alternativemedicine

Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

シンスプリントの鍼治療機序

2013-12-24 | シンスプリント

1991年
片山憲史et al.
シンスプリントに対する鍼治療の検討
『関西臨床スポーツ医科学研究誌』1991 Vol.1 95-97
※対象はシンスプリントと診断された患者14名。20肢。平均4.4回の鍼治療で著効7肢、有効10肢、やや有効2肢、不変1肢。サーモグラフィーとレーザードップラー血流計で皮膚温および皮下血流量を調べた。皮膚温は上昇、抜針直後から40分間で平均69%皮下血流量は上昇した。 

2008年
吉田行宏、片山憲史et al.
シンスプリントに対する鍼通電刺激の基礎的・臨床的研究
『体力科学』 Vol. 57(2008) No. 6 940
※どのような鍼治療法が効果的かは明らかではない。結果、絶縁電気鍼は鍼通電と比較して有意に痛覚閾値を上昇させた。
絶縁電気鍼が適切???
 

阪野泰正、片山憲史、井上基浩、矢野忠
シンスプリント好発部位の深部痛覚閾値と深部温度に及ぼす鍼刺激の影響」 
『全日本鍼灸学会雑誌』Vol.58 No.1 67-74
※対象は健常な学生ボランティア12名。骨膜部の深部温度の変化は小さかった。シンスプリントの疼痛に対する鍼刺激では、雀啄術よりは置鍼手技が適していることが示唆された。一方、骨膜部の深部温度の変化は小さかった。以上のことから疼痛管理として置鍼手技による鍼治療の有用性が示唆されたが、局所循環への効果については明らかではなかった

「骨膜の痛覚閾値に及ぼす鍼刺激の影響に関して、(中略)絶縁鍼通電刺激で上昇したことを報告している。しかしながら、この研究では鍼刺激に4本の鍼を用いるなど、刺激量が多く、シンスプリントに対する鍼治療にその刺激方法をそのまま応用することは難しい。急性期の炎症部位付近に強い針刺激をすることは不適切であり、しかもスポーツ選手の中には強い針刺激を好まない者も多い」

骨膜への刺鍼よりは、長指屈筋・ヒラメ筋などの筋肉(ミオトームmyotomeはL4~S3)への刺激は、脛骨の骨膜(スクレロトームsclerotomeはL4~L5)へのセグメンタル・エフェクトおよび下降性痛覚抑制系の関与が考えられる。雀啄術よりも置針術で鎮痛効果が見られた。

 これも鍼の深さと手技、電気鍼などの問題を考えると興味深い。一つの疑問として、シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)の病態は? 健常なボランティアと病的状態では違うはず。