靱帯複合体(LCL複合体=LCL complex:Lateral Collateral Ligament complex)の弛みである。

5月8日スポーツ鍼灸学講義内容

2015-05-08 | 肘痛

上腕骨外側上顆、上腕骨内側上顆、肘頭。ヒューター三角とヒューター線の触診。
橈骨頭と上腕骨小頭。腕橈関節の触診。
肘の伸展。上腕三頭筋。肘筋。
肘の屈曲。上腕筋。上腕二頭筋。腕橈骨筋。
肘の回内。円回内筋。
肘の回外。回外筋。
肘窩を構成する上腕二頭筋腱。尺沢。筋皮神経。上腕動脈。正中神経。尺骨神経溝。
前腕屈筋群として、尺側手根屈筋。橈側手根屈筋。長掌筋。浅指屈筋。深指屈筋。
前腕伸筋群として、長橈側手根伸筋。短橈側手根伸筋。総指伸筋。尺側手根伸筋。小指伸筋の触診を復習する。 

問題点は、靱帯の触診。
 内側側副靱帯(medial collateral ligament:MCL)は前斜走線維(anterior oblique ligament:AOL)と後斜走繊維(posterior oblique ligament:POL)から成る。
 前斜走繊維(AOL)は、上腕骨内側上顆から尺骨鉤状突起。
 後斜走繊維(POL)は、上腕骨内側上顆から肘頭。 
 前斜走繊維(AOL)は、外反・伸展。
※投球時の後期コッキングから加速期における肘関節外反伸展ストレス(Valgus extension overload)。
※外反ストレステストは回外位・肘関節軽度屈曲で外反負荷を加える。

小関祐介,吉田行宏,矢野  忠,片山憲史:
成長期野球選手の肘傷害に関する文献的考察―野球肘に対するスポーツ鍼灸の可能性と役割―.
明治国際医療大学誌,10,1-14,2014.
http://www.meiji-u.ac.jp/bulletin/2014-10/01_koseki.pdf

成長期における野球肘の病型と治癒期間に関する調査
小山 智士et al.
第47回日本理学療法学術大会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Ca0938/_pdf

  内側側副靱帯の後斜走繊維(POL)は屈伸において長さが変化し、肘関節拘縮や癒着、瘢痕化と関わりが深い。

 外側側副靱帯(lateral collateral ligament:LCL)は上腕骨外側上顆から橈骨輪状靱帯につながる。
軽度屈曲で内反すると前方部が触知できるし、深く屈曲すると後方部が触知できる。
 内反ストレステストは、回内位、軽度屈曲位で内反する。上腕骨外側上顆炎で外側側副靱帯に圧痛がある場合もある。

 外側尺側側副靭帯(lateral ulnar collateral ligament)は、上腕骨外側上顆から尺骨回外筋陵につながる。回外強制しながら、内反すると緊張する。
肘関節後外側回旋不安定症(Posterolateral rotatory instability of the elbow)」との関連が深い。

Posterolateral rotatory instability of the elbow.
O'Driscoll SW, Bell DF, Morrey BF.
J Bone Joint Surg Am. 1991 Mar;73(3):440-6.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2002081

 橈骨輪状靱帯(anular ligament of radius)は、橈尺関節の安定。回外位から回内位で緊張が触診できる。肘内障(pulled elbow)。

 鍼灸不適応疾患。骨折(フォルクマン拘縮、内反変形)。化膿性肘関節炎。肘頭滑液包炎(olecranon bursitis)。

 野球肘(baseball elbow)。離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans:オステオコンドライティス・ディセキャンズ)。

 リトルリーグ肘(Little leaguer's elbow)の概念は、1960年にBROGDONとCROWが造語した。

Little leaguer's elbow.
BROGDON BG, CROW NE.
Am J Roentgenol Radium Ther Nucl Med. 1960 Apr;83:671-5.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/13804689 

 野球肘(baseball elbow)は、内側型・外側型・後方型がある。1974年にフランク・ジョーブ(Frank Jobe)が開発したトミー・ジョン手術Tommy John Surgery)がある。ダルビッシュ有Yu Darvish)は2015年3月にトミー・ジョン手術を受けた。田中将大Masahiro Tanaka)はMRIで肘に尺側側副靱帯(UCL=内側側副靱帯)の部分断裂が見つかった(An MRI revealed that his elbow had a partially torn UCL)。自己多血小板血漿療法(PRP療法:Platelet-rich plasma)を行った。

2014年のコクラン・システマティック・レビュー
筋骨格軟組織損傷のための自己多血小板血漿療法
Platelet-rich therapies for musculoskeletal soft tissue injuries
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD010071.pub3/abstract
では、現在、PRP療法を筋骨格系軟部組織損傷に使うことを支持する証拠は不十分である(there is currently insufficient evidence to support the use of PRT for treating musculoskeletal soft tissue injuries)としている。

上腕骨外側上顆炎
(lateral epicondylitis)Tennis elbow
上腕骨内側上顆炎(medial epicondylitis)Golfer's elbow 

 最低限、2007年の「上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン」は理解すべきである。Mindsガイドラインセンターで公開している。「腱付着部炎Enthesopathy:エンセソパシー)」という概念を理解する。「上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン」を読めば、抵抗性手関節背屈運動つまりトムゼンテストで肘外側に疼痛を生じて、伸筋腱起始部に圧痛がある。ところが、臨床で多く経験するのは、上腕骨外側上顆ではなく、「ヘンリーのモバイル・ワッド」と西洋医学で呼ばれる部分に圧痛がある肘痛である。これは、「橈骨神経管症候群」であり、「上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン」で「除外すべき」とされている病態である。つまり、多くの臨床家は、「上腕骨外側上顆炎」と「橈骨神経管症候群」を混同している。


5月1日 スポーツ鍼灸

2015-05-07 | 肘痛

小テスト。
理学検査法の科学的根拠を解説。
五十肩の針灸治療の2014年までの科学的研究を概説する。

肘痛は、局所解剖から解説を始める。骨の体表指標である上腕骨外側上顆、内側上顆、肘頭、橈骨頭、上腕骨小頭、ヒューター線とヒューター三角、肘窩の構造と上腕動脈や正中神経。伸展の筋肉である上腕三頭筋と肘筋、屈曲の筋肉である上腕筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋、回内の円回内筋、回外の回外筋から触診を始める。橈側手根屈筋、長掌筋、尺側手根屈筋、浅指屈筋と深指屈筋。長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋、尺側手根伸筋、小指伸筋までを触診する。靱帯として、内側側副靱帯、外側側副靱帯、尺側外側側副靱帯、橈骨輪状靱帯も触診したところで時間となる。
 


肘頭滑液包炎(Olecranon bursitis)

2015-04-28 | 肘痛

 「エルボウ・バンプ(elbow bump)」、「学生肘(student's elbow)」、「ポパイの肘(popeye's elbow)」として知られている。

 反復した作業(テニス・ゴルフ)や皮膚からの感染症で起こる。

「肘頭滑液包炎の治療:システマティック・レビュー」
Treatment of olecranon bursitis: a systematic review.
Sayegh ET, Strauch RJ.
Arch Orthop Trauma Surg. 2014 Nov;134(11):1517-36. doi: 10.1007/s00402-014-2088-3. Epub 2014 Sep 19.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25234151 


 


肘痛の基礎

2015-04-28 | 肘痛

【骨指標】
上腕骨内側上顆(medial epicondyle)
上腕骨外側上顆(lateral epicondyle)
肘頭(olecranon)および滑液包(Bursa):上腕三頭筋。関節ねずみ。
橈骨頭(head of radius)
上腕骨小頭(capitulum of humerus)
※carrying angle(肘外偏角):正常は男性5°、女性は10°。
※Monteggia骨折。

【関節】

腕尺関節(humero-ulnar joint):ラセン関節
腕橈関節(humeroradial joint):球関節
上橈尺関節(proximal radio-ulnar joint):車軸関節

【靱帯】
内側側副靱帯(Medial Collateral Ligament:MCL)
外側側副靱帯(Lateral Collateral Ligament:LCL)
※外反ストレステスト(abduction stress test)
※内反ストレステスト(adduction stress test)
※投球障害肘
外側尺側側副靭帯(lateral ulnar collateral ligament)※肘関節後外側回旋不安定症(PLRI)との関連が深い。

橈骨輪状靱帯(Annular Ligament)
※肘内障(pulled elbow)

肘窩(cubital fossa)】
外側は腕橈骨筋、内側は円回内筋。上腕二頭筋。上腕動脈。正中神経。筋皮神経。
ヒューター線

Huter's line(Huter's triangle)は上腕骨内側上顆・外側上顆・肘頭で形成する。

【肘の関節可動域】
屈曲(flexion):141°±4.9°:上腕筋、上腕二頭筋
伸展(extension):0.3°±2.0°:上腕三頭筋
回外(supination):81°±4°:回外筋、上腕二頭筋
回内(pronation):75°±6.3°:円回内筋、方形回内筋、

【筋肉】
上腕筋(brachialis)
上腕二頭筋(triceps brachii)

腕橈骨筋(brachioradialis)
※橈骨茎状突起(radial styloid process)とColles骨折、Smith骨折、Barton骨折、Chauffeur骨折。
円回内筋(pronator teres)
※円回内筋症候群。
橈側手根屈筋(flexor carpi radialis)
長掌筋(palmaris longus)
尺側手根屈筋(flexor carpi ulnaris)
浅指屈筋(flexor digitorum superficialis)
深指屈筋(flexor digitorum profundus)

回外筋(supinator)
長橈側手根伸筋(extensor carpi radialis longus)
短橈側手根伸筋(extensor carpi radialis brevis)
総指伸筋(extensor digitorum)
尺側手根伸筋(extensor carpi ulnaris)
小指伸筋(extensor digiti minimi)

上腕三頭筋(triceps brachii)
肘筋(anconeus)

【神経】
筋皮神経(musculocutaneous nerve)
正中神経(median nerve)
尺骨神経(ulnar nerve)
橈骨神経(radial nerve) 

【血管】
鎖骨下動脈(subclavian artery)
腋窩動脈(arteria axillaris)
上腕動脈(brachial artery)
橈骨動脈(radial artery)
尺骨動脈(ulnar artery)